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掃除機
2020/3/12 18:00

最新モデル「丸くないルンバ」を使って感じた強烈な快感…とにかく「隅」が気持ちいい!

史上最高峰と思われた「ルンバ i7+」が2019年3月に発売されてからわずか1年。まだその衝撃が残るなかで、新たに進化系プレミアムモデルが登場するとは……。それが2月28日に発売された「ルンバ s9+」です。本体のフォルムが円形からD型に変更され、部屋の隅や壁際に強くなったうえ、吸引力も従来(600シリーズ)の約40倍と大幅にパワーアップしたといいます。実売価格はルンバ i7+(14万2868円)より約4万4000円高い18万6780円ですが、果たしてどれだけ違うのか? さっそく使用感をレビューしていきます!

↑2月28日に発売された最新モデル「ルンバ s9+」

 

ルンバ i7+の新機能を踏襲

ルンバ s9+について語るには、まずは昨年に発売されたルンバ i7+がどのようなモデルなのか知っておく必要があります。 i7+の大きな特徴は①ダスト容器のゴミを自動で排出する「クリーンベース」の搭載と、②部屋の環境を学習・記憶する「Imprintスマートマッピング」です。

↑ゴミを吸引する「クリーンベース」と間取りを学習・記憶するImprintスマートマッピングが便利すぎると話題になった「ルンバ i7+」

 

ルンバ i7+がお掃除ロボットとしての利便性を格段に上げたのが、①のクリーンベース(充電台)の採用。掃除を終えて充電台に戻ってくるたび、ダスト容器に溜まったゴミを自動で吸い上げてくれるので、数週間以上はゴミ捨てをする必要がなくなりました。まさにルンバに一切手を触れることなく、日々の掃除が済ませられるようになったのです。

 

また②の「Imprintスマートマッピング」も、掃除の仕方を大きく変えてくれる機能でした。ルンバが掃除をするたび、部屋の環境を学習して記憶し、部屋から部屋へのルートを賢く判断。記憶した間取りはアプリ上で部屋の名前を登録することで、「今日はリビングとキッチンだけ」など、掃除したい部屋を指定できるのが便利です。掃除終了後は、間取り図をベースに掃除の結果が見られるので、ルンバがどこを掃除してくれたかチェックすることが可能。

 

↑部屋の名前を登録しておけば、掃除したい部屋だけ掃除できます

 

さらに2019年10月のアップデートにより搭載された新機能として、アプリ上で「進入禁止エリア」が設定できるようになりました。例えばわが家の場合、ルンバが毎回玄関のたたきに落ちて登れなくなるため、玄関には近づかないでほしい、犬を飼っているので、水入れにぶつかるとこぼれるので近づかないでほしい、という要望があります。従来モデルでは赤外線を発する「バーチャルウォール」を置いて制御していましたが、これがアプリ上で設定するだけでOKに。格段に手軽になりました。

 

…と、ルンバ i7+でもこれだけの進化を果たしたのに、ルンバ s9+はこれらの機能を踏襲しつつ、さらなる進化を遂げたということになります。

 

↑掃除してほしくない場所は「進入禁止エリア」として設定すればOK

 

ルンバ s9+最大の特徴は高性能センサーが実現したD型シェイプ

↑アルファベットのD型になったルンバ s9+。プレミアムモデルらしく、トップには高級感のあるゴールドを採用しています

 

ルンバ s9+最大の特徴は、なんといってもこのD型のシェイプ(同社はこれをウルトラエッジデザインと呼んでいます)。ここにきて初代モデルから受け継いできた円形を変えてくるとは驚きでした。そもそもロボット掃除機のD型は、数こそ少ないものの、すでに採り入れているメーカーはいくつかあり、私も過去に試用したことがあります。ルンバまでD型になるとは、やはりこの形にはメリットがあるのか……。

 

ちなみに、なぜルンバはいままで円形にこだわってきたのかというと、円形は袋小路のような狭い場所でも旋回して抜け出しやすい、という利点があるからだそう。その点、ルンバ s9+は高性能センサーを搭載することで奥行きを検知することが可能。入り込んで抜けられなくなるトラブルも回避できるようになったため、D型を採用しても問題がなくなったというわけです。

↑本体前面に搭載されたセンサーが、進入可能かどうかを見極めます

 

D型フォルムにより隅のゴミにもアプローチしやすくなった

D型の大きなメリットは、隅までアプローチしやすいということ。まず前方が直線になったことで、壁際までぴたっとアプローチできます。同社はこのD型シェイプと高性能センサーにより、壁際までしっかり清掃できる技術を「Perfect Edgeテクノロジー」と呼んでいます。

 

またブラシも前方の直線部分に取り付けることで、ルンバ i7+よりブラシ幅が30%長くなり、一度に取れるゴミの量がアップ。ゴミをかき集めるコーナーブラシも3本から5本に増え、隅のゴミをかき出しやすいという26度の角度で取り付けられています。

↑ルンバ s9+(左)は、2本のデュアルアクションブラシ(緑の部分)の長さも位置も従来品(右)に比べて大きく変わりました。また向かって左上のコーナーブラシは、長さは短くなったものの、部屋の隅までしっかり届きそうです

 

このほかの進化ポイントとしては、高性能のクアッドコアプロセッサーを採用したvSLAMナビゲーションによる「Imprintスマートマッピング」で家の中の環境を詳細にマッピングし学習するほか、ルンバ600シリーズと比較して吸引力が40倍にアップしたとのこと。果たしてこの進化が実際のお掃除にどれだけ違いをもたらすか、気になるところです。

 

隅にハマったときがとにかく気持ちいい!

前置きが長くなりましたが、さっそく使ってみましょう! クリーンベースで充電後、Wi-Fiネットワーク環境下でスマートフォンにダウンロードした「iRobot HOME」アプリにルンバ s9+を登録。これにより、操作はすべてスマートフォンから可能になります。準備ができたら「CLEAN」ボタンを押して掃除をスタート。初めて掃除する部屋の場合、少々“探検”しますが、3回ほど掃除すると間取りを覚え、境界線を引いて部屋の名前をつければ個別に管理できるようになります。

 

実際に掃除を始めて最初に気づいたのは、ルンバ i7+より音が大きいということ。さすが吸引力が強いだけあって、吸込音に加え、ゴロゴロという音もします。掃除する時間帯によっては音が気になりますが、そんなときはアプリの「清掃モード設定」から、吸引力を抑えて静かに掃除してくれる「静音クリーン」を選べばOK。もちろん吸引力は落ちてしまいますが。

 

あとはやっぱり、隅に強い! 壁際に来ると、コーナーブラシを押し付けるようにして、ツツツツ……と掃除してくれます。そして部屋の角の部分に、ものの見事にハマったときに気持ちよさと言ったら……。「そうそう、コレをやってほしかったのよ!」と心底思いました。

↑部屋の隅にピタっとハマりました! ブラシでしっかりかき出してくれるようになり、ゴミの取り残しも激減!

 

↑隅に重曹をまいた状態(左)でも、ブラシでかき出しながらしっかり取り除いてくれました(右)!

 

袋小路に入り込む瞬間も目撃。わが家には、壁とペットのケージの間にムダな凸凹があり、なかなか掃除が行き届かないのが悩みでした。それが下の動画の部分。意外と狭そうに見えますが、ルンバは躊躇なく入り込み、角もしっかり掃除したあと、にじりながらバックして出てきました。君、バックもできるんかい!

↑バックするルンバ s9+

 

そのほか、袋小路とまではいきませんが、壁とソファの隙間にある人一人がやっと通れる隙間、ベッドの下など、自分では掃除しづらい場所の掃除をしてくれるのもうれしい点。ロボット掃除機を使う大きなメリットといえるでしょう。

 

吸引力は申し分なし。カーペット用のパワーブースト機能もうれしい

それにしても吸引力40倍ってどれくらいなのでしょうか。ブラシがゴム製デュアルアクションブラシになったルンバ980以降、“吸引力10倍”(ルンバ600シリーズとの比較)をうたっており、十分キレイになると思っていましたが、そのさらに4倍なんて、ちょっと想像がつきません。

 

床に重曹をまいて吸引力をチェックしてみると……。片道では少々重曹を残しましたが、往復したことにより、重曹はほぼ取り除いてくれました。

↑往復で重曹をしっかり取り除きました

 

またルンバ i7+にはない機能として、カーペットを検知すると自動で吸引力を高めて繊維の奥まで掃除する「パワーブースト機能」を搭載。従来モデルのルンバ980には「カーペットブースト機能」がありましたが、それと同様の機能で、わが家のようにカーペットが多い家にはうれしい機能です。

↑カーペットに乗ると、「ウイーン」と音が変わり、吸引力がアップします。これは頼もしい!

 

ゴミ捨ての手間が少なく、衛生的なクリーンベースはやっぱり便利

さて掃除が終わるとルンバは自動で充電台「クリーンベース」に戻り、ものすごい勢いでダスト容器のゴミを吸い上げ、空っぽにしてくれます。これこそが「ゴミ捨ても自動でやってほしい!」というユーザーの声に応えた機能。私もついダスト容器のゴミ捨てを忘れがちで、ダメ人間だな~と思っていましたが、私よりルンバの進化のほうが早かった。これなら自分を責めずに済みそうです(笑)。

 

加えてもうひとつ、ゴミ捨てはその都度ホコリが舞い散るため、衛生面も心配です。クリーンベースは、中の紙パックにダスト容器30杯分のゴミを溜め、いっぱいになったらそのまま捨てられるので、ホコリの舞い散りはほぼゼロ。アレルギーが気になる人にとってうれしい機能ですね。

↑ゴミはクリーンベースの中にある紙パックに自動で集められるので、このまま捨てればOK

 

さらに便利なのが、「Imprintリンク」機能で床拭きロボット「ブラーバ ジェット m6」(実売価格7万6868円)と連携できるところ。ルンバが掃除を終えるとクラウド上でブラーバに合図が送られ、今度は自動でブラーバが掃除を始めてくれるのです。つまりルンバで掃除を指示するだけで、掃除機がけから雑巾がけまで終わってしまうということ。人の手をほとんど煩わせることなく、徹底的な掃除を叶えてくれます。なお、この「Imprintリンク」機能は、ルンバ s9+のほかルンバi7、ルンバ900シリーズにも搭載しています。

↑本機とブラーバ ジェット m6(右)をセットで使えば、床掃除から完全に解放される日々が実現!

 

↑「CLEAN」ボタンを押すと、「後で拭き掃除する」が選択でき、ルンバとブラーバのリレー掃除ができます

 

カーペットが多く、部屋の隅が気になるならルンバ s9+がいい!

今回、ルンバ s9+が出ると聞き、最初に思ったのは、「ルンバ i7+で十分なのに、まだ進化するんだ」ということでした。しかも18万6780円と、決断するにはかなりの勇気がいる値段。ただ、それでもやっぱり私はルンバ s9+を購入したい! 理由はあくまで超個人的なものですが、●部屋の隅にいつもホコリが溜まりがち ●袋小路のような狭い場所が結構多い ●カーペット敷きの部屋が多く、吸引力は高いほうがいい ●D形のデザインがスマートに見えて好き(笑)という点が挙げられます。

 

逆にいえば、家の形状やライフスタイルから考えて、ルンバ i7+で十分、スタンダードモデルのルンバ(実売価格4万9800円)で問題なし、はたまた他メーカーのほうが……という人もいるはずで、ニーズに合わせて選べる選択肢が増えたのはうれしいこと。いずれにしてもルンバ s9+は、手間とストレスを減らし、より暮らしをラクにしてくれる1台といっていいでしょう!

 

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