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2019/6/1 20:30

「リーズナブルで高性能」は本当か? マクセルイズミ「2万円以下の5枚刃シェーバー」徹底検証

各社の高級電気シェーバーをとことん検証する連載企画の第4回は、「リーズナブルな価格なのに高機能かつ高性能!」とネットでの評価も高い、マクセルイズミのIZF-V998をチェックします。

「マクセルイズミ」という名前に耳なじみがない方もいるかもしれませんが、本年4月から同名の新会社となるまでは、「泉精器製作所」という1939年創業の老舗メーカーでした。1959年から電気シェーバーなどのOEM供給を始め、パナソニックなどでおなじみの往復式シェーバーのほか、フィリップスと同じロータリー式(回転式)シェーバーも生産。現在も長野県松本市で高品質の製品を開発し続けています。

 

今回お試しするIZF-V998は、往復式の5枚刃モデル。どんな実力を見せてくれるか、楽しみです。シェービング性能については「深剃り具合」「肌への負担」をチェック。さらに「操作性」「メンテナンス性」「付加機能」も検証しました。

 

【チェックする機種はコチラ】

5枚刃採用と高速駆動で爽快な深剃りを実現!

マクセルイズミ

往復式シェーバー

IZF-V998

実売価格1万9010円

同社初の5枚刃採用で、スピーディなシェービングを実現したモデル。毎分1万ストローク(ターボモード時)の高速モーター駆動と高耐久ステンレス刃の採用で、従来モデルより約36%ヒゲ剃り効率がアップした。5枚刃のため肌への接触面が広く、肌への圧力が分散できるうえ、独立して上下3mmにフローティングする外刃が肌に密着し、剃り残しを抑える。フル充電で約4週間シェービングが可能。全自動洗浄充電器を付属し、メンテナンスもラクだ。本体3年保証は業界最長。

SPEC●刃の枚数:5枚刃●駆動方式:往復式●ストローク数:約1万ストローク/分(Turbo時)●充電時間:2時間●連続稼働時間:約84分(1日1回3分使用で28日間)●サイズ/質量:約W70×H160×D51mm/約268g

 

《深剃り具合》

ワンストロークで上々の深剃り。3分のシェービングで満足いく剃り上がりに

本機は「通常モード」と「ターボモード」という、モーター駆動速度の異なる2モードを搭載しています。今回は「通常モード」での剃れ具合をチェック。シェービングを3分行い、ヒゲの剃れ具合を見た目と手で触った感覚で確認しました。

↑筆者はそれほどヒゲが濃くないので、まる2日間伸ばした状態でシェービングしました

 

「通常モード」の駆動速度は明示されていませんが、使ってみると上々の剃れ具合。ワンストロークで爽快に刈り進んでいく印象で、前々回に試したブラウンのシェーバーのように、稼働中はかなりの振動を感じます。

↑外刃は4枚の「網刃」が並ぶ、その真ん中に「クセヒゲトリマー刃」が設置されています

 

開始1分ほどでひと通り剃り終えたので、剃れ具合をチェックしましたが、手で触った印象では、全体に剃り残しが感じられました。さらにシェービングを進めて2分経つと、かなり剃れてきた感覚が出てきましたが、口元の窪みの部分や顎の一部にややザラつきを感じました。そこからさらに、剃る方向を変えたり、口元の窪み部分を舌で持ち上げたりしながら3分剃った結果、ほぼ満足のいく剃り上がりになりました。

↑左が開始1分の剃れ具合。口元の黒い剃り残しがやや目立ちます。右は3分シェービングしたあと。口元の剃り残しがだいぶなくなりました

 

一方「ターボモード」では、より素早いシェービングが可能。筆者の場合、通常モード3分の深剃りが2分強でできる印象でした。ただし、ターボモードで通常モード以上の深剃りができるという印象は持ちませんでした。

《肌への負担》

3分間のシェービング後にある程度肌のひりつきを感じた

本機の深剃り性能がかなり優秀だと感じた一方、肌への負担はやや大きめ。シェービング中はまったく気にならなかったのですが、3分シェービングしたあとに、ある程度ひりつきを感じました。特に深剃りしたいと思った口元やあご、鼻の下などにひりつきがあったので、シェービング中に少し肌に圧力をかけすぎてしまったようです。2回目からは肌にかける圧力を極力減らすように心がけたため、ひりつきはかなり減りましたが、そうすると若干深剃り具合が落ちてしまいます。

 

筆者はふだんそれほど深剃りにはこだわらないので、本機を軽く肌に当ててのシェービングは快適でしたが、深剃りこだわる人はアフターシェーブローションなどを用意したほうがいいでしょう。

 

ちなみに本機の外刃は独立して沈み込むフロート構造になっていますが、ヘッドは左右のみ可動し、上下や前後には動きません。そのぶん、人の顔の形状には十分追随できているとはいえず、部分的に余計に肌に負担がかかったのかもしれません。

↑5枚の刃はそれぞれ独立して3mmほど沈み込むフロート構造になっています。これにより、アゴなど起伏のある形状にもある程度外刃が追随し、肌に負担をかけない深剃りが可能になります

 

《操作性》

重さはあるがホールド感はまずまず。ヘッドの可動性はやや物足りない

IZF-V998は重さが約268g。手に持つとずっしりとした重みがあり、特に本体上部に重心があると感じます。また、グリップの角張った部分に人差し指が当たり、ゴツゴツとした無骨な印象です。

 

では、持ちにくいかというとそうではなく、本体が重いせいもあってしっかり手のひらに収まります。3分程度の使用時間なら、「使っていて疲れる」という感覚もありませんでした。

↑グリップはやや大きめながら、持ちにくさは感じず。筆者は手がわりと小さめですが、問題なく使いこなせました

 

↑ドット入りのグリップは滑りにくく、ヘッドをしっかりコントロールできます。グリップ上部の窪み部分に人差し指を添えるよう、デザインされているのかもしれませんが、かなり重いうえに重心がかなり上にあるため、筆者の場合は写真の位置に人差し指を置いた場合に最も安定感がありました

 

↑親指部分にシボ入りでしっとり感のあるラバー素材が使われています。このデザインはパナソニック・ラムダッシュの上位モデルとよく似ています

 

ヘッドの動きに関しては、「肌への負担」の項目でも書きましたが、ヘッドが左右にしか動かないのが高級シェーバーとしては物足りなさを感じました。剃り残しなく、また肌に負担をかけずにヒゲを剃るには、ユーザーが丁寧にヘッドの角度などを調整しながらシェービングする必要があると感じました。

↑ヘッドの左右の首振りはかなり浅め。動きもやや固く感じました

 

電源ボタンは一度押すと「通常モード」で運転スタート。もう一度押すと「ターボモード」になり、さらにもう一度押して運転終了します。つまり通常モードでヒゲを剃ったあと、もう2回ボタンを押さないと運転終了できません。細かい部分ですが、これには毎回少しだけ煩わしさを感じてしまいました。逆に「ターボモード」をふだん使う人は、毎回2回ボタンを押してヒゲを剃り始めるのが気になるかも。

 

電源ボタンとモード変更ボタンを別にするというのもありますが、そうすると操作する場所が2つになる面倒もありますし、コストも余計にかかるので、難しいところです。せめて最初にボタンを押したときに「ターボモード」になり、次に「通常モード」になるとモーターパワーがだんだん弱くなるイメージで運転終了できるので、気分的にも煩わしさが少ないかなと思いました。

 

充電時間は2時間で、フル充電すると、1日1回3分のシェービングが28日間行えます。これはシェーバーのなかではかなりスタミナがあるほう。ただ、本機には洗浄充電器がついており、毎日使用後に電気シェーバーを洗浄したい人には「28日使える」のはオーバースペックと言えなくもありません。その代わり、出張に持っていく場合は、かなりの長期出張でも電源アダプターを持っていかずに済みそうです。

↑充電残量は100%から0%まで1%刻みで表示されます。数字で表示されるので、わかりやすいですね

《メンテナンス性》

洗浄充電器が付いて手入れがとにかくラク! だが洗浄・乾燥時間は長い

IZF-V998には充電機能付き洗浄器が同梱。へッドの洗浄と乾燥、充電までボタンひとつで行えます。コースは洗浄、乾燥、充電をすべて行う「全自動コース」のほか、「乾燥・充電コース」「充電コース」を搭載。洗浄は約30分、乾燥は約5時間、充電は0分~約2時間と、かなり時間がかかります。また、洗浄中にヘッドの汚れを落とすために本体の電源がオンになる時間が何回もあるのですが、これがかなりうるさい点が少々気になりました。

↑洗浄器のコースセレクトボタンを押すごとに「全自動コース→乾燥・充電コース→充電コース→スタンバイ」とコース変更。洗浄、乾燥、充電の各運転状況と進行度合いがランプ表示されます

 

↑「全自動コース」終了後に外刃とヒゲくず受けの洗い残しをチェック。ヒゲくず受けにわずかに洗い残りが見られました

 

↑専用洗浄液(SLC-083)は1日1回使用で約2週間ごとに交換するのが目安。量販店で3パック1050円前後で購入できるので、1か月あたりのランニングコストは700円程度です

 

また、洗浄器を使わずヘッドを洗う場合は、別売の水洗い専用フォーム(SF-02)のほか、市販のハンドソープを使うことができて経済的。乾燥には洗浄器の「乾燥・充電コース」が使えます。

↑市販のハンドソープなどを外刃全体に付け、約15秒間シェーバーを運転。その後外刃を外してから流水かぬるま湯で洗い流します。また、市販のハンドソープなどで洗う場合は、毎回洗浄・乾燥後に付属のシェーバーオイルをつけると、剃り味が長持ちします

 

《付加機能》

キワゾリ刃にロック機能と、付加機能は極めてスタンダード

ヘッド後方にキワゾリ刃(トリマー刃)を搭載。ヒゲが長く伸びすぎているときは、これであらかじめヒゲを短くしてからシェービングすると、効率よくヒゲが剃れます。ただ、もみあげやヒゲの手入れをする用途としては、キワゾリ刃がかなり小さく、大型ヘッドの裏に隠れるかたちになるため、かなり見えにくいです。本格的にヒゲをケアするなら、やはり専用機を使うのがオススメです。

↑本体背面の「キワゾリボタン」を押し上げると、跳ね上げ式のキワゾリ刃が起き上がります

 

↑通常の持ち方でキワゾリ刃を使うと、トリミング中に跳ね上げた刃が倒れてしまうのが残念。そこで試しに本体を逆手で持ってキワゾリ刃を使うと、刃が倒れることなく、刃が肌に当たる部分も見やすかったです

 

また、旅行や出張に携帯する際に、忘れずに使ってほしいのが「トラベルロックモード」。電源ボタンを3秒以上長押しするとロックモードになり、カバンの中などで誤って電源が入るのを防げます。モードを解除する場合は、もう一度電源ボタンを3秒以上長押しします。

↑電源ボタンを3秒以上押し続けると赤い「カギ」マークが点滅し、トラベルロックモードに。このモードに入っているときに電源ボタンを押すと「カギ」マークが点滅するだけで電源が入りません

 

↑旅行・出張時の携行に便利な軽量のハードケースを付属。グッと押すと適度にしなる「セミハード」タイプですが、携行にはまったく問題ありません

【検証のまとめ】

5枚刃とモーターパワーで深剃りを実現する“質実剛健”ぶりが好印象!

IZF-V998を語るうえで外せないのがそのリーズナブルな価格。現在家電量販店でも2万円を切っており、5枚刃で全自動洗浄充電器まで付いているのは破格です。

剃り味に関しては、パナソニックやブラウンといった「深剃り」に定評のあるメーカーの高級モデルに迫る実力を感じました。センサーや様々なくせヒゲに対応する多彩な外刃などはありませんが、パワフルなモーターで豪快に剃り進んでいく「質実剛健モデル」という印象です。

 

一方「肌へのやさしさ」に関しては、やや物足りなさを感じました。特に無意識のうちにヘッドを肌に強く押し付けてしまう人は注意が必要。逆にいうと、肌が極端に弱いわけでなく、またそこまでの深剃りを求めない人なら、ヘッドをできるだけ「肌に軽く当てる」ことを意識しながらシェービングすれば、本機は問題なく使えると思います。

 

重いがホールド感は問題ナシ。出張にも安心なスタミナが魅力

操作性に関しては、まずかなり重く(特にヘッド部が重く感じる)、手に持つとゴツゴツしている印象です。が、グリップのホールド感は問題なし。外刃は独立フロート構造になっていますが、ヘッドが左右だけにしか動かないので、顔の形状への追随性は少なめ。ユーザーがヘッドの角度を細かく調整する必要があります。一方フル充電で1日1回約28日間シェービングできるのは、こまめに充電したくない人や、出張が多い人にはメリットです。

メンテナンス性では、何よりこの価格帯で洗浄充電器が付いているのが魅力。ただし、洗浄・乾燥時間はかなり長くかかります。また、専用洗浄液の1か月のランニングコストが700円というのも、ユーザーによってはやや高いと感じるかもしれません。

 

付加機能に関しては、キワゾリ刃(トリマー刃)とロック機能を搭載していますが、特に注目すべき機能とまでは言えませんでした。ちなみに「深剃り具合」の項で触れましたが、運転モードで「通常モード」のほかに「ターボモード」を装備し、より短時間のシェービングに対応できるのは、便利な“付加機能”と言えるかもしれません。

 

「5枚刃搭載」&「洗浄充電器付き」でアンダー2万円は文句なしにオススメ!

ということで、細かい部分ではやや物足りない点もありますが、「5枚刃搭載」「洗浄充電器付き」という高級モデルならではの機能を実現しつつ、破格の2万円切りを実現したのは見事!  肌が弱い人はやや注意が必要ですが、「5枚刃」による爽快な剃り味とメンテナンスフリーの手軽さを手ごろな価格でお試ししたい人には文句なしにオススメ。満足度も高いと思います。