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2018/3/10 17:00

「電気+ガス」のセットプラン、東京電力と東京ガスではどっちがおトク? 5項目で比較してみた

※2019年12月更新

2016年4月に電力が自由化され、2017年4月には都市ガスが自由化されました。電気とガス、どちらも自由化されたことで新規参入が可能となり、さまざまな企業がお得なプランを打ち出しています。なかでも注目なのが電気とガスのセット販売。バラバラの会社で契約するよりもセットにしたほうが「セット割」が発生してお得になるのです。

 

そこで今回は、電気は東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力)、ガスは東京ガスで契約しているというご家庭に向けて、東京電力の「電気+ガス」セットと東京ガスの「電気+ガス」セット、乗り換えるならどちらがお得かを検証してみました。割引額や付与されるポイント、オプションとして用意されているサービスなど、1つ1つをチェックしていきましょう。

※本稿の内容は、2019年11月現在発表のプラン・サービスに基づき検証しています。また、お住まいの地域や契約プランによって価格が異なる場合があります

 

それぞれのプランの概要

東京電力と東京ガスのそれぞれの「電気+ガス」のセットは以下のようになっています。

 

【東京電力】

電気:「スタンダードS/L」

ガス:「とくとくガスプラン」

「スタンダードS」プランは、ほとんどの家庭が現在契約している10~60Aまでアンペア数が選べる「従量電灯B」に相当します。「電気+ガス」セットにするためには「従量電灯B」を「スタンダードS」契約に切り替える必要があります。また、「スタンダードL」プランは60A以上の場合の契約です。(そのほか、月平均の電気料金が 1万7000円以上となる電力消費量が多い家庭に向けた「プレミアムS/L」、夜間の電気料金が安くなる「夜トク 8/夜トク 12」が、「とくとくガスプラン」とセットにすることが可能です)。

■東京電力のプランの詳細

 

【東京ガス】

電気:「ずっとも電気1/1S」

ガス:従来の「一般料金」契約(もしくは「ずっともガス」)

東京ガスのガス契約は、従来の一般料金体系と「ずっともガス」プランを選べます。「ずっともガス」プランは一般料金に比べ、ガスの使用量0~10㎥までの単価が高いものの、ガス料金1000円につき5ポイントのパッチョポイントが付与されるプランです。

■東京ガスのプランの詳細

 

では、ここからは利用世帯が多いと想定される代表的なプランを例に、いくつかの項目にわけて、詳しく見比べていきましょう。

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(1)電気料金

■東京電力「スタンダードS」

「スタンダードS」は2016年4月から始まったプラン。2017年11月に料金が改定されて、これまでの従量電灯Bとほぼ同一の料金体系となりました。違いは電気料金1000円につき5ポイント付与され、毎月届く検針票が紙ではなくウェブ化されるという点です(ポイントについての詳細は後述)。

※大型冷蔵庫を使う店舗や家電が多い家庭向けの、60Aを超える「スタンダードL」プランも「電気+ガス」セット割を受けられますが、本稿では一般的な「スタンダードS」を紹介しています

↑「スタンダードS」の料金表(※2020年4月現在)/東京電力ウェブサイトより

 

■東京ガス「ずっとも電気1」

「ずっとも電気1」は、30~60Aで電気を契約する家庭を対象にしたプランです。10~60Aまで契約できる、電気使用量が少ない家庭向けの「ずっとも電気1S」プランもありますが、こちらは電気とのセット割・275円引きが適用されないので(※)、275円割引を狙うなら30A以上の「ずっとも電気1」になります。

※「ずっとも電気1S」の場合は、基本料金および電力料金の合計額(税込)の0.5%にあたる金額がセット割引されます

↑「ずっとも電気1」の料金表(2019年11月現在)/東京ガスウェブサイトより

 

■比較

1人暮らし・少人数世帯なら東京電力、電気をたくさん使うなら東京ガスがお得

両者の料金表を比較すると、東京ガスも東京電力も基本料はまったくの横並び。違うのは1段料金、2段料金、3段料金の区切りと各単価です。東京電力のほうが1段料金の単価が安く、一方、3段料金に入ると高く設定されています。つまり、電気をある程度たくさん使う家庭では東京ガスの電気に切り替えたほうがお得、逆に1段料金でとどまっている1人暮らしや少人数世帯では東京電力のほうがお得という計算になります。

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(2)ガス料金

■東京電力「とくとくガスプラン」

「とくとくガスプラン」は2017年4月に始まったサービス。基本料金、単価とも東京ガスの一般料金に比べて約3%ほど安く設定されているのが特徴です。開始から1年間、ガス料金が5%引きになる「スタート割」も実施中です。

↑「とくとくガスプラン」の料金表(2019年11月現在)/東京電力ウェブサイトより

 

■東京ガス「一般料金」/「ずっともガス」

東京ガスの「一般料金」契約は、いわゆる通常のガス契約。一方の「ずっともガス」プランはガス料金1000円につき5ポイントのパッチョポイントが付与されるものの、ガスの使用量が一定以下の場合、一般料金契約よりもガス料金が高くなる場合があるので、一度シミュレーションしてから選択するとよいでしょう。

↑東京ガスの一般料金の表(2019年11月現在)/東京ガスウェブサイトより

 

■比較

ガスの使用量にかかわらず東京電力がお得

東京電力の「とくとくガスプラン」は、後発ということもあって東京ガスを意識した価格設定になっており、東京ガスの一般料金と比べるとどの使用量の段階でも約3%価格が安くなっています。そのためほとんどガスを使わない家庭でも、たくさん使う家庭でもお得になります。特に、ガス暖房を使っていたり、ガスコンロによる煮炊きが多かったり、ガス給湯器のお風呂に毎日入っていたり……といった家庭では、「とくとくガスプラン」に乗り換えると、初年度は「3%+スタート割5%割引」で年間にするとかなりの額が節約できます

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(3)セット割

■東京電力「ガスセット割」

電気の「スタンダードS」プランとガスの「とくとくガスプラン」をセットで契約することで、毎月の電気料金から102円引きされます。

 

■東京ガス「ガス・電気セット割」

「ずっとも電気1」プランとガスのセット契約で、毎月の電気料金の基本料金から275円引きされます。

 

■比較

東京電力は毎月102円割引、東京ガスは条件付きで毎月275円割引

どちらも電気とガスをセットにすることで割引が受けられますが、東京ガスは月額275円割引になるので、電気とガスをセットにするメリットがより大きいと言えます。ただし、東京ガスの275円割引を受けるには、契約アンペアが30A以上の「ずっとも電気1」プランへの加入が条件となっており、現在15Aや20Aなどを東京電力で契約している家庭では乗り換えるメリットは小さいでしょう(電気使用量が少ない家庭向けプラン「ずっとも電気1S」もありますが、その場合のセット割は電気代の合計額から「0.5%引き」と小幅になります)。

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(4)ポイントサービス

■東京電力

電気の「スタンダードS/L」プランは、毎月の電気料金1000円につき5ポイント付与。このポイントは電気料金の支払いにも利用できます。また現在、「スタンダードS/L」をウェブから申し込むと500ポイントがプレゼントされます。

 

■東京ガス

電気の「ずっとも電気1/1S」プランの場合、毎月の電気料金1000円につき15ポイント付与。ガスが「ずっともガス」プランの場合は毎月のガス料金1000円につき5ポイント付与。

 

■比較

ポイント量では東京ガスに軍配

付与されるポイントに関しては東京ガスに軍配が上がります。どちらのポイントも1ポイント1円相当で、Pontaポイント、Tポイント、WAONポイント、nanacoポイントなど主要なポイントに交換できます。

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(5)そのほかのサービス

■東京電力

・「ガス機器修理サービス」(無料)

・「生活かけつけサービス」(月額330円)

・ TEPCOメンテナンスセンター(都度見積)

東京電力の「とくとくガスプラン」を契約すると、もれなくついてくるのが「ガス機器修理サービス」。ガスコンロ、ガス給湯器、ガスファンヒーターなどが故障した際に、無料の修理が受けられます。新品設置から10年以内の機器なら最大50万円(税込)の修理まで費用自己負担がありません。何台でも何回でも修理OK、しかも24時間365日修理を受付けてくれるという非常に頼もしいサービスです。

 

また、電気設備や水まわり、カギ、窓ガラスのトラブルなどがあった際に24時間365日いつでもかけつけてくれる「生活かけつけサービス」(月額330円・応急処置費用は上限2万円まで無料)のオプションも用意されています。

 

TEPCOメンテナンスセンター」は、「シャワーからお湯が出ない」「エアコンが効かない」といった住まいのトラブル全般、修繕やリフォームの相談など幅広い悩みに対応してくれるサービス。専門スタッフが電話で24時間受付してくれます。また、現地調査のあとに見積もりを提示してくれるので安心です。

 

■東京ガス

・「生活まわり駆けつけサービス」(基本無料)

・「電気トラブルサポート」(基本無料)

・日本最大級のレシピ動画サイト「クラシル」の有料機能「人気順検索」が無料利用可能

ガスと電気をセットで契約すると、水まわり、玄関鍵、窓ガラスのトラブル時に駆けつけて対応してくれる「生活まわり駆けつけサービス」が無料で受けられます。24時間365日受付し、一次対応の出張費・30分以内の作業費が無料。ただし、設備取替などの二次対応での費用や、部品代・特殊作業代といった別料金が発生する場合があります。

 

また、「ずっとも電気」の契約者は「電気トラブルサポート」も月額無料で受けられます。これは「停電」「分電盤やブレーカーの不具合」「照明器具の不点灯・チラつき」などのトラブルが起きた場合、専門スタッフが応急対応を行うサービス。無料の範囲は一次対応の出張費・60分以内の作業費となっています。

 

ほかには、レシピ動画サイト「クラシル」の「人気順検索」「人気ランキング」が同社のWEB会員サービス「myTOKYOGAS」内で無料で利用可能になるという面白いサービスも。料理好きには見逃せませんね。

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【おまけ】キャンペーン情報

現在、東京電力はウェブからの電気+ガスの申し込みで最大2000ポイントがもらえるキャンペーンを実施中(キャンペーン期間2020年2月1日~5月10日)。

 

一方、東京ガスも新規で「ずっとも電気」に申し込むと電気代の基本料金が3か月無料になるキャンペーンを実施中だ(キャンペーン期間2020年1月6日~4月30日)。

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【結論】東京電力か、東京ガスか? それは月々の電気代&ガス代が決め手!

ここまで細かくチェックしてきましたが、東京電力と東京ガス、どちらのセットに乗り換えるのがお得なのかは、それぞれの家庭の電気とガスの使用状況で変わってくるため一概には言えません。本稿で紹介しきれていない料金プラン含め、両社のサイトで細かいシミュレーションができるので、片方だけではなく双方の試算を出して比較・検討するのがオススメです。

 

ただ、ざっくりまとめると、電気をたくさん使っていて、電気代が高いと感じている人は東京ガスの電気に乗り換えれば、3段料金に突入した場合の単価が安く、セット割も275円引きなのでメリットも大きいです。逆に電気は節約していて電気代はそれほどではないものの、ガスファンヒーターや、ガスオーブン、ガス給湯器などを使用していてガス代が高いという家庭では、「スタート割」の恩恵が大きく、ガス料金も約3%安い東京電力の「とくとくガスプラン」に乗り換えたほうがお得になる可能性が高いです。

 

どちらにせよバラバラの契約よりも、大部分の家庭で「電気+ガス」のセットに変えたほうがお得なことは確か。これを機に家計の見直しを進めてみては?

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東京電力、東京ガス以外の「電気+ガス」セット

ちなみに東京電力、東京ガス以外にも「電気+ガス」のセット契約で割引になるサービスを行っている企業がいくつかあります。以下に例を挙げてみました。

 

■京葉ガス 「マイホームあかり」

千葉県北西部で都市ガスを供給している京葉ガスのサービス。電気とガスの「ペア割」で毎月の電気基本料金から173円が割引になります。

 

■ニチガス 「でガ割」

関東近県にプロパンガスや都市ガスを供給するガス大手のニチガス。「でガ割」では、「電気セット割引」で月額料金が300円割引になります。

 

■青梅ガス「ガスセット割引」

東京都青梅市を中心としたガス会社・青梅ガスでは電気料金プラン「OGプランB」を提供しています。セット契約「ガスセット割引」は、電気使用量1kWhあたり1.02円が電気料金から割引となります。

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