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2018/2/12 18:00

先進国一勉強しない日本の会社員。これからの時代を生き抜くためには「学び直し」が必要だ

先進国一、勉強しない日本の会社員に明日はあるのか?(※会員限定記事)──先日、こんなタイトルの記事が話題になりました。社会人になってから大学や大学院などの短期高等教育機関で学び直しをする人は全体の4.6%。この数字は諸外国に比べ圧倒的に少なく、なんとOECD諸国中で最下位だそうです。

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「大学院などに行くばかりが勉強ではない」と思う人も多いと思います。そこで、

 

・市町村や民間が行う講座

・大学などが行う講座

・講演会

・通信教育

・テレビ・ラジオ

 

などを含めた学びをする人がどれくらいいるのかという調査(総務省「社会生活基本調査結果」)にあたってみました。残念ですがこういった学びを含めても、社会人になって学ぶという人は少数派。年収が高い人ほど勉強しているという傾向が見てとれました。

 

急速に変化するビジネス環境に対応しなければならないのはもちろん、長寿がリスクになってしまう現代においてセカンドキャリアの構築も避けては通れない課題です。そのために、まとまった時間を学びに投資するのは有効だと思うのですが皆さんはどのように考えるでしょうか。

 

薄々は必要性を感じるものの、なかなか踏みきれない「社会人の学び」について、大学の生涯教育機関の講師であり、自らもポリテックや大学などでの学び直しを経験している筆者が考えてみました。

 

■社会人の「学び直し」は広まらない?

政府は「人生100年時代構想」を打ち出し、いくつになっても学び直しができる、新しいことにチャレンジできる社会を目指していくそうです。リカレント教育(生涯にわたってフルタイムの就学とフルタイムの就労を交互に行うシステム)にも力を入れていくそうですが、実際に仕事をやめて学びに専念した経験から言うと、かなり難しいだろうというのが正直な感想です。

 

内閣府の教育・生涯学習に関する調査によると「社会人となった後に、大学・大学院・短大・専門学校などの学校で今後学んでみたいという人」と「すでに学んだことがある人」を合わせた割合は全体の49.4%。決して学ぶ意欲がないわけではないということがわかります。

 

では、どうすれば学びを実行に移せるのでしょうか。

 

「社会人が大学などの教育機関で学びやすくするためには、どのような取組が必要だと思うか」という質問には、以下のような回答が挙げられていました。(内閣府の教育・生涯学習に関する調査

 

・学費の負担などに対する経済的な支援 46.1%

・就職や資格取得などに役立つ社会人向けプログラムの拡充 35.0%

・土日祝日や夜間における授業の拡充34.0%

・学び直しに関する情報を得る機会の拡充29.8%

・学び直しに対する理解を高めるための企業などへの働きかけ28.0%

 

確かにどれもが大事な要素だと思いますが、予算を投入してこれらの問題を解決してもリカレント教育はうまくいかないと思います。

 

■バロメーターは「負荷をかけられるかどうか」

社会人が学ぶためにはお金や時間だけでなく、周りを説得できるか、先延ばしの言い訳に勝てるかといった心理的ハードルを超えなくてはなりません。筆者も仕事を辞めて留学することを決めた際には、かなり迷いましたし、猛烈な反対をされました。

 

なんとか学びはじめることができても、知識レベルの差を感じて辛い時期をどう乗り越えるか、怠けたい気持ちにどうやって勝ち続けていくのかといった問題を乗り越える必要があります。

 

筆者は講師として、大学院・大学のカリキュラムを再就職支援に活かす公的プロジェクトに参加したことがあります。そのとき目の当たりにしたのが「自分には難しい」と感じた途端にモチベーションを保てなくなってしまう人たちです。追いつこうと頑張ろうとする人たちとの違いは、無理だと思ってしまうことにもチャレンジしていける精神力があるかどうか。普段から自分に負荷をかけている人はこのあたりがスムーズにできるようで、この差が社会人の学び直しが成功するかどうかの一つの見どころだと感じました。

 

時間とエネルギーを通して知識を身につけた後にも、それを活かしていくチャレンジが待っています。費用や時間の捻出、情報収集などでつまづいてしまう人には本格的な学び直しは向かないかも知れません。政府が投入する予算が有効に使われることを祈るばかりです。

 

■学び続けることの先にあるもの

まとまった時間を投資する学び直しに反対する人もいると思います。筆者も何度目かの学び直しの真っ最中ですが、サバティカル(本来使途に制限はないが、実際には研究のために使われることが多い長期休暇)を申し出たときには「キャリアを中断してまで学ぶなんて、それを活かせる根拠は?」「人工知能が発達したら研究者も要らなくなるのでは?」などと反対されました。

 

学んだことを活かせる保障はありません。しかし、大小様々なハードルを乗り越えて学んできた経験、そして学んだことをなんとか活かそうと工夫した経験は、間違いなく自分の強みを形成する核となっていると断言できます。この先ビジネス環境が変化しても、学び続ける習慣があれば、その時々に伸びている分野、もしくはその周辺領域にキャリアを寄せていけると思います。

 

時代が激変することがないとしても、女性は結婚、出産、介護などライフステージの変化によって働き方を変える必要に迫られることもあります。男性であっても長期雇用前提の時代とは違った働き方を求められるようになってきました。社会人の学び直しには多くの課題がありますが、キャリアパスに合わせて学び直す必要性は今後さらに高まるはずです。

 

学び続けること。その先にあるのは、時代の変化に対応する力。つまりこれからの時代を生き抜く力、そのものではないでしょうか。

 

【著者プロフィール】

コミュニケーション研究家 藤田尚弓

All About 話し方・伝え方ガイド。企業と顧客のコミュニケーション媒体を制作する株式会社アップウェブを経営。言語・視覚の両面から「伝わる」ホームページやパンフレットなどの制作を通し、日々コミュニケーションについて考察している。 趣味は「悪女の研究」。歴史上の悪女たちの言動や人を動かすアプローチに興味を持つ。 著者に「悪女の仕事術」「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」「悪女の恋愛メソッド」がある。企業や大学などでの講演・研修実績多数。コメンテーターとしてバラエティ番組などにも多数出演している。

藤田尚弓オフィシャルサイト:http://www.naomi-fujita.com/

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