もうすぐクリスマス。街にはクリスマスツリーが登場したり、イルミネーションが点灯したりと、盛り上がりを見せていますね。そんな中、”Xmas” や “X’mas” という表記を目にすることも多いと思います。でも、なぜ「クリスマス」を “Xmas” や “X’mas” と書くのでしょうか?これって、英語的には正しいのでしょうか?
Christmas / Xmas / X’mas
「クリスマス」は英語で書くと “Christmas” です。
私は昔、”Christmas” が正しく書けず、読み方のまま “t” を抜かして “Chrismas” と書いてしまうヘンな癖があったのですが、正しくは“Christmas” ですね。「キリスト」の “Christ” です。
でも、”Christmas” って全部ちゃんと書くとちょっと長い気がしませんか? “Xmas” の方が短くてスッキリしていますよね。
そのせいか、日本ではクリスマスセールのPOPに “X’mas SALE” と書かれていたり、クリスマスカードには “Merry Xmas” が使われていることも多いような気がします。
“Xmas” や “X’mas” という表記に違和感を感じる人はそんなにいないですよね。
ところが、私がニュージーランドで “Xmas” を目することは全くと言っていいほど無いんです。”X’mas” に至っては一度も見たことがありません。
クリスマスカードには “Merry Xmas” ではなく “Merry Christmas” と書かれてあり、クリスマスセール中の店には “CHRISTMAS SALE” のように、どんなにスペースが小さくても “Christmas” や “CHRISTMAS” と、きちんと書いてあります。
“Xmas” と書くのはなぜ?
そもそも、”Christmas” を “Xmas” と書くのはなぜなのか、気になったことはありませんか?これって、正しい表記なのでしょうか?
私はニュージーランドで “Xmas” という表記をあまりにも見ないので、気になって調べてみました。
そうすると、”Xmas” にはギリシア語が関わっていることが分かりました。
ギリシア語には英語の “X” に似たような形の “chi” という文字が存在します(発音は[/kaɪ/])。そして、その “X” に似た文字こそが「キリスト」を表すギリシア語 “Χριστός(Christos)” の先頭の文字なんですね。
“Christmas” のことを “Xmas” と表記するのは数百年も前からあったそうで、当時は “X” という文字がキリストを表す略語として使われていたそうです。
“Xmas” は日本だけで使われている和製英語的なものではなかったんですね。
ただ近年では、”Christ” を “X” と略して書く “Xmas” は神への冒涜だと言う人たちや、快く思わない人たちもいるようで、正式には “Christmas” ときちんと書くことが一般的となっているようです。
“X’mas” は間違い?
アポストロフィを使った “X’mas” については、どの英英辞書にも記載が無く、ジーニアス英和大辞典にたった一言、
X’mas は普通は避けられる
という記述があるだけでした。
“Christmas” を英語で表現する際に、”Xmas” あるいは “X-mas” と書くことはあっても、”X’mas” は使わない方がいいかもしれませんね。
日本では “Xmas” や “X’mas” に異議を唱える人は少ないかもしれませんが、宗教に関することって実はとってもデリケートな部分だったりします。
海外の友達にクリスマスカードを送るなら、”Merry Xmas” や “Merry X’mas” ではなく、”Merry Christmas” とした方がいいかもしれません。
もしくは、相手の宗教に関係なく使える “Happy Holidays” がおすすめですよ。
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