2016年3月に開業した北海道新幹線と同時に、北海道函館市で始まった雨傘の無料貸し出しサービス。しかし、傘を借りたまま返さない人が続出し、本年度で廃止されることがわかった。このニュースにネット上では「こういうニュース見ると、なんか悲しくなる」といった声が上がっている。

“おもてなし”の気持ちで始めた無料貸し出し
函館ではじまった傘の無料貸し出しは、JR函館駅や五稜郭駅など市内6か所にある貸し出し・返却スポットに行けば、誰でも無料で利用できるサービス。函館市のロゴマークが入った新品のビニール傘を用意して、観光客へのおもてなし向上のために始まった。
サービス開始当初は「100円の傘じゃ壊れてしまうかもしれない」との思いから500円ほどの傘を1000本ほど用意していたそう。しかし、ゴールデンウィーク明けに100本の傘がなくなり、急きょ500本を追加購入。2016年末までに100円傘を買い足して合計2300本を投入したのだが、2100本が未返却のまま。未返却本数が多すぎて、今月末でサービスが終わることになってしまった。
このニュースにネットからは「善意の負け。悲しいニュースだ」「せめて半分くらいは返してくれると思ったんだろうが… お人好し過ぎたのかもね」「無料のものは借りた側も管理が甘くなってしまうし、罪の意識も薄くなってしまうんだろうね」といった声が上がっている。
傘レンタルってどのくらい普及してたの?
実は北海道では、札幌市電でも傘の無料サービスを行っている。こちらのサービスは4月から11月末まで、市交通局に届けられて保存期限が切れた傘を活用しているそう。2006年度から行っているというが、これまでの返却率は47~53%。2016年度に限っては5657本を貸し出したが2743本が未返却で、市交通局は「返却して」と促している。
また、東京・渋谷で2007年から本格的に行われていた「シブカサ」というシェアリング傘もいつの間にかサービスが終了。2003年と早い段階から傘の貸し出しサービスを行っていた京王線は、返却がなく補充が追い付かないとして2005年に貸し出しサービスを終了していた。
しかし、“しゃべる自販機”でおなじみのダイドードリンコは、2015年10月から傘の貸し出しサービスを大阪市内の自販機60台で試験的に開始している。自販機の横に「レンタルアンブレラBOX」を取り付けたこのサービスは、自販機で飲み物を買わなくても誰でも利用可能。大阪市で好評だったため、2016年6月からは貸し出しエリアを大阪・京都・和歌山などの関西エリア170台に拡大して実施していた。
この取り組みは「自動販売機を活用した地域社会貢献活動」や「雨の日に自販機へ足を運ぶキッカケづくり」といった目的があるそう。この貸し出し傘には「DyDo」のロゴが大きく入っており、返却忘れ防止や宣伝効果も期待できる。ダイドーの担当者は、関西で傘が多く活用され、他地域からの要望があればエリアを拡大したいと考えているようだ。