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2017/9/24 19:00

毎年恒例の「東名集中工事」ーー“予算消化のため”というウワサは本当なのか?

毎年10月に実施される東名高速道路の集中工事。今年は10月2日から14日までの予定で行われる。日本の高速道路の整備状況は世界トップの水準ともいわれるが、それを支えているのが集中工事なのである。まもなく始まる東名集中工事について、詳細な工事期間や区間、どんな工事を行う予定なのかを紹介してみたい。

写真提供:NEXCO中日本(以下:同)
写真提供:NEXCO中日本(以下:同)

 

■集中工事をしたほうが渋滞が減る!?

もはや年中行事と化した「東名集中工事」だが、その始まりは東名高速道路が全線開通した1968年から20年後の1988年であった。当初は特に名称がなかったが、「東名高速集中工事」(1992年)→「東名の集中工事」(1993年~2000年)→「東名集中工事」(2001年~)と微妙に名称を変えながら現在に至っている。

 

東名高速道路といえば、日本の大動脈。当然ながら交通量も多く長距離走行の大型車の利用が多いことから、短区間を区切って行う通常の工事では規制や渋滞の発生も頻繁になる。年間の工事渋滞時間を総合的に計算した場合、全線にわたって短期間で集中的に工事を行う方が5割程度渋滞が低減されるというデータもある。そこで、ちょこちょことその都度、工事をするのではなく、2週間前後のまとまった期間に工事をするいわゆる「集中工事」の形式が採用されるようになった。

 

■なぜ、毎年10月に行われるのか?

↑東名、中央だけでなく名神など関西エリアでも集中工事は行われている
↑東名、中央だけでなく名神など関西エリアでも集中工事は行われている

 

秋の集中工事といえばかつては中央道も10月に実施されていた。中央道が先に工事を行い、その後、東名高速だったと記憶している。しかし、10-11月は連休もあり、紅葉の見ごろを迎えるシーズンである。中央道は観光特性の強い路線ゆえ、この時期は平日でも結構な交通量がある。集中工事が大渋滞を引き起こすことがたびたびあった。

 

もちろん、集中工事は混雑する週末や祝日などには実施されないが、平日でも混雑する時期ではどうしようもない。ということで十数年前から中央道の集中工事に関しては、5月に実施されるようになった。

 

そもそも、なぜ5月や10月なのか?というと、雪や凍結がなく、雨も少ない。台風シーズンともまずかぶらないなど気候が安定していることや、交通量も少なめであるということが理由である。

 

■どんな工事をどの区間でやるのか? 毎年綿密な事前調査で決定されている

↑日本の大動脈、東名高速は他の高速道路と比べても劣化が早い
↑日本の大動脈、東名高速は他の高速道路と比べても劣化が早い

 

集中工事で最も多いのは道路(舗装面)の補修である。大型トラックなど重量級の車が大量に通る東名高速道路では、トラックによる轍によって舗装面に凹凸ができ、時にはひび割れや、アスファルトの剥がれなども発生する。高速で走行する道路なので、ちょっとした道路の凹凸にハンドルを取られて思わぬ事故を引き起こすこともある。高速道路だからこそ、舗装面の補修は非常に重要なのである。

 

また、ガードレールの取替(強固なガードレールへ交換)や伸縮装置の取替、損傷している伸縮装置の取替、路面標示(道路上の白線など)が薄くなったものを引き直すなど、作業は多岐にわたる。工事区間は、事前調査によって「もっとも補修が必要な場所」を洗い出し、諸条件を加味しながら決められている。

 

ちなみに今年は東名横浜青葉インター近辺にて大掛かりな橋梁架設工事が予定されている。これは、東名高速道路と第三京浜を結ぶ首都高速北西線(2020年開通予定)に関わる工事で、東名川崎IC~横浜青葉IC(上下線)では、10月3日および11日に通行止めが予定されている。

 

■新東名開通による効果はいかほどに?

東名集中工事の間、かつては渋滞を避けるために中央道への迂回などが推奨されていた。(中央道への迂回は今でも推奨されているし、迂回した場合でも通行料金に差が出ないよう調整されている。)

 

しかし、2012年4月に新東名が開通してからは、東名からの迂回がより簡単にできるようになった。そのため、東名集中工事による渋滞(御殿場JCT~三ケ日JCT)はなんと9割も減ったという報告もある。しかも、迂回された側の新東名に渋滞が発生するなどの悪影響もほぼゼロだとか。

 

■恐ろしいまでに詳しい工事予定に驚愕! 期間中、東名を利用するなら必ずチェック

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http://tomei-info.com/schedule/#schedule-table

こちらは東名集中工事の詳細な予定である。開いてみて驚くのは、その細かさだ。工事区間のキロポストは小数点以下第1位まで記載されており、工事予定時間、通行止めなどの時間も実に詳細にわかる仕組みだ。

 

しかもこの予定は日々更新されており、さらに、急な変更があれば東名集中工事の専用サイトでもお知らせがある。個別に確認したい人のために専用ダイヤル(フリーダイヤルと有料ダイヤル)まで用意されている(東名集中工事専用ダイヤル 0120-922-229:NEXCO中日本お客様センター)。まったくスキのない細やかなサポート体制はさすがだ。

 

おそらく道路工事の予定をここまで詳しく開示し、実際に日々の作業を予定通りこなしているのは世界広しと言えども日本くらいのものでは? できることならば、工事期間中は「がまん料」として通行料金一律3割引きなど、やってくれたら嬉しいのだけど……。

 

【著者プロフィール】

加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。

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