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2022/1/12 18:00

【飲み比べ】バルミューダのコーヒーメーカー「スタバモデル」と「通常モデル」の味はどう違う?

5万9400円(税込)と高額ながら、機能美や味わいで大注目を集めている「BALMUDA The Brew(バルミューダ ザ・ブリュー)」。2021年の10月に発売されましたが、まさかの続報に家電業界がまたザワつきました。「BALMUDA The Brew STARBUCKS RESERVE LIMITED EDITION(バルミューダ ザ・ブリュー スターバックス リザーブリミテッドエディション)」、いわゆる“スタバモデル”の発売です。

↑カッパーのサーバーが目を引く「BALMUDA The Brew STARBUCKS RESERVE LIMITED EDITION」。価格は6万4900円(税込)で発売中

 

最初に商品情報を知った時は、「どんなデザインなんだろ?」ぐらいにしか思っていませんでしたが、常識破りのバルミューダをなめてはいけませんでした。なんでも、こちらはスターバックスで最上級のコーヒー豆のブランド「スターバックス リザーブ」をおいしく淹れるために最適化されているとのこと。「それはいっそう気になる!」ということで、体験会に参加。しかも、その場で特別に通常モデルとの味の違いをチェックさせてもらいました!

↑会場は、中目黒にある特別な店舗「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」。「スターバックス リザーブ ロースタリー」は世界4か国に6店舗しかないとあって、メチャメチャおしゃれです

 

コーヒーは水1mlの違いで味が変わる

体験会の前半は、両社の責任者によるトークセッション。スターバックスジャパンのコーヒースペシャリスト・江嵜讓二さんと、バルミューダの商品設計部・太田剛平さんが開発秘話などを語りました。

↑江嵜さん(左)と太田さん(右)。会社同士が互いのブランドやカルチャーに尊敬し合える関係性で、共同開発は楽しかったと振り返りました

 

協業は今回が2度目。過去には2019年に発売された電気ケトル「BALMUDA The Pot(バルミューダ ザ・ポット)」のスターバックス リザーブ限定モデルがあります。その企画と並行して今回のコラボモデル開発も進めていたとか。江嵜さん曰く、長年、スターバックスジャパンとしてもオリジナルのコーヒーメーカーを作りたいという思いがあり、今回のモデルは悲願だったそうです。

↑機能の独自性はボタンだけを見ても明らか。抽出モードはHotとIcedの2つ(通常モデルではICED、STRONG、REGULARの3つ)。また、店舗で注文するときと同様にShortとTallの2サイズから選べるようになっています(通常モデルでは1~3CUPS)

 

↑横から見ると、タンクの目盛りにも違いが。また、スタバモデル(右)のほうはサーバー下部に「★/R」のロゴが印字されています

 

江嵜さんと太田さんのトークで筆者が印象に残っていることのひとつが、コーヒーは水1mlの違いで味が変化する世界だという話。それは温度や注湯のタイミングもしかり。江嵜さんはもちろん、太田さんにもその認識があるため、機械の制御などを緻密に作り込み、毎回同じ味を安定して再現できるようこだわったとのことです。

↑デザインにもこだわりが。スタバモデル(右)はマットブラックとカッパーのカラーリング。表記のフォント(文字の書体)もスターバックス リザーブで使われているものをあしらい、トータルで世界観を体験できるようになっています

 

雑味が少ない豆を湯にしっかり浸らせる

続いて、今回のスタバモデルが通常モデルの「BALMUDA The Brew」とはどう違うのか、太田さんに聞きました。

 

「大きな違いの一例を挙げるとすれば、抽出時にどれだけコーヒー豆がお湯に浸かるか。浸かりやすいレシピで設計したのがスターバックスモデルです。より浸かっているぶん豆本来のポテンシャルを引き出せるのですが、雑味が出てしまう点も否めません。ただ、本機で推奨しているスターバックス リザーブの豆はもともと高品質で雑味が少ないので、おいしい部分だけを抽出できるのです」(太田さん)

 

一方で通常モデルの「BALMUDA The Brew」は、あらゆるコーヒー豆の使用を想定しているため、汎用性が高いレシピになっているとか。そのぶん、推奨している豆の量にも違いがあると太田さんは言います。

 

「1杯ぶんの量は、通常モデルが33gでスターバックスモデルが25g。どちらも『BALMUDA The Brew』独自のバイパス注湯(※)は行いますが、その湯量もそれぞれ違いますね」(太田さん)

 

※バイパス注湯……3/4ほどの湯量でコーヒーを抽出したあと、コーヒーサーバーに残り1/4ぶんのお湯を注ぎ“ストロング&クリア”を実現する「BALMUDA The Brew」ならではの機能

↑それぞれの豆の既定量がこちら。よく見ると左の通常モデルのほうが、コーヒー豆(挽いた粉)が多くなっています

 

では、スターバックスのコーヒー豆を使うならどんな種類がいいのでしょうか。こちらは、より詳しい江嵜さんに質問。すると、フレーバーに個性があるタイプがオススメと言います。

 

「ブレンドコーヒーとシングルオリジン(単一農園・単一品種)のどちらがよいかといえば、やはりシングルオリジンでしょう。なぜなら、基本的に豆の個性や繊細な風味をより感じられるのがシングルオリジンだからです。例えば、極めて希少で高価ですが『ゲイシャ種』のシングルオリジンなどはフレーバーが実に優美でオススメですよ」(江嵜さん)

 

スタバモデルはボディが豊かでまろやか&華やか

それではいよいよ、通常モデルで淹れたコーヒーと「BALMUDA The Brew STARBUCKS RESERVE LIMITED EDITION」で淹れたコーヒーの飲み比べをしていきましょう。今回使った豆は、スターバックス リザーブの「スマトラ」という高品質なタイプ。それぞれのコーヒーメーカーで同じ「スマトラ」を使い、通常モデルは「REGULAR」、スタバモデルは「Hot」で同時に抽出し、飲み比べを行いました。

↑左が通常モデルで右がスタバモデル。まずは蒸らし、そしてドリップ。太田さんの言う通り、注湯の強弱や「注ぐ・止める」のタイミングなどに違いがあります

 

「それぞれのフィルターの中をよく見比べてください。スターバックスモデルのほうが、豆のふちに見えるお湯が多いはずです。イメージでいうと“浸って落とす、浸って落とす”。つまり、十分に豆をお湯に浸らせてドリップする、という工程を繰り返すんです」(太田さん)

 

見てみると、確かにスタバモデルのコーヒー豆のほうがお湯を多く含んでいる印象。使用する豆の量が少ないことも関係しているかもしれません。

↑右のスタバモデルのコーヒー豆のほうがお湯を多く含んでいる印象があります

 

実際に飲み比べてみると、やはり明確な違いがありました。どちらも香り高く、「スマトラ」のコクの深さや甘やかでスパイシーな印象がしっかり出ています。そのうえで、通常モデルで淹れたほうはクリアでブライト。スタバモデルはボディの強さや、まろやかな口当たりをより豊かに感じました。また、酸味に関しては通常モデルがすっきり、スタバモデルは華やかな方向性に引き出している印象です。トータルで見ると、やはりスタバモデルのほうが豆の個性を強く引き出していると感じました。

↑同じ豆なので、コーヒーの色に違いはありませんが、味には明確な違いがあらわれました

 

というわけで、個人的にはコーヒービギナーや、色々なコーヒー豆を試したい人は通常モデルの「BALMUDA The Brew」。スタバ好きの人や、高品質なスペシャルティコーヒーにこだわっているような愛好家には「BALMUDA The Brew STARBUCKS RESERVE LIMITED EDITION」がオススメです。

 

厳選された豆を特別なモデルで淹れる体験は、家で過ごす時間をきっと豊かにしてくれるはず。スタバモデルを選んで、とことん豆にこだわってみるのも面白いのではないでしょうか。

 

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