ライフスタイル
2017/11/5 19:00

そのマンションは将来「ヴィンテージ」? それとも「中古」? 分岐点はココにある

■まずはヴィンテージマンションの条件をチェック

「ヴィンテージ」と聞けばワインや車を連想する人は多いはず。歳月と共に円熟味を増して価値を高め、羨望の対象となるモノだが、実はマンションにも同様に「ヴィンテージマンション」が存在する。築年数が経つにつれて価値が下がっていく一般的な中古マンションとは何が違うのだろうか。不動産業界関係者の声を集めると、主な条件は以下のとおりになる。

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(1)築10年以上経過している

(2)坪単価が300万円以上で市場に流通している

(3)専有面積90~100㎡以上

(4)希少な好立地であること。具体的には東京都心の港区赤坂、青山、麻布などの「3A」、千代田区番町、渋谷区広尾など

 

[1]はヴィンテージのイメージよりも「若い」と思われるかもしれないが、これはあくまで目安。実際には築35年~15年ほどのマンションが中心だ。

 

上記[1]~[4]をすべて叶える代表的なマンションが、1986~87年に竣工した渋谷区の「広尾ガーデンヒルズ」である。複数の住宅棟があるなかでも特にヴィンテージ度が高いのが「サウスヒル」という区画。新築分譲時の坪単価は400~500万円台だったのだが、築30年経過した現在、600万円台半ばまで上昇しているのだ。

 

このように資産性に優れたヴィンテージマンションだが、築年数の古いものは注意が必要な場合も。特にキッチンや洗面、浴室などの住宅設備や防音、断熱性能などは、昨今の新築より劣る可能性もある。もちろんリフォームすれば更新はできるが、マンションの管理規約によってリフォームの範囲は異なるため、購入前に調べておきたい。

 

耐震性能のチェックも大切だ。具体的には新耐震設計基準が施行された1981年6月1日以降に建築確認申請がされたマンションかどうかがポイントになる。ただ、仮に建築確認日が1981年6月1日以前だったとしても、マンション管理組合が自主的に躯体の耐震診断を行い、適切な結果が得られていればひとつの判断基準にはできる。2011年3月の東日本大震災でどのような影響があったかを確認するのも良いだろう。

 

■「ヴィンテージマンション予備軍」の条件は?

ただし、ヴィンテージマンションは[2]の坪単価条件からもお分かりのとおり価格が高く、なかなか手が出ないのも事実だ。ならば、将来、できるだけ資産価値が維持される(あるいは上がる)「ヴィンテージマンション予備軍」の中古を購入したいもの。どんな点に注意すべきだろうか。

 

最も大切なのは立地だ。できるだけ駅に近く、遠くても徒歩7~8分までが理想的。駅は東京圏の場合なら、新宿、東京、品川、渋谷などのターミナルに連絡している沿線で、ターミナル駅から15分圏内までが価格を維持しやすい。また、山手線の駅は価格が高い印象を受けるが、大塚~西日暮里間には比較的購入しやすい狙い目のマンションもある。

 

とはいえ、駅近マンションがすべてヴィンテージ予備軍というわけではない。

 

ポイントはそのエリアの近隣住民が憧れ、いつかは住みたいと思う人が多いマンションであること。マンションの価値は買いたいと考える人の数に比例して上がるからだ。人気の度合いを調べるにはインターネットがお薦め。該当する駅名に「マンション」「人気」「中古」といったワードを足して検索すると物件が絞り込むことができ、そのマンションの購入を検討する人たちの掲示板やリサーチサイトなども参考になる。

 

ちなみにエリア内で高い人気を誇るマンションは、やはり、比較的名前の知られたマンション分譲会社・施工会社がつくったケースが多い。そうした物件なら、優れた耐震性能や将来的な水まわりの交換工事をふまえた構造、比較的新しい住宅設備などを採用しており、スペック的にも優れている。

 

以上はハードの視点から見たヴィンテージ予備軍の条件だが、ソフトの体制も重要なチェックポイントになる。

 

ハードがどれだけ優れていても、保守・管理・住民コミュニティ形成など、ソフトを担う管理組合、自治会の活動が低調だと、じわじわと経年劣化は進んでしまう。チェックの方法としては、仲介会社を通じて管理組合の総会の議事録を見せてもらうのが手っ取り早い。議案の本数や内容、課題とその解決策などから管理組合や自治会がきちんと機能しているかが見えてくる。また、分かりやすいところでは、共用部分の整頓や清掃状況、掲示板に貼られた情報の内容などでも、そのマンションのソフトの充実度を測ることができる。

 

良質なハードと、その物件に暮らす人が自分のマンションに愛着を持って、きちんと保守、管理に臨む姿勢。これらがそろっていれば、一般的な中古ではなく、ヴィンテージとして成熟していく可能性はありそうだ。

 

【著者プロフィール】

保倉勝巳

大学卒業後に勤務した編集プロダクションで住宅系媒体での取材、執筆に携わる。以降、リクルートの住宅情報誌「suumo新築マンション」「都心に住む」ほか、この分野の仕事を継続。2007年、何の気なしに応募したら当選し、完走を果たした第1回東京マラソンをきっかけにランニングを始め、時々、都心のハイクラスマンション建築現場を予備取材がてらジョグっている。

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