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2019/1/14 18:15

ポケベルには恋愛のトキメキがあった!? スマホ世代が「恋愛下手」な理由

お国(厚生労働省)がわざわざ調査し、「結婚しない理由・結婚できない理由」を“白書”として発表してしまうほど、恋愛ベタとなってしまった現代日本人。昭和の中期には年間100万組を超えていた婚姻件数が2016年には62万組にまで落ち込み、今なお下がり続けているという。

白書によると、『独身』にとどまっている理由は、結婚適齢期とされる35~39歳の男性で「適当な相手に巡り合わない」が52.2%、「異性とうまく付き合えない」が16.6%。同女性でそれぞれ56.4%、13.6%となり、『恋人がいないんだよ!』とほのめかす回答が男女ともに圧倒的多数を占めている。

 

ではなぜ、日本人は「恋愛下手」となってしまったのか?

 

2019年9月末にサービス終了する「ポケットベル(ポケベル)」とからめながら、世代間のギャップ、時代ごとに移り変わる恋愛事情を紐解いてみよう。

 

■社畜の必需品から女子高生の必需品へ

「ポケベル終了」のニュースは世間を騒がせた。

 

NTTドコモのデータによると、ポケベルの商用が始まったのは1968年。「どこにいても連絡できて便利!」とばかりに社畜系サラリーマンの必需品となり、96年6月に契約数はピークを迎え、約650万台ものポケベルが日本で鳴り響いた。

 

しかし、携帯電話の普及、携帯端末にメールの送受信機能が付加されたことで、契約者数は激減。NTTドコモは2007年にポケベルのサービスを終了し、18年12月現在、利用者数はたったの1500人だという。

 

このポケベルが携帯やスマホの無い時代、恋愛の必需品だったことをイマドキの若者は知る由もないだろう。

 

ポケベルが女子高生・女子大生の間に広まったのは、およそ30年前の1990年代。会社単位でなければ契約できない、契約料が高いなど、個人利用しづらかったポケベルが月額1980~2980円で誰でも利用できるようになった。若者の多くがポケベルを持ち歩くようになった。

 

■「14106」「10105」

ポケベルには、数字を送る機能がついている。

 

14106(あいしてる)

3470(さよなら)

3341(さみしい)

10105(いまどこ)

925041091031(けっこんしてください)

 

など、語呂合わせで愛の言葉を送りあうのが、恋人たちの定番となった。

 

数字の組み合わせでカナが送れるようになると、ポケベルはさらに普及。ピンクやブルーなど愛らしいデザインのポケベルが発売され、オジサン向けツールから女子高生の必須アイテムへと一変した。友達や彼氏のポケベルにメッセージを送るため、公衆電話を占拠する女子高生たちも後を絶たなかった。

 

■「秘められた」恋愛と恋愛の寿命

ちなみに、ポケベル普及前の時代、恋愛は「秘められた」ものだった。電話はお互いの家の固定電話にかけるしかなく、家族が聞き耳をそばだてる中、甘い言葉などささやける状況になかった。交換日記も手紙のやりとりも、言葉を紡げる男子は数少なく、そう頻繁に行えるものではない。ポケベルの登場でようやく、ふたりだけの“秘密”を遠慮なく共有できるようになったのだ。

 

しかし、「秘められた」恋愛がOPENになることで、恋愛の寿命もまた、短くなっていった。

 

逢えないドキドキ感

すれ違うワクワク感

 

廊下でふと触れ合うかもしれない“偶然”にすら期待する、甘く濃密な昭和の恋愛はポケベルの登場とともに最高潮を迎え、スマホの登場とともに退潮したのである。

 

■ポケベル復活が少子化対策になる?

心理学用語に「吊り橋効果」というものがある。恋愛は、“ドキドキ感”で長続きする。相手のことを1から10まで知ってしまえば、興味は急速に薄れてしまうのだ。

 

今何してるの?

どこにいるの?

今日何食べたの?

 

スマホ世代は、そんな話をLINEやメールでやり取りする。デート中に会話が続かなくなるのも無理はない。誤解を恐れず言えば、肉体関係以外に興味を持てることがなくなってしまうのだ。

 

2010年の調査によれば、20~49歳の独身男女で、恋人がいると答えた割合はわずかに24.6%。その理由として多くが「恋愛が面倒」と答えている。

 

連絡を取りあえない環境がトキメキを育んだ昭和時代と、些細なことまで伝えあうのが当たり前となり、その重さに耐えられず「面倒」と思うようになった平成時代――恋する気持ちがたかぶるのはどちらか、言わずと知れたことだろう。

 

少子化対策

婚姻率UP

 

と声高に叫ぶのであれば……ポケベル程度の端末へと戻すことも、考慮したほうが良いのかもしれない。

 

【著者プロフィール】

恋愛コラムニスト わぐりめぐみ

1970年東京都生まれ B型。相模女子大学にて国文学を学び、出版業界へ。雑誌、WEB、ドラマCD、ゲームシナリオ制作など、節操なく様々な媒体を手掛けるフリーランスライター。男女の本質的な違いに着目した、独自の恋愛論・結婚論を、ティーン誌、青年誌、ママさん向けWEB等で展開中。著書にA型夫とB型妻との生活を描いた「毎日がグチLove B型妻 VS A型夫(笠倉出版社)」、「そして、ありがとう… -犬とわたしの12の涙-(日本文芸社)」等がある。

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