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掃除機
2020/3/5 19:30

「唯一無二のルンバ」とのアピールも納得! 初の「円形じゃない」最高級モデルは何が違う?

アイロボットジャパンが、ロボット掃除機の新製品「ルンバ s9+」(実売価格18万6780円)を2月28日に発売しました。新製品は、同社いわく「唯一無二のルンバ」とのこと。いったいどこが唯一無二なのか、発表会の取材を通してその詳細をレポートします!

↑「ルンバ s9+」はマットブラックとブラウンを基調としたデザイン

 

日本での発売を遅らせたのは、日本向けにナビゲーションを調整するため

家電に詳しくない人でも「ロボット掃除機」といえばアイロボット社の「ルンバ」を連想する人が多いのではないでしょうか。現在、アイロボットは全世界で累計3000万台の家庭用ロボットを販売しており、日本国内だけでいえば、マーケットシェアは74.7%(2019年上半期実績)。人気の高さがうかがえます。そんなアイロボットは今年で30周年。その間に蓄積した技術との英知を集約させたのが「ルンバ s9+」です。

↑アイロボットのコリン・アングルCEO(左)とルンバ s9+。アングル氏は本機を「美しく知性があるだけでなく、ビーストのようにパワフル!」と自信たっぷりに紹介していたのが印象的でした

 

↑従来は円形だったボディがDの字型に。中央の金属部分が高級感を演出します

 

なお、本機はアメリカ、ヨーロッパで先行して販売されていた製品。全世界で同じものを販売するグローバル戦略を取る同社ですが、日本での発売を遅らせた理由は何でしょうか?

 

「日本のお客様は他国のお客様よりも、要求する品質水準(掃除性能)が高い傾向にあります。そこで、先に販売したアメリカやヨーロッパのお客様の声を聞き、日本向けに調整しました。特に、日本では部屋の広さに対して家具などの密度が高いため、ナビゲーションが複雑になる点を調整しています」(同社CEOのコリン・アングル氏)

 

では、日本向けにしっかり準備してきたというルンバ s9+の詳細を、以下で紹介していきましょう。

 

D型シェイプの採用で壁際まで掃除でき、ブラシの幅も約30%アップ

ルンバ s9+は「ウルトラエッジデザイン」と呼ばれるD型シェイプを採用しています。これにより、本体前方に2本のゴム製のデュアルアクションブラシを搭載することができ、部屋の隅や壁際のゴミまでキレイに掃除ができるというわけ。従来の円形の場合、デュアルアクションブラシはタイヤとタイヤの間に配置せざるをえず、どうしても幅の制約がありました。今回、本体の前方に配置したことで、ブラシの幅が約30%アップしています。

↑従来品(左)とルンバ s9+(右)の比較。ルンバ s9+はゴム製のデュアルブラシを前方に搭載。ブラシの幅も従来比で30%アップしています。さらにこれまで3本だったサイドブラシ本数は5本になり、より効率よくゴミを収集します

 

高性能センサーを搭載し、D型シェイプを実現。吸引力も40倍に

しかし、単純にD型にしただけでは、角の部分が引っかかって進めなくなってしまうという課題があります。いままではこの課題がクリアできなかったからこそ、これまでのルンバは円形を採用していました。円形だと、狭いスペースに入り込んでも、容易に回転できるからです。

 

そんな「円形にしかできない」という課題を解決したのが、本体のフロント部分に搭載した高性能センサー。このセンサーが壁の位置や構造を立体的に把握することで、どんな環境でもスマートな動作が可能に。回転できるときは回転し、回転できないような狭い場所に入り込んだときにはそのままバックするなど、的確に感知し、判断できるようになったのです。この高性能センサーとD型シェイプの組み合わせを、同社では「Perfect Edgeテクノロジー」と呼んでいます。

↑本体と同じくらいのすき間に入り込んでも奥まで掃除。さらにバックして一度広い場所に出てから方向転換しています

 

このほか、内部構造の効率化などにより、吸引力はスタンダードモデルの600シリーズと比較してなんと約40倍にアップしました。また、独自技術「AeroForce3段階クリーニングシステム」を引き続き搭載。こちらはエッジクリーニングブラシとデュアルアクションブラシ(一方のブラシが汚れを浮き上がらせてかき出し、もう一方のブラシが逆回転するシステム)、吸引力を高めたパワーリフト吸引を組み合わせてゴミを確実に捕らえる仕組み。

 

しかも、カーペットでは自動で吸引力がアップするパワーブーストが働き、カーペットの奥に入り込んだゴミをしっかりと吸い込みます。なるほど、特別なD型シェイプと600シリーズの約40倍という吸引力を見れば、「唯一無二のルンバ」というのがよくわかりますね。

 

ダスト容器30杯分のゴミを収納する「クリーンベース」を搭載

従来モデル「ルンバ i7+」で搭載したクリーンベース(自動ゴミ収集機)も引き続き搭載。これは、ゴミ収集用のボックスと充電ドックが一体化したもの。掃除が完了すると、ルンバ本体のダスト容器のゴミを、クリーンベース内の密封型紙パックに自動で排出するのでお手軽です。ゴミ捨て時にゴミが舞い上がらないのもメリット。クリーンベース内に収納できるゴミの量は、ダスト容器30杯分となっており、数週間はゴミ捨てを気にする必要はなくなります。

↑ルンバとクリーンベースのドッキング部分の密閉性も高めたので清潔です

 

独自の「vSLAMナビゲーション」を採用し、最適な清掃パターンを選択

ナビゲーションシステムは独自の「vSLAMナビゲーション」を採用。光学センサーで毎秒23万400以上のデータポイントを収集し、1.3GHzのクアッドコアプロセッサーで処理し、出来上がった地図情報を複数重ね合わせて画像を学習する「Imprintスマートマッピング」で家の中の環境を正確にマッピングします。ルンバ自身が、いま家の中のどの場所にいるのかを正しく認識するため、掃除が終わったエリアとこれから掃除するエリアもしっかり判別し、効率良く掃除を行います。

 

部屋の間取りや状況も学習して都度最適化していくため、部屋を指定して掃除ができるほか、最適な清掃パターンを選択し、部屋から部屋への効率の良いルート取りなども的確に行います。

↑学習前の動き(左)に比べて、間取りを学習した後(右)は部屋や広さなどを判断して効率良く掃除しています

 

同社の床拭きロボットと連携してより細かい設定も可能

本機は同社の床拭きロボット「ブラーバ ジェット m6」と連携する「Imprintリンク」にも対応。ルンバ s9+が掃除を終えたらブラーバ ジェット m6が拭き掃除を開始する、といった使い方ができて、床掃除をロボットにお任せできちゃいます。スマホアプリ「iRobot HOME」を使えば、「ルンバでリビングとキッチンを掃除した後、キッチンのみブラーバで水拭き」といった細かい設定も可能なので、よりニーズに応じた掃除ができるのもうれしいですね。

↑「Imprintリンク」のイメージ。ルンバとブラーバ ジェットが自動で連携してくれたら、まさに鬼に金棒ですね

 

↑発表会のお土産として頂いたもの。左から4つは過去のモデルのカプセル玩具「ガシャポン iRobot Roomba」で、本体を後ろに引っ張って手を放すと動き出す仕組み。一番右がルンバ s9+のミニチュアで、デザインの進化は一目瞭然

 

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