ライフスタイル
2018/7/15 19:15

「ファミマ×ドンキ」の異色コラボ店が出現。両者の“真逆の特徴”は生かされるのか?

ファミリーマート(以下、ファミマ)とドン・キホーテ(以下、ドンキ)が6月1日、実験店舗「ファミリーマート立川南通り店」(東京都立川市)ほか3店を共同オープンさせた。いずれの店舗もファミマの直営店を改装したもの。商品数はファミマのものが3400から2200に減り、ここにドンキのものが2800加わった(立川南通り店)。

2018年6月1日から「ファミリーマート立川南通り店」「ファミリーマート大鳥神社前店」などを改装、ドンキとのコラボ店舗として営業している

 

コラボの狙いはずばり、客数増だ。ファミマはドンキのアイテムを増やし、従来のコンビニにない魅力を作る。また、新商品、新しい陳列方法で集客効果を検証する。一方のドンキは「個店主義」や充実した品揃え、売場演出といった強みをファミマの標準化されたチェーンオペレーションにかけ合わせ、客の満足度を検証する。

 

■ファミマにはかなり挑戦的な試み

立川南通り店を例に考えてみよう。売り方と売場の主な変更点は、以下6つだ。

●店頭にカートを10台設置
●円筒型の投げ込み什器による商品陳列
●天井からの吊り下げ陳列
●「オススメ商品」売場の新設
●おすすめ商品の陳列スペースをレジ前に新設
●商品棚の高さを200mm上げて1800mmに(大鳥神社前店は2100mm)

2018年6月1日から「ファミリーマート立川南通り店」「ファミリーマート大鳥神社前店」などを改装、ドンキとのコラボ店舗として営業している

 

正直、ファミマにとって、かなり“挑戦的な”試みと言えるだろう。コンビニの商圏は首都圏なら1500人程度に設定されている。ドンキの商品を投入して既存の商圏を「深堀り」するのか、それとも「広げる」のか、その両方なのか問われるところ。しかし、いずれにせよ広域からの集客は在庫リスクと表裏一体だ。商品数こそ従来の約1.5倍程度にとどまるものの、高額商品や新しい陳列手法の導入で在庫のリスクはそれ以上に膨らむだろう。

 

また、回転率の面でも不安はぬぐえない。コンビニは店舗近隣の住民のいわゆる「マイ冷蔵庫」で、商圏が狭い。かたや、ドンキをはじめとするディスカウントストアは一般的に、大量の商品を一括購入する店だ。客はコンビニのように毎日来店するわけではなく、おのずと来店時の滞在時間はコンビニより長くなる。チェーンストアの中でも、ドンキの回転率はひときわ低い。

 

同じ小売店でありながら、まったく違う目的で利用されているドンキとファミマ。現場レベルの話をするなら、コラボ店舗において、ファミマのオペレーションはいやおうなく大きな修正を迫られるだろう。

 

■ファミマとドンキは「真逆」

POPもドンキ風。ドンキならではのワクワク感を演出できるか?

 

そもそもコンビニは、意外性より「必然性」を重視する。私たちが新商品に寄せる期待感もコンビニの枠を出ない。かたやドンキは「意外性」で客を集めてきた。宝探しのように「何があるかわからないけど、面白いものが見つかるかも」という客の期待感を、価格の安さで強める。行くと新たな発見があってそれがワクワク感や買物の楽しさにつながる点は、ホームセンターや家電量販店と似ている。

 

また、在庫管理の方法も違う。コンビニは商品配送の回数を増やして在庫を圧縮させるが、ドンキはつねに在庫リスクを抱えている。コンビニにとって在庫リスクは、資金繰りの面でも店舗スペースの面でも見過ごせない問題だ。

 

このコラボからコンビニが学ぶことがあるとすれば、それは未開拓分野の発掘だろう。リスクを跳ね返すだけの集客効果が得られるか、これからの検証で明らかになる。

 

【著者プロフィール】

『月刊コンビニ』編集長 毛利英昭

『月刊コンビニ』編集長。
コンサルティング会社にて16年間にわたり流通システムを担当した後、1998年に独立し株式会社アール・アイ・シー設立。
ITベンダー、流通サービス業界を中心に、業務改善やシステム構築分野のコンサルティング、社員教育など行う。
2015年に(株)商業界から「月刊コンビニ」と「月刊飲食店経営」を引き継ぎ出版事業を開始。
「月刊コンビニ」、「月刊飲食店経営」の編集長を兼務する。

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