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2017/3/26 19:00

「きたせん」開通! 神奈川県の首都高新設が相次ぐ理由と利用者のメリットは?

3月18日土曜日、首都高速道路の「きたせん」こと神奈川北線(ルートマークK7)が開通した。これにより第三京浜道路の港北インターチェンジ(IC)付近と首都高速道路横羽線(K1)生麦ジャンクション(JCT)がつながった。すでに横羽線の生麦JCTと湾岸線(B)大黒JCTは大黒線(K5)で結ばれているから、第三京浜から湾岸線へ一気に行くことができるようになった。さらに湾岸線の神奈川地区では、これに少し先駆けた3月4日、本牧JCTと三渓園出入口の間に、南本牧ふ頭出入口が新設されてもいる。

↑3月18日、横羽線・生麦JCTと第三京浜・横浜港北JCTを結ぶ「きたせん」が開通した(出典:「きたせん」公式サイト)
↑3月18日、横羽線・生麦JCTと第三京浜・横浜港北JCTを結ぶ「きたせん」が開通した(出典:「きたせん」公式サイト)

 

神奈川県の首都高速はこれで完了というわけではない。第三京浜との結節点になった港北JCTからさらに北西に伸び、東名高速道路の横浜青葉IC付近に到達する予定になっている。こちらのルートマークはまだ決まっていないが、路線名は横浜環状北西線(愛称:ほくせいせん)となっている。

↑さらに2020年には、第三京浜・横浜港北JCTから東名高速・横浜青葉JCTを結ぶ「ほくせいせん」が開通予定。これにより東名と横羽線がつながる(出典:「ほくせいせん 」公式サイト)
↑さらに2020年には、第三京浜・横浜港北JCTから東名高速・横浜青葉JCTを結ぶ「ほくせいせん」が開通予定。これにより東名と横羽線がつながる(出典:「ほくせいせん 」公式サイト)

 

2年前に中央環状線(C2)の通称「山手トンネル」が全通したことで、首都高速の整備は一段落と思っていたら、ここへきて神奈川県の路線や出入口のニュースが相次いで飛び込んできた。ではなぜこれらの路線が作られるのだろうか。

 

首都高速のウェブサイトでは、羽田空港、新横浜、山下公園といった横浜の観光拠点を結び、「港」と「空」へのアクセスがさらに便利になったことを謳っているけれど、筆者はそれ以上に物流面のメリットが大きいと考えている。東京湾岸は物流の一大拠点でもある。首都高速湾岸線をドライブしたことがある人なら、コンテナのターミナルを何か所も目にしたことがあるだろう。現時点では正式に稼働するかどうかは分からないが、東京都中央卸売市場の築地市場に代わる存在として整備が進む豊洲新市場も、湾岸線の近くにある。

 

そして東京と名古屋を結ぶ東名高速道路もまた、名古屋と京阪神を結ぶ名神高速道路ともども、物流の大動脈である。新東名/新名神高速道路という第2ルートの存在が、それを証明している。

 

でも今年2月26日に茨城県区間が全通し、東名高速から東関東自動車道までを結ぶことになった圏央道こと首都圏中央連絡自動車道は、湾岸線には直結していない。圏央道が接続している海沿いの道は新湘南バイパスで、ここから湾岸線に抜けるには、渋滞の名所として関東地方のドライバーにはおなじみの横浜新道を通過しなければならない。東名高速を横浜町田ICで降り、湾岸線に向かうという考え方もある。しかしこちらも保土ヶ谷バイパスという一般道を経由することになり、交通集中によって時間を要することが多い。

 

そこで多くのドライバーが使っているのが山手トンネルだ。これなら高速道路に乗ったまま東名高速から東関道に抜けることができる。ところがこちらも最近、渋滞に見舞われることが多くなってきた。トンネルということで夏は高温になり、ミストを噴射することで対処しているほどである。

 

そもそも圏央道が作られたのは、東京都心への交通集中を防ぐという目的がある。しかし東名高速と湾岸線の間では、それが果たせていない。そこで横浜青葉ICから第三京浜の港北IC付近を通って首都高速の神奈川線や湾岸線に到達するルートが考えられたようだ。つまり今回開通した神奈川北線だけでは目的を果たしているわけではなく、横浜環状北西線が完成して初めて完結する道路だと考えている。

 

筆者も先日、開通したての神奈川北線を走った。港北JCTで第三京浜に別れを告げ、真新しいアスファルトに踏み入れる。しばらくは日産スタジアムや新横浜駅周辺のビル群を望めるが、間もなくトンネルに入り、出るとすぐに生麦JCTに到達する。景色はあまり楽しめないけれど、最短経路に近いルートで結んでいるので、カーブは少なく、所要時間は短い。この点からも、観光より物流を重視して作られた道路であることが理解できる。

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ちなみに残る横浜環状北西線の開通は2020年を予定しており、工事が進んでいる。こちらもルートのほとんどがトンネルになる予定で、途中に出入口はなく、ダイレクトに東名高速と第三京浜を結ぶ予定になっている。

 

【著者プロフィール】

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

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