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2019/6/1 18:15

反則金踏み倒しでも問題なし!? 「外交官ナンバー」の駐車違反、中国とロシアが異常に多い理由とは…

東京や大阪などの大都市圏でよく見かける青地に白文字で「外-●●●●」と書かれた青ナンバーの車は、世界各国の大使館が所有する公用車である。日本国内に約2000台の外ナンバー車が登録されているが、都内では特に港区内で見かけることが多い。これは、日本国内にある外国大使館のうち約2/3にあたる82カ国の大使館が港区に立地しているからである。

車種は様々で、メルセデス・ベンツやレクサスなどの高級車が主流となっているが、マツダアクセラやトヨタカローラなどの小型車、コンパクトカーに外ナンバーがついていることもある。

 

■大使館の車、駐禁踏み倒しは累計3000件以上

「外交官ナンバーの車は駐禁ステッカーが貼られない」「外ナンバーは取り締まりの対象外」という話を聞いたことがあるかもしれないが、それは間違いで、外ナンバー車もしっかりと駐禁取り締まりの対象となる。

 

昭和44年4月18日に出された「外交特権を有する者に対する交通反則通告制度の適用」(交指発甲第47号)によって50年も前から外交官であっても反則切符を切られるし、反則金の請求もできる「交通反則通告制度」がしっかりと明文化されている。

 

しかし、明文化されていると言っても、実際に反則金を納めるかどうかは別問題だ。

 

4月末に放映されたフジテレビのとある報道番組で外交官の車が駐車禁止を繰り返しながらも、出頭はもちろん反則金を納めることもなく、いわゆる「踏み倒し」を繰り返していたという事実が報道された。踏み倒した挙句5年間を過ぎて時効となった件数は2017年度だけで累計3000件!放置違反金の合計はなんと4500万円以上にも及ぶとか。それでも逮捕されないという。なぜこんな大金を踏み倒すことができるのか?

 

■「外交特権」によって、逮捕をまぬかれる

実はこれには、ウィーン条約に基づいて裁判や差し押さえが免除される「外交特権」が関わっている。外交官に認められる特別で非常に強力な権利だ。「外交特権を有する者に対する交通反則通告制度の適用」という通達制度によって、駐禁の取り締まりや通告はもちろん可能だが、日本の警察ができるのはそこまで。その後、反則金を納めなくても、何千万円も累積しても出頭命令も出せず、もちろん逮捕をすることもできないのだ。

 

外交特権を持っている者に対する駐車禁止の告知や通告(警察官や交通巡視員が「告知」を行ったあと、反則金の仮納付がない場合、警察本部長から「通告」となる)については以下のように明文化されている(一部抜粋)。

 

【告知】

★告知を行なうときは、出頭の告知を行なわないこと。

★交通反則告知書(以下「告知書」という。)裏面の「1交通反則通告制度に関する説明」中の(4)欄をまつ消すること。※(4)欄には、『10日以内に反則金を納付しなかった場合には刑事訴訟手続きで処理される~』などが記載されている。

 

【通告】

★交通反則通告書を送付する場合は、同書裏面記載の注意事項中、「2反則金を納付しなかつた場合」欄をまつ消すること。※「反則金を納付しなかった場合」欄には、「交通反則通告制度の適用を拒否して反則金を納めなかったときは、違反を検察庁あるいは家庭裁判所に送致する」といった内容が書かれている。

 

簡単にまとめると

・出頭の告知はしない

・反則金を仮納付、納付しなかったとしても、「告知」で刑事訴訟手続きとして処理されることはなく、「通告」で違反を検察庁に送致されることはない。

 

つまり、「反則金を納付しなくても刑事訴訟の対象にもならないし、検察庁に送致されることもない」ことが明文化されているというわけだ。駐車禁止の反則金を踏み倒したとしても何ら問題はない、ということになる。

 

■中国とロシアが異常に多い理由は?

さらに注目すべきは、踏み倒している外ナンバー車の国別件数だ。1位がロシアで約25%、2位が中国が約20%となっている。ロシアと中国で半数近い数字となるわけだが、なぜこの2国がこんなにも多いのだろうか?関係筋に取材をしたところ、意外な答えが返ってきた。

 

「それは在日中国大使館と在日ロシア大使館が、ほかの在日公館よりずば抜けて人数が多いからだと思います。

 

なぜ多いのか?というと、駐日大使というポストの重要性にあります。中国外交部やロシア外務省の外交官にとって駐日大使というのは、事務次官の経験者がなるぐらいの最重要ポストなのです。そのぶん在日大使館の定員も多くなるという事情があり、定員が多ければ使う車の数も多くなり、駐禁をして切符を切られる外ナンバー車の台数も多くなると思われます」

 

なるほど!ロシアと中国が多いのは要するに母数が多いから、ということらしい。

 

ちなみに、かつて外ナンバー車は任意保険に入っていない車も多く、日本人の車と事故が起こると非常に面倒なことになっていたが、現在は外務省がすべての外ナンバー車に対して任意保険の加入を義務付けている(任意保険に入っていないと外ナンバーを交付しない)ので、こちらは踏み倒されることはなさそう。

 

【著者プロフィール】

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。

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