ライフスタイル
2017/5/15 6:00

邪道だけど便利!? ビジネスリュックの使い方で仕事ができるかどうかがわかる

「スーツにリュックは是か非か」という取材を数年前に受けたことがあります。当時はまだビジネスリュックが出始めた頃で、その存在自体が問われていました。そのときの見解は以下のとおり。

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●ショルダーストラップで肩の芯地やパッドがずれ、スーツが型くずれするので望ましくない。

●ただし1枚仕立てなど、副資材を排したジャケットならOK。

●ビジネスバッグとして使うならアウトドア系のナイロンリュックよりシンプルなデザインのレザーリュックがおすすめ。

 

いまや百貨店のビジネス鞄のコーナーには、アウトドアリュックとは一線を画したビジネスリュックが百花繚乱です。かくいう筆者も先日、リュックとして背負えるナイロンのトートバッグを購入したばかり。パニエケースの似合わない1600ccのアメリカンバイクにスーツで跨るのにショルダーバッグはイマイチバランスが思わしくなく、考えあぐねて行き着いたビジネスリュック。上掲のようなコメントを出していたにも関わらず、このタイミングで導入したのは「スーツにリュックは邪道」とどこかで思っていたからなのですが…。

 

しかしこれがなんと使い勝手が良好なこと。バイク時だけでなく、普段の電車移動時も愛用している始末。電車内でも邪魔にならない薄マチですが、後ろの人に当たる可能性は否めませんので、駅のホームで手持ちにチェンジ。電車を降りたらおもむろに背負って颯爽と改札を抜ければ、両手ぶらの爽快感で大手を振って足取りも軽快。片掛け鞄のように背中心が傾かないうえ背筋も張れて胸も張れ、肩・腰の負担が軽くなったようで肩こり腰痛も気配なし。もちろん「スーツにリュックは邪道」ですけど、こりゃ確かに筋肉の弱ってきた中年男性におすすめですぞ。

 

ところでリュック派になってからというもの、コイツを背負っていくTPOに気をつけるようになりました。気心の知れたカメラマンやデザイナーのところへは問題無し。初対面の編集部への訪問や、老舗のメーカー・ブランド取材にはNGとしてブリーフケースを抱えていきます。機動力を要する取材時はOKでも、じっくり腰を据えたインタビューなどにはやめておこうといった具合い。やはりわきまえるべきところはきちんと見分ける必要があると思うのです。

 

そう考えるようになって気づいたことがもうひとつ。リュックを背負ってるビジネスマンを見ていると、仕事の出来・不出来がなんとなくわかるのです。たとえば今風のスーツにアウトドア系のリュックを背負っている人は、機能を優先して延髄反応でリュックを購入(または以前から所有していたものを再利用)した人。仕事はできるのかもしれませんが、ファッションセンスは低めといわざるをえませんね。せっかくビジネスリュックを背負っていても、上衿が立ち上がっていたり、スーツがヨレたりしていてだらしないのは、流行りモノには飛びつくし仕事も早いけど、どこか抜けていたり、仕事にミスもしがちな人ではないでしょうか。電車内でも背負ったままの人は、周りに意識が向かないのかちょっと自己中心気味だったりするのでは。客先でリュックの中をごそごそしながら名刺入れを探すなど中身の整理ができていない人は、きっと会社のデスクもぐちゃぐちゃです。あぁ、それ私のことだ。

 

効率や機能を追求すれば、デザイン性は二の次になりがちで、双方を両立するプロダクトは残念ながらごく少数です。すべてにおいてデザイン性を優先するわけではないけれど、「スーツ=仕事着」ではなく「スーツ=男を最も格好良く見せる服」と考える人なら、少なからずリュックに抵抗があるはず。さきの百貨店でビジネスリュックのブランドを検証して回ったところ、定番どころのカバン屋ではなく、気鋭のデザイナーもしくは新進のファクトリー製が多い様子。新規参入メーカーは「ニーズがあるなら作りましょう!」と商魂逞しく、長く鞄製造に携わってきたデザイナーや職人は「スマートなビジネススタイルにリュックなんて…」という意識を感じずにはいられなかったのです。

 

【著者プロフィール】

池田保行

神奈川県横浜市出身。ファッションエディター・ライター。大学卒業後、出版社勤務を経てフリー。 2004年よりファッション エディター & ライター ユニット ZEROYON 04(ゼロヨン)を主催。 毎年1月と6月にイタリア・フィレンツェで開かれる世界最大級のメンズファッション展示会ピッティ・イマジネ・ウォモへ毎年足を運ぶなど海外取材も豊富。メンズファッション誌をはじめ、WEB、広告、カタログなどあらゆるテキスト媒体を中心に活動している。ブログやYouTubeは、たまに更新中。