ライフスタイル
2017/10/7 20:00

ホテルのチェックアウト時、部屋を片付けちゃいけない!? 意外と知らないハウスキーパーの「ホンネ」

最近、「ホテルのチェックアウト時に部屋をきれいにするのはやめましょう」というホテル利用者のSNS投稿が話題になった。使用したモノとしていないモノを明確にし、ハウスキーパー(客室清掃スタッフ)の負担を減らしましょう、との趣旨だろう。確かに、ベテランのハウスキーパーは取材に対し、「使用したかしていないかは一目でわかる」と明かす。

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ホテル宿泊客の「忘れ物」、どうやって処分される?

特にわかりやすいのがベッドまわりだという。使用の度合いにもよるだろうが、「一見使用されていないような片方のベッドも、微妙なシーツのシワ、枕の位置のズレなどから、ベッドカバーの上で少しだけ寝転んだ、または荷物など置いたということは瞬時にわかる」とベテランのハウスキーパーは話す。こうした微妙なケースでベッドメイキングをやり直すか否かはホテルによりけりだが、基本的にはベッドメイキングをし直すケースが多いと聞く。「それくらいで全交換するのは勿体ない」との声もあるだろうが、たとえ未使用に見えても誰かが寝転んだベッドを嫌がるゲストもいる以上、ホテル側の立場も理解できる。

 

一方、ハウスキーピングをめぐっては最近、こんなSNS投稿も話題となった。ハウスキーパーと思われる人物が「いらないものは全てゴミ箱へいれてもらえると助かります」と呼びかけたのだ。分別の習慣がある利用者からすると、客室のゴミ箱に何もかも投入するのは抵抗感があるだろう。ただ、ゴミ箱の中身や空のペットボトル・缶といった明らかな「ゴミ」以外、ホテルは基本的に「忘れ物」として取り扱う。そして、こうした忘れ物に関し、ホテルはゲストへ連絡しない。

 

飲みかけのペットボトルや残された食料品がゴミかどうかは個々人の価値観によるところも大きく、ホテルが勝手に判断できないのだろう。ゲストへの連絡も、本人以外が出る可能性が1%でもあれば、連絡先が携帯電話でも「トラブル回避」「ゲストのプライバシー担保」の点から難しいようだ。

 

忘れちゃならないハウスキーパーの「人手不足」

なお、忘れ物の保管期間は各ホテルのルールによるが、ガイドライン上で3ヶ月間と定めるホテルが多い(参照:「ホテルに忘れ物をした際の対処法 保管期間や送料は?」)。もちろん、飲みかけのペットボトルや飲食物はもっと短期間で処分される。

 

必然的に、ホテルの「ゴミ処理問題」はゲストとホテル側の行き違いを生みやすい。こうした行き違いを生まないためにも、「これはゴミです」と印刷された付箋のようなものがあれば便利かもしれない。業界全体で、客室ゴミに関する何らかの具体的ガイドラインが設けられ、ゲストへ周知されることも大事だろう。

 

そして、「ゴミ処理問題」とつながっているのが、サービス業の人手不足だ。ホテル業界にもその波が押し寄せており、中でもハウスキーパーは著しい。「満室になるほど予約は入るが、ハウスキーパーが足りず、泣く泣く80パーセントに稼働を抑えている」との声を関係者から聞くこともある。

 

ハウスキーパーの多くは業務委託会社から派遣されるが、応募は少なく、折角採用できても定着率は悪いという。飲みかけのペットボトルゴミは中身を捨てておく。そんなちょっとした気づかいが、ハウスキーパーの負担を軽減させることは覚えておきたい。その負担軽減が人件費の節減に繋がり、ひいては利用しやすい宿泊料金として反映されればもっといい。

 

【著者プロフィール】

瀧澤 信秋

ホテル評論家、旅行作家。ホテル情報専門サイト「ホテラーズ」編集長。ぐるなび「ippin」ホテルグルメオフィシャルキュレーター。一般社団法人JTWO日本旅行作家協会正会員。日本を代表するホテル評論家として、利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。その忌憚なきホテル評論には定評がある。フィールドは、ホテルステイからホテルグルメ、ホテルにまつわる社会問題までと幅広い。テレビやラジオ、雑誌などへの露出も数えきれず、業界専門誌への連載も手がけるなどメディアからの信頼も厚い。また、旅行作家としても旅のエッセイなど多数発表、ファンも多い。2014年は365日毎日異なるホテルへチェックインし続ける365日365ホテルを実践、372のホテルへチェックインする。『「365日365ホテル 上』(マガジンハウス)としてホテル旅の記録をホテルガイドも兼ねて上梓した。著書に『ホテルに騙されるな!プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。

評論家のホテルな日々:http://hoteltakizawa.blog.jp/

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