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バッグ・革小物
2022/10/21 20:15

革の魔術師・後藤惠一郎が生み出す革財布「DEVIL」。その未発表モデルに迫る

レッドムーンの「DEVIL」は、上質なサドルレザーを使用したショートウォレット(2つ折り財布)である。縫製という概念に囚われない構造が与えられているのが最大の見どころだが、同モデルには「未発表モデル」が存在するのをご存知だろうか?

 

 

日本が誇るレザーブランド「レッドムーン」の功績

ここ数年、レザーアイテムが大きなブームを呼んでいる。数多くの著名人が自らのYouTubeチャンネルでライダースジャケットやレザーブーツ、ウォレットなどを取り上げるなどしたことをきっかけに、これまではバイカーと呼ばれるモーターサイクルを愛する一部の趣味人の嗜好品であったレザーアイテムが、多くの人から注目を集めることになったのだ。

 

その火付け役とも言えるのがレザーアイテムブランドとして名を馳せる「レッドムーン」。日本のみならず、世界各国に多くの熱狂的なファンを持つ人気ブランドだ。同社の創業は1993年、創始者である後藤惠一郎氏が自宅の3畳のアトリエからスタートさせた。

 

個性的なデザインと卓越したレザークラフト技術、そして「革」にこだわった上質な風合いは多くのレザーファンを魅了し、瞬く間にトップブランドとして認知されたのである。初期モデルであるHR-01は現在も同社の代表作として人気を博しており、使い込むほどに風合いを増すレザーの風合いは格別なものだ。

 

一枚革のレザーを折り紙のように折り畳む

そんなレッドムーンが新たなる提案としてリリースしたDEVILは、縫製糸を使わず上質な一枚革のサドルレザーを折り紙のように組み立てて構造を成す作品だ。「革財布=縫製」と言う概念を覆した同モデルは一枚革を折り畳むことで縫製とは違った柔らかな表情を見せる。その佇まいはハードなバイカーズファッションのみならず、キレイ目のカジュアルスタイルやビジネスシーンのスーツスタイルにもマッチし、数多くのファンを獲得している。

↑一枚のサドルレザーによって形を成す斬新な設計。それだけに美しい銀面を持つ革選びが必要となり、レザークラフトの技術力がモノを言う。(写真は今回紹介する未発表モデル)

 

もちろん、構造的な魅力も大きい同モデルだが、そこには「革」の素晴らしさが存在する。使用されるサドルレザーは兵庫県姫路市の老舗製革所がレッドムーンのために手掛けたものであり、ステアハイドを数か月の時間を掛けて植物性のタンニンで鞣したものだ。レッドムーンの革への強いこだわりにはレザーブランドとしての矜持が窺え、日本が誇るクラフトマンシップが込められている。

↑職人が手間と時間を掛けて上質なステアハイドを植物タンニンで鞣していく。加脂により「多脂革」として完成されたサドルレザーは、レッドムーンの世界観を支える重要な素材となる

 

特別仕様として誕生した未発表DEVILとは?

通常のウォレットは大きな革からそれぞれのパーツを裁断し、ダブルステッチなどの縫製によって縫い上げるのだが、同モデルはB4サイズほどの一枚革によって構成される。精緻な折り紙のように革を折り畳み、取り付けられたホックを留めることで札入れ、小銭入れ、カードケースという実用的な姿を構築している。

 

今回、テレビ東京が運営するクラウドファンディングサイトとのコラボとして誕生した未発表モデルのDEVILは、レッドムーン創始者の後藤惠一郎が実際に愛用している私物を製品化したもので、通常モデルとの差別化が図られている。基本的な構造や上質なレザーは既存モデルを踏襲するものの、一番の違いは2つ折財布のボディを繋ぐストラップが追加されていることだ。今回、実際に実物をお借りしてその魅力に触れてみたのだが、既存の概念を打ち破る縫製糸を使用することのない構造は見事の一言に尽きる。

 

クラウドファンディングで展開されるモデルは、その構造にストラップを追加しているため、正確には一枚革ではないのだが、基本構造は既存のDEVILに準ずる。ストラップには開閉を固定できる留め金が2つ用意され、ウォレットの厚みに合わせて調整できるのも考え抜かれたデザインと言えるだろう。

未発表モデルにはストラップが取り付けられ、2つ折財布が広がるのを防止。ストラップには2つのホックが設けられ、内容物の増減に合わせて調整することができる

 

実際に使用した印象は、新品の状態でもしっかりと手に馴染む上質なレザーの触感と、サドルレザーを折り畳んでいるにもかかわらず固さを感じさせないことだ。また、コバと呼ばれる裁断面の処理も美しく、使用時にフラップが反り返ることがなく美しいフォルムを形成している。

 

紙幣を入れてみると、ドメスティックブランドだけのことはあり、世界の紙幣の中でも大きいサイズである一万円札も違和感なく入れることができた。海外ブランドの場合にはユーロやドル紙幣を意識した作りとなり、大きな一万円札が入りにくいアイテムも存在するため、これは嬉しい。そして、小銭入れ部分のフラップはカーブを描く山型、カードポケットのラップはスクエアにデザインされ開け間違えることがないように配慮されている。

一万円札もすっぽりと収納できるドメスティックブランドならではの心遣い。まさに、メイドインジャパンの成せる技だ

 

↑左右はそれぞれ小銭入れとカードケースとしてデザインされている。フラップの形状が異なるので間違えることはない

 

何度も分解、組み立てをしながら観察して見るとその実用性の高さに驚かされた。さらに、カードポケットのギャザー部分には駐車券を挟んでおくことができ、ウォレットを開けることなく取り出すことができる。

↑折り畳んだ状態でもカードケースのギャザーの間に駐車券を挟んでおくことができる。ちょっとしたアイデアだが実用性は高い

 

今回、紹介したナチュラルカラーのモデルは育てる楽しさも味わえるのも大きな魅力だ。自分の手の脂や使用環境により、独特の艶や風合いへと変化を遂げて行く。このように、時間と共に育って行くサドルレザーは革好きには堪らないアイテムになるだろう。

↑サドルレザーは使い方や時間によって味わいを変えていく。経年変化をとげたDEVILの色艶は気品を感じさせてくれるものだ

 

また、同製品はホック金具によって簡単に展開できるのでメンテナンスの苦労も少ない。縫製されたアイテムでは内部や縫い目、マチ部分にホコリや汚れが溜まりがちだが、DEVILは一枚革へと戻してクリーニングを行うことができる。銀面の汚れをブラシで落とし、保湿クリームやオイルを与える作業も、楽しい趣味のひと時になるはずだ。

↑ショートタイプのウォレットはヒップポケットに収まるジャストサイズ。2つ折りでありながらも厚みを感じさせないので使い勝手は抜群だ

 

ちなみに、同製品はナチュラルとブラックの2色で展開されているほか、デビルのイラストをエンボス加工したアイテムも用意されている。日本が誇るレザークラフトの鬼才、後藤惠一郎氏の魂が込められた新たなる革の世界に興味があるのなら、ぜひとも今回のクラウドファンディングに支援することをおすすめする。何故なら、クラファンでしか手にすることができないプレミアムとレッドムーンらしい上質なレザーワークを手にするチャンスは今しかないのだから。

↑今回のクラウドファンディングにはナチュラルとブラックが用意される

 

↑デビルのキャラクターを全面にエンボス加工したモデルも存在する

 

【関連リンク】

「REDMOON」DEVIL 後藤愛用未発表モデル ナチュラル・ブラック