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2018/7/24 6:00

【改正民法の影響】賃貸借契約から「連帯保証人」がなくなる!?

どうやって家賃保証会社を見極める?

つまり、借りる側は、身内の人間関係を悪くしない代わりに、家賃保証会社にお金を使って依頼をし、お金によって連帯保証を補うということ。木下さんは「こういった家賃保証会社の業態は今後間違いなく伸びていくと思う」と述べています。そうなると、次に必要になるのは家賃保証会社の見極めでしょう。

 

――家賃保証会社はどうやって成り立っているんですか?  極端な話をすると、100人の連帯保証をしている保証会社があり、その100人全員が家賃を払えなくなった場合、必ず保証をしなければいけないので、いきなり倒産ということもあり得ますよね?

 

木下:そうですね。賃貸借契約の最たる部分の家賃保証というのは国交省の登録制(有効期間5年)で、純資産が毎年年度末に1000万円以上なければいけません。この金額を下回ると登録は抹消。「100人丸々夜逃げした」となったら、1000万円では補えませんから、倒産する場合もあるかもしれません。そういった意味では伸びる業態でありながらも、しばらくは伸びる会社とそうでないところが混在していくかもしれないですね。

 

――どういった家賃保証会社を選べばよいですか?

 

木下:大きなマンションやアパートを作っている大手建設業者では、自社の関連企業として保証会社を持つ会社が増えてくると思いますので、こういったところや、不動産会社で紹介してくれたところと契約するほうが何かとスムーズで安心ではないかと思います。

 

近年増えてきた夜逃げなどの背景と家賃滞納のリスク

一方、身内や友人などに連帯保証人になってもらった契約者本人のなかには「連帯保証人に迷惑はかけまい」として、家賃滞納をしないようにしてきた人もいるでしょう。しかし、これが家賃保証会社に変わると、相手は知らない人たちとなるため、迷惑をかけないという意識が薄れてしまうかもしれません。そうなると家賃滞納や契約違反などが増えていきそうな気もします。

 

――そもそも近年は家賃滞納、契約違反などの件数は増えていたのでしょうか?

 

木下:日本賃貸住宅管理協会の賃貸住宅市場景況感調査によると、2017年10月~18年3月までの月初全体の滞納率(どれくらいの人が月初めに家賃の支払いを滞納しているか)は首都圏において前年同期比で4.8から7.3ポイントに大きく増加した一方、月末での1か月及び2か月以上の滞納は首都圏だけでなく関西圏でも上昇しています。現代はいきなり事業が傾きますので、突然失業する人やお金の支払いに苦しむ人というのは以前に比べて増えているように思います。出費の大きな部分を占める家賃が払えなくなり、最悪のパターンとして夜逃げするといった例も増えているかもしれません。

 

こういったときに、これまでは連帯保証人が全部負担していたわけですが、「それはあまりにかわいそうじゃないか」ということで、前述の改正民法で、連帯保証の上限設定(極度額設定)を設けるに至ったと感じています。

 

――連帯保証人ではなく保証会社との契約だと、以前よりも夜逃げのハードルが下がりそうな気もします。身内にお願いして保証してもらっているわけではないですから。

 

木下:そういう考え方もできると思いますが、ただ一度でもこういった前科のようなものがあると、おそらく次の家賃保証会社はそういう人を嫌がって保証してくれないでしょう。しかし将来、住宅を購入する際の住宅ローンには影響がないと思います。

 

――つまり、いくばくかのお金で連帯保証を付けられるという気軽さがあっても、一度でも失敗があれば、次に同じ条件の連帯保証は付けにくいということですか?

 

木下:そうですね。ですから、業界内のブラックリストに載って、「この人はダメ」ということになりやすい危険性があるということです。

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