ライフスタイル
2018/9/8 19:00

麻雀業界に革命が起きた! 「Jリーグ」ならぬ「Mリーグ」発足で麻雀がスポーツ化!?麻雀業界に革命が起きた! 「Jリーグ」ならぬ「Mリーグ」発足で麻雀がスポーツ化!?

麻雀業界が震撼している。麻雀好きで知られるサイバーエージェントの藤田晋社長が、チーム対抗戦のプロ麻雀リーグ「Mリーグ」なるものを発足したのだ。まずは、以下の動画を観てほしい。

出典:『プロ麻雀リーグ「Mリーグ」発足』動画より

 

一瞬「ナイキかなんかのCM?」と思ってしまいそうが、よく見ると、選手たちと共に宙に舞っているのは麻雀牌。そう、これは「Mリーグ」のプロモーションビデオだ。このセンス、テンションマックスで振り切った感。さすが俺らのサイバーエージェント!と思わざるをえない仕上がりである。

■電通、博報堂……名だたる一流企業が参戦

改めて説明しよう。今回発足した「Mリーグ」とは、史上初となるチーム対抗の麻雀プロリーグである。数々の企業がチームを設け、各チームにつき3名ずつプロ雀士が所属し、計80戦のリーグ戦を行って優勝賞金5,000万円を競う。この試みが、麻雀業界に革命を起こそうとしているのだ。

 

まず、麻雀業界をよく知る人なら、その賞金の額に驚くはずだ。既存の麻雀大会の賞金額よりゼロがひとつ、いやふたつも多い。麻雀は、その人気や認知度とは裏腹に、「ギャンブル」「徹夜でタバコ」のようなネガティブイメージが未だに拭えていない。その結果、スポンサー獲得に苦しみ、大会やイベントなどの資金繰りに苦しんできたという背景がある。そんななかで、今回の「Mリーグ」はまさにビッグドリーム! もちろん出場するプロ雀士がまるっともらえるわけではないが、麻雀大会でここまで大きな額のお金が動くこと自体が異例中の異例なのである。

 

加えて、リーグ戦に参加する名だたる企業にも目を見張る。テレビ朝日、電通、博報堂、コナミ、セガサミー、U-NEXT、そしてサイバーエージェント。繰り返すが、これは麻雀大会である。野球やサッカー、近ごろ話題のeスポーツの参入企業ではない。こんな一流企業たちが、「オレらのチームは『雷電(ライデン)』!」(電通)「オレらは『赤坂ドリブンズ』だぜ!」(博報堂)てな具合に麻雀チームをつくって闘うのだから、もう感動以外の何物でもない。

 

そして驚くべきことに、この「Mリーグ」の最高顧問に就任したのは、JリーグやBリーグを発足した川淵三郎氏なのである。ちなみに「Mリーグ」に所属したプロ雀士には、対局時のユニフォーム着用が義務付けられている。こうなってくるといよいよ、冒頭の動画がネタではなくなってくる。サイバーエージェントの本気度がやばい。日本における麻雀のあり方が、根本的に変わろうとしている。

 

■麻雀はお金を賭けなくても楽しい?

そもそも「Mリーグ」発足には、「麻雀のプロスポーツ化」という大きな目的がある。「麻雀=賭け事」という昭和のイメージを絶やし、クリーンで健全な「スポーツ」としての地位を確立した上で、ゆくゆくはオリンピックへの参加を見越しているらしい。そのため、「Mリーグ」に参加するプロ雀士は、巷のフリー雀荘はもちろん、すべての賭博行為とのかかわりを一切禁止されている。

 

ここで「Mリーグ」の話題とは別に、改めて考えてみたい。果たして、お金を賭けない麻雀は楽しいのでしょうか?

 

答えはもちろん、「楽しいに決まってる!」である。

 

以前、高齢者向けのノーレート麻雀教室を取材したことがある。そのときに講師の方から伺った話で印象深かったのが、「フリー雀荘とは違って、役満が連発する」というもの。収支を考えずに純粋に役作りを楽しむから、大物手がよく出るというのだ。

 

お金を賭ける麻雀とノーレートの麻雀の楽しさは別物だと思っている。上記の話からも、ノーレートではより純粋に麻雀のゲーム性を楽しめるといえるのではないだろうか。また、プロの対局やオンライン麻雀のように、「お金を稼ぐ」ことではなく「自分の実力を高める」ことに重きを置くおもしろさもある。闘いの対象が「お金」や「他者」ではなく、「自分」なのだ。

 

そういう意味では、「Mリーグ」が目指す「麻雀のスポーツ化」は充分現実的なものなのかもしれない。個人的には、麻雀は「運」の要素が強いためスポーツ化は難しいと感じていたのだが、「配牌が悪い」「ツモがついてない」といった不運をどう乗り越えるかも含めて、観戦も見ごたえがあるのかも。リーグ戦が全80戦と長期にわたって行われるのも、平等かつ妥当である。

 

とはいえ、もちろん、お金を賭けないと味わえない麻雀のおもしろさもある。オンライン麻雀が台頭して久しいが、それでもなお、生身の人間と卓を囲んでヒリヒリと熱くなる瞬間はたまらない(特にパンクするかしないかの瀬戸際)。「Mリーグ」はエンターテイメントとして楽しむものとして、そこから麻雀人口の増加や麻雀ブームの再来を期待しつつ、巷のフリー雀荘もますます活性化していくことを個人的には望んでいる。

 

■プロ雀士の“働き方改革”にもつながるか

「Mリーグ」発足にあたり忘れてはならないのが、麻雀を生業とするプロ雀士への影響である。そもそも、麻雀がこれだけメジャーなゲームでありながら、プロ雀士に対する世間の認知度はかなり低い。その理由には、先述した麻雀に対するネガティブなイメージや、囲碁・将棋のように“絶対的な王者”がいないことなどが挙げられるだろう。いずれにせよ、タイトルを獲得するようなメジャープロでさえも、麻雀一本では生活できない厳しい現実がある。

 

そんな彼らにとって、「Mリーグ」は、ある意味では夢のような企画である。“Mリーガー”に指名されるのはごく限られたプロのみだが、指名されれば、年棒400万円が保証される。その代わりに賭博行為が一切禁止されるため、フリー雀荘で働くことができなくなるが、安定した収入を得られる点では「Mリーガーになった方がお得」と考えるプロ雀士も多いだろう。そして何より、大舞台でのメジャーデビューという夢がある。

 

あるプロ雀士は、「『Mリーグ』でプロ団体のあり方も大きく変わる」と教えてくれた。

 

「最近、プロ試験を受けに来る若い子たちが格段に増えました。間違いなく『Mリーグ』の影響です。囲碁や将棋と違って、麻雀はプロになる敷居が低いのが魅力。今後は団体側も、『Mリーガーを育てる』ためのプロモーションが確実に増えていくでしょう。すべては、今回の第1回『Mリーグ』が成功するか否かにかかっています」

 

eスポーツに続き、2018年は間違いなく麻雀革命の年!「Mリーグ」の成功を願いつつ、今後も動向を見守っていきたい。がんばれ藤田社長!

 

【著者プロフィール】

ギャンブルフリーク 荒井奈央

ライター、編集者。さまざまなジャンルの専門家に突撃取材をするのが好き。麻雀をライフワークとし、雀荘はホーム。ギャンブル、裏モノ界隈のネタが大好物で、貧乏旅行にはまっていた時期のエピソードをまとめた『世界中で危ない目に遭ってきました』(彩図社)を出版。

TAG
SHARE ON