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2017/8/19 18:00

「ゲリラ豪雨」と「記録的短時間大雨」は違う? 大雨から身を守る情報収集のポイント

広島県の土砂災害の被害が大きかった「平成26年8月豪雨」、鬼怒川氾濫で大きな被害を出した「平成27年9月関東・東北豪雨」、北九州に甚大な被害をもたらした「平成29年7月九州北部豪雨」、毎年のように記録的な大雨が発生しています。大雨といえば昨今、「ゲリラ豪雨」という言葉をよく見聞きしますが、冒頭のような災害発生時にはあまり目にしません。その代わりに「大雨特別警報」とか「記録的短時間大雨情報」といった言葉をよく見かけます。ゲリラ豪雨はなくなってしまったのでしょうか、新しい警報が作られたのでしょうか、気象災害で報じられる用語と、それを見聞きした際に私たちがとるべき行動をご紹介します。

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■ゲリラ豪雨とは何か?

ゲリラ豪雨は気象庁が定める正式な気象用語ではなく、「強烈なにわか雨」「すさまじい夕立」といった状況を指す、マスコミやWebメディアが用いる大雨の表現のひとつです。10キロ四方程度の狭い範囲に、都市部の排水能力を超えるような猛烈な雨をもたらし、しばしば街中に水が溢れるような事態(内水氾濫)を生じさせます。しかし降雨は数十分程度しか続かないという特徴があるため、外出を避け屋内に留まれば安全です。

 

ゲリラ豪雨は正確な事前予測が困難で、突然降り始めるため「ゲリラ」豪雨と呼ばれています。それでも雨が降り出す直前には、ゲリラ豪雨をもたらす「発達した積乱雲」による影響で「急に空が暗くなる」「冷たい風が吹き始める」「雷が発生する」「雹(ひょう)が降る」などの特徴を察知できる場合が多いため、これらの現象を感じたらすぐに安全な屋内に移動するようにしましょう。

 

■記録的短時間大雨情報とは何か?

一方、記録的短時間大雨情報は気象庁が定める正式な用語で、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨が観測(解析)された際に、全国の気象台から「○○時△△県で記録的短時間大雨」という形で発表される情報です。場合によってはゲリラ豪雨による大雨の際に、記録的短時間大雨情報が発表されることもあり得ます。

 

記録的短時間大雨情報が発表されたときは、該当する地域で土砂災害・浸水害・洪水害の発生につながる猛烈な雨が降っていることを示し、かつ「避難勧告」「避難指示」が発令される基準として用いられる場合がありますので、避難の検討、あるいは開始が必要になります。ただ、この情報が発表されるということはすでに浸水などが始まっている可能性もあるため、特に家族に要支援者がいる場合はより早い段階での行動が必要になります。

 

■水害・土砂災害から命を守るための根本対策は?

水害や土砂災害から自分と家族の命をまもるための対策として最も有効なことは、「水害や土砂災害が発生しない場所に住む」ということになります。大地震や火災と異なり、水害や土砂災害が生じる地域は決まっていますので、そもそも危険な場所を避けるということが重要です。これから引っ越しをする可能性がある方は、川よりも標高が高い場所、土砂災害が生じない場所に、住居を構えるということが最善策です。

 

とはいえ、現実的にはそうそう引越しを行うこともできません。この場合、まずは地域のハザードマップ(災害地図)を入手し、自宅周辺にどのような危険があるのかを知ることが重要です。Webで「○○市 ハザードマップ」などと検索すれば無料で閲覧できます。必ず不意打ちで生じる大地震と異なり、水害・土砂災害は降り始めから災害発生までにタイムラグがあるため、事前に危険情報を察知して避難すれば、大規模な災害に進展しても命をまもることができます。この際に注意すべき情報は2種類あります。

 

1.「気象庁」が発表する情報

警報級の可能性

注意報・警報・特別警報

記録的短時間大雨情報・土砂災害警戒情報

指定河川洪水予報(氾濫注意・警戒・危険・発生情報)

 

2.「市町村長」が発表する情報

避難準備/高齢者等避難開始・避難勧告・避難指示

 

気象庁から発表される情報は、地域毎の基準値に基づいて発令される、災害への「注意・警戒」を呼びかける情報です。そしてこの情報をもとに、法律に基づいて市町村長の判断で発表されるのが「避難準備情報・避難勧告・避難指示」です。災害の進行が早い場合や想定外の事態が生じた場合などは、避難勧告や指示が間に合わない場合があるため、気象庁の情報を元に個人の判断で先に避難を開始するなどの判断も必要になります。

 

■大雨時、何を聞いたとき、どんな行動をとればいいのか?

「警報級の可能性」

2017年に新設された情報で、向こう5日先までに警報級の現象が生じると予測されている場合に「高」「中」の2段階で発表される情報です。目の前の危険はありませんが、水害や土砂災害の危険地域が事前準備を行うための検討材料として活用できます。

 

「避難準備・高齢者等避難開始」のレベル

「災害」が起こる可能性があるとして注意を呼びかけるための「大雨・洪水注意報」や、河川の洪水を警戒する「氾濫注意情報・氾濫警戒情報」が発表される状態です。市町村からの「避難準備・高齢者等避難開始」はこの段階で発令されることがありますので、家族に要支援者がいる場合は避難の準備、あるいは移動を開始します。
※「避難準備・高齢者等避難開始」は、従来の「避難準備情報」から平成29年に改められた名称です。

 

「避難勧告」のレベル

「重大な災害」が起こる可能性がある場合に注意を促す「大雨・洪水警報」や、河川がいつ氾濫してもおかしくない状態を示す「氾濫危険情報」が発表される状態です。この状況で、さらに大雨が続くと見込まれる場合や、追加で「記録的短時間大雨情報」や「土砂災害警戒情報」が発表された場合、あるいは「警報」が「特別警報」に切り替わった場合には、「避難勧告」が発令されることがあります。自宅が水害・土砂災害の危険地域にある場合は、要支援者がいなくとも避難の準備、移動を行う状況と言えます。

 

「避難指示(緊急)」のレベル

法的な拘束力はありませんが、すでに災害が起きたか起きる寸前となっている場合に「避難指示」が発令されます。実際に堤防が決壊したり水が堤防を越えたりした場合はもちろん、特定の河川に対して「氾濫発生情報」が発表されたり、「記録的短時間大雨情報」と「土砂災害警戒情報」が一緒に発表されたりした場合にも、避難指示が出される場合があります。ただしこの段階ではすでに道路の冠水や土砂崩れが発生していることもあり得るため、無理に避難場所へ移動せず、建物の上階などへ移動するといった判断も必要になります。

 

上記、気象庁及び市町村からの情報は、いずれもテレビ・ラジオ・Webメディアを通じて入手することになります。SNS経由の情報は内容が不確実な場合もあるため、必ずNHKや気象庁などのサイトを見て確認してください。スマートフォンがあればリアルタムに現在地の警報や避難情報を入手できるため、使いやすい防災アプリを入れておくとよいでしょう(記事執筆時点では、「Yahoo!防災速報アプリ」が使い勝手・内容共におすすめできます)。

 

【著者プロフィール】

高荷智也

ソナエルワークス代表、備え・防災アドバイザー。「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに「自分と家族が死なないための防災対策」と「経営改善にもつながる中小企業の身の丈BCP」のポイントを解説するフリーの専門家サービスを提供。分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、講演・執筆・メディア出演など実績多数。著書に『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド』など。

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