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2018/12/8 18:15

ビールを避けても意味はない!? 痛風になる人とならない人の境界線

年末年始でアルコールを飲む機会が増えるシーズンですね。そんな中、気になるニュースが飛び込んできました。

ビールを避けても痛風は予防できない(WEDGE Infinity)

 

これは本当なのでしょうか? よく甲殻類、魚卵などは避けるべしとも言いますが、気を付けたい食品、食べ合わせなども知りたいところです……とcitrus編集部から質問を頂戴しましたので、この件について考えてみましょう。

 

■痛風は「食事療法」だけでは不十分

そんな痛風の予防法についてご質問の回答を先にお伝えしますと、予防できない……わけではありませんが、食事療法だけでは不十分です。

 

30歳代以上の男性の30%が高尿酸血症であるという統計もあり、男性の皆さんは周りの「親指が痛い」という話を聞いておびえている人も多いのではないかと思います。また女性も、閉経後には痛風のリスクが上がる、血液中の尿酸値が上昇するとメタボリックシンドロームのリスクが上がることなどが指摘されています。男女問わず、他人事といっていられないのが日本の高尿酸血症の実情です。

 

実は、痛風の元となっている「尿酸」は「体内で合成:食事から摂取=6:1」の割合だと言われています。体内合成のほうが圧倒的に多いため、尿酸の元となる栄養素(プリン体)を多く含む食品を躍起になって避けたところで、万全とは言えないというわけです。

 

体からは8割程度が尿中に溶け込んで排泄されます。尿酸は水溶性なので、流しだせばOKと言いたいところですが、残念ながら尿酸は「よく溶ける」と言えるほど解けるわけではありません。

 

そのため、一度、尿酸値が上がってしまうと「上がりやすい体質」を改善することはできないので、上がらない生活習慣を身につける以外に予防方法はないということになります(医師から薬物療法を指示された人は、「痛くないから大丈夫」などと、自己判断で薬を飲むのをやめないで下さい)。

 

体内で作られるほうが多いといっても、痛風や高尿酸血症の場合に食事療法をまったくやらなくていいというわけにはいきません。その理由は、以下のガイドラインを見ると一目瞭然です。

 

1. 高尿酸血症・痛風は代表的な生活習慣病であり,生活習慣の是正を目的とした非薬物療法としての生活指導は,薬物療法の有無にかかわらず重要な役割を有する。

 

2. 高尿酸血症・痛風に対する生活指導は,食事療法,飲酒制限,運動の推奨が中心となり,肥満の解消は血清尿酸値を低下させる効果が期待される。

 

3. 食事療法としては適正なエネルギー摂取,プリン体・果糖の過剰摂取制限,十分な飲水が勧められる。

 

4. 身体活動(運動)は,メタボリックシンドロームの種々の病態を改善するため奨励できる。

 

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版(日本医療機能評価機構)

 

「代表的な生活習慣病であり」と書かれているところからも、高尿酸血症や痛風は生活習慣の改善が一番の予防策であることが分かります。その具体案が「肥満の解消」であり、実際に行うのは「食事療法、飲酒制限、運動の推奨」です。

 

■痛風予防に効果的な5つのコツ

食事は、“適正なエネルギー摂取、プリン体・果糖の過剰摂取制限、十分な飲水“とありますが、具体的に意識したいのは次の5つです。

 

(1)エネルギー摂取

メタボリックシンドローム対策と同じ考え方で、食べる量を調節してください。若い頃の感覚で「ご飯おかわり」を続けるのはメタボ体型の元です。30代以降の食事のコツを身につけましょう。

 

(2)プリン体制限

プリン体の多い食品は、前述のガイドラインに付録として記載されています。プリン体は1日400mgを越えないことが実際的であろうとも書かれています。可能であれば、この表を確認して400mgを超えないようにするのがよいでしょう。

 

実際には居酒屋等で表を確認しながらつまみを選ぶことは難しいと思いますので、レバー類、干物などは極力控えるようにして、刺身やエビなどプリン体が多めの料理は、1人前の半分くらい、すなわち仲間がエビを2本食べていたら自分は1本にするなどの対応がよいのではないかと思います。

 

(3)果糖制限

果糖はフルクトースとも呼ばれ、ハチミツ、果実、いちご、メロンなどに多い糖です。

 

「肉類・砂糖入りソフトドリンク・果糖の摂取量が多い集団、BMIの高い集団は痛風になりやすい」(同 / 高尿酸血症のリスク

 

という文言もありますから、甘いものは全般的に控えるのが吉と思われます。

 

(4)アルコール

ビールはプリン体が多い以外にもカロリーが高めで注意が必要です。ガイドラインによれば適量は「血清尿酸値への影響を最低限に保つ目安量としては1日,日本酒1合,ビール500mL,またはウィスキー60mL程度であろう」とされています。これ以上を超える飲酒は控えるようにしましょう。

 

(5)十分な水分摂取

「液体」であれば水分と勘違いしてはいけません。アルコールは水分を吸着して排泄する仕事をします。アルコールは水分とカウントせず、甘味のない「飲み物」だけを水分と考えましょう。例としては「お茶」「水」「紅茶」「ブラックコーヒー」などです。

 

この程度の予防は病院にかからずとも自分でできますよね。楽しい年末年始を「痛風発作」で痛い思いをしながら過ごすことのないよう、ご自愛下さい。

 

【著者プロフィール】

平井 千里

女子栄養大学大学院(博士課程)修了。名古屋女子大学 助手、一宮女子短期大学 専任講師を経て大学院へ進学。「メタボリックシンドロームと遺伝子多型」について研究。博士課程終了後、介護療養型病院を経て、現職では病院栄養士業務全般と糖尿病患者の栄養相談を行う傍ら、メタボリックシンドロームの対処方法を発信。 現在、All About 実践栄養ガイドとしても活躍中です。

 

~ダイエットの特等席へようこそ~:http://ameblo.jp/chisapyi-diet/

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