ヘルスケア
2019/10/23 19:35

疲れ目やドライアイに悩む人へ。眼球の筋トレやストレッチ「ビジョントレーニング」の方法

デジタル機器なしではいられない現代、画面からの光や多くの情報に常に晒されている目には、大きな負担がかかっています。通常は3秒に一回しているまばたきも、パソコンやスマートフォンを見ているときは12秒に一回とかなり少なくなり、ドライアイにもなりがち。また、目の疲れは首や肩の凝りにもつながります。

 

今回は、疲れにくい目を作るための眼球体操「ビジョントレーニング」の方法を、臨床心理士である松島雅美さんに教えていただきました。

 

ビジョントレーニングとは?

ビジョントレーニングとは、眼球の動きやピント合わせ、広く見る力など視覚能力向上のために開発された目の体操のこと。もともとは空軍のパイロット養成用に作られたもので、識字や読字が難しい学習障害・ディスクレシアのトレーニングへの使用や、アスリートの能力開発のプログラムになっています。

 

眼球体操で目の筋肉を活性化し美しさを保つ

目の疲れを軽減するためにまず始めたいのは、目の筋肉を活性化させること。瞼や眼球を支えている筋肉は、加齢や、パソコンやスマートフォンばかり見ていることによって衰えていってしまうのだそうです。

 

「たとえば何か調べものがあったとき、昔は棚の資料を探したり辞書を開いたり、目を上下左右によく動かしていたものです。しかし、パソコンやスマートフォンで調べられる現代では、画面の方が動いてくれるため、眼球は動かず定点にとどまっている時間がとても多くなります。そのため眼球を動かす筋肉が衰えやすく、疲れ目になるだけでなく、瞼を持ち上げる力もなくなっていきますから、おでこの筋肉で目をぱっちり開けようとするんですね。その結果おでこにシワが寄り、目元のシワやたるみの原因にもなります。眼球体操は、美容のためにもとてもいいのです」(臨床心理士・松島雅美さん、以下同)

 

日常生活で気をつけたい目の使い方

体操をする前に、日常生活でも気をつけられることがあります。それは、日常の中でも眼球をよく動かすことです。

 

「移動中にスマートフォンばかり見ていないで、電車内の中吊り広告や景色を見るなどして、目を広くたくさん動かしましょう。視野を広げたい人は、眼球を正面から動かさずに、視界の端の方では何が行われているか、どんな人がいるかなどを意識して見ることも、効果的なトレーニングになります。また、視界から入ってきた情報を処理する速度は、加齢や疲れとともに遅くなっていきます。この処理速度が速ければ速いほど、目も頭も疲れにくくなり仕事の効率アップにもつながるので、日頃から目を使って頭と体を疲れにくくしておきましょう」

 

使ったあとは休めることも忘れずに

よく目を動かしたあとは、休ませることも大切です。もっとも効果的なのは、目元を温めることだそう。

 

「濡らしたタオルを電子レンジで加熱して温め、目元にのせてリラックスしましょう。目を温めると、緊張していた目元の毛細血管が緩んで血流がよくなり、副交感神経が優位になって自律神経が整ってきます。副交感神経はリラックスモードになるための神経とも言い、全身の疲れをとり、眠りを深くする作用もありますから、使ったぶんだけしっかり休めておきましょう。疲れても回復できるよう、リラックスしたり脳を休めたりする方法をたくさん知っておくといいですよね。そのなかのひとつとして、目元のケアもぜひ覚えておいてほしいと思います」

 

では、早速実践してみましょう。眼球体操「ビジョントレーニング」の方法を、次のページで紹介します。

 

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疲れ知らずの目にする眼球体操「ビジョントレーニング」の方法

眼球体操には、一日に何度行うなどの難しい決まりはありません。眼を動かすことは感情をコントロールする前頭前野も活性化しますので、できるだけ日常的に、トイレやお風呂などもよいのでなるべくスマートフォンから離れ、意識して眼球を動かしたり、下記に紹介する体操をしたりしながら、目の筋肉をトレーニングしていきましょう。

 

1. 左右の眼球ストレッチ


(1)あごを引いて目線をまっすぐにしたら、片方の腕を伸ばし、目と目の間にくるように親指を立てます。両方の目で親指を見る姿勢からスタートです。

 


(2)そこから目線を離さないようにして、首だけ右に向けていきます。親指が見えるぎりぎりのところまで動かしたら、そのまま目線を離さず、中心に戻りましょう。

 


(3)中心から今度は左側に向けて首を動かし、また中央に戻ってきます。目線はずっと親指を見たままです。

 

「目のキワが引っ張られる感覚がするでしょう。この引っぱられている筋肉のトレーニングになります。中心から4秒くらいで右端へ、そこからまた4秒で中心に戻り、同じ速さで左側へ、また中心に戻るまでで1セットです。これを5セットくらい繰り返してみましょう」(臨床心理士・松島雅美さん、以下同)

 

2. 上下の眼球ストレッチ


(1)まっすぐの状態から目線を動かさずに、首を上へ持ち上げます。

 


(2)そのまま中央を通って今度はあごを思い切り引いて、下まで首を動かしましょう。下まできたら中央を通り、ふたたび上へ。この上下運動も5セット繰り返します。

 

「5セットくらいやるとよいとしていますが、首や目に痛みがあったり途中で疲れてしまったりしたら、すぐにやめてください。動かし慣れてきたら続けてみましょう」

 

3. 眼球筋トレ(左右)

“眼球筋トレ”は、メトロノームのアプリなどを使い、音を鳴らしながらトレーニングするのが効果的です。


(1)1分間に60の速度でメトロノームを鳴らします。両腕を肩幅より広くまっすぐに伸ばして親指を立て、音に合わせて右の親指、左の親指、右の親指……というように視線を素早く移動させましょう。

 


(2)音が鳴ったら必ずいったん親指のところで目線を止める、ということを意識してみてください。流れるように左右を移動させるのではなく、音に合わせてしっかり親指を見て止まることで、筋肉強化につながります。こちらも5往復くらいやるといいでしょう。

 

4. 眼球筋トレ(上下)


(1)こちらも1分間に60の速度で音を鳴らしながら、上下に置いた親指を交互に見るトレーニングをします。

 


(2)やり方は左右のときと同じですが、背筋を伸ばして姿勢を正すことが大切です。まっすぐの目線の高さを真ん中にして、上下に親指を置きましょう。

 

5. 眼球筋トレ(ナナメ)


(1)ナナメに両手を置き、メトロノームの音に合わせて、視線をナナメに動かしてトレーニングします。

 


(2)ナナメ上やナナメ下というのは、実はなかなか日常生活で眼球がいかない場所なので、動きにくさを感じるかもしれません。

 

「痛くならない程度に続け、しっかり視界に入る位置に親指をおきましょう。また、左を上に右を下にしたら、次は左を下にして右を上にと、反対側もやりましょう」

 

6. 遠近ピント合わせトレーニング


距離の近いデジタル機器ばかりに目がいくことが多くなったり、加齢により老眼が進みはじめたり、疲れているととくにピント合わせの速度も遅くなりがちです。どちらかの手を手前に、もう一方を奥に置き、筋トレと同じようにメトロノームに合わせて、近く→遠く→近く、というふうに視線を動かしてみましょう。

 

「最終的には目から15cmくらいの距離のところに、近い方の親指を置いてほしいのですが、最初はすぐにピントが合う距離からはじめてください。視力は変わりませんが、ピントが合いやすくなることによってモノが見えやすくなり、疲れにくくなります。うまくピントが合うようになってきたら、今度は近くの親指と遠くのポスター、などにいうふうに距離を遠くしていってトレーニングしてみてください」

 

目から入る情報をしっかり処理できるように

「ビジョントレーニング」をして視野が広くなり、目がしっかり使えるようになると、目から入ってきた情報を処理する能力も高まると松島さんは話します。

 

「目と脳には非常に密接な関係があるのです。目が老化や疲れでうまく機能していないと、“今見た情報は何なのだろうか”と脳が考える時間がかかったり、うまく処理できなかったりして、脳の疲労やパフォーマンス低下にもつながってしまいます。目を休めることは脳を休めること、目を鍛えることは脳を鍛えることでもあるのです。アイデアが出にくくなったり、読んでいる資料がよくわからなかったりするときは、目を動かすストレッチをすることもひとつの方法だと思ってください」

 

「ビジョントレーニング」をすることは、疲れにくい目をつくるだけでなく、脳の処理速度をあげ、仕事を円滑に進める手助けにもなりそうです。目元のシワ予防やハリにもつながるなど、たくさんのメリットをもたらしてくれますから、ぜひ日常のちょっとした時間に取り入れてみましょう。

 

【プロフィール】

臨床心理士 / 松島雅美

一般社団法人 国際メンタルビジョントレーニング協会 代表理事。Je respire株式会社 代表取締役。大学院在学中から、阪神淡路大震災時に開設された「兵庫県精神保健協会こころケアセンター」にて被災者のPTSD・トラウマケアに携わる。その後、精神神経科クリニックで、うつや摂食障害、パニック障害などのケア、教育機関において子どもの発達や子育て、教育スタッフへの支援を行い、のべ2万人以上をカウンセリングしている。

 

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