ライフスタイル
2019/8/30 17:00

大学教授に聞く! 夜の社交場・スナックの「深刻な課題」と「新しい使い方」の噺

人手不足とコンプライアンスの厳格化がスナックの課題

小林 景気に関しては社会全体が抱える課題だと思いますが、スナック業界ならではの課題となるといかがでしょうか?

 

谷口 女性の人手不足が深刻です。特に地方は、若い女性が都市部に出ていっちゃうと、水商売に長年携わっているオーナーが多店舗展開をしようと思っても、雇う女性がいないから難しい。

 

小林 少子高齢化の波は水商売にも押し寄せているんですね。

谷口 人手不足は、スナックで働く女性以外でも深刻化しています。実は、地方の客では「スナックに行きたいけれど、行くのが難しくなった」という人が少なくありません。なぜなら、いわゆる「代行」、つまり自分が乗ってきたクルマを運転して帰ってくれるドライバーの数が少ないから。週末になると2~3時間待ちとかがザラにあるんですよ。

 

小林 なるほど…それではスナックに行く気もなくなっちゃいますね。人手不足のほかにスナックにとって打撃になったことってありますか?

 

谷口 たとえばコンプライアンス(=法令遵守・法律や社会的な通念を守ること)に関わる部分ですね。たとえば、接待によるスナックの支払いを経費で切りづらくなったことが挙げられます。地方における裕福な層って、有力な経営者を除くと、役所や地方銀行なんですよ。でもコンプライアンスが厳しくなって、経費で落とせないから、あまり飲みに行けないようになった。本来、地域の経済を回すには、彼らがお金を落とすようにしなければならないと思うのですが…。

 

小林 たしかに。そのせいで地方の経済がさらに衰退するとは…。その点はもう少しみんなで考えてみる必要がありますね。

 

高齢者の楽しみを増やす「介護スナック」が登場

小林 と、いままではちょっと暗い話でしたが、逆に明るいニュースはないでしょうか? たとえば、未来のスナックの展望とか。

谷口 面白い例では「介護スナック」というものがありますよ。昨今、高齢者が行きやすいように、昼間から営業しているスナックが増えてきていますが、これはその進化系ですね。

 

小林 へえ、それは面白い! 具体的にはどんなものなんでしょう。

 

谷口 入店は高齢者のみと年齢制限を設け、完全予約制。スナックというだけあって、客はカラオケを楽しんだり、お酒を飲んだりできるんです。もちろんお酒を飲んでOKな人だけで、量もあらかじめ決まっています。内装も高齢者仕様で、バリアフリーの店内にテーブルを固定して、床にはウレタン材を敷くなどの安全な造り。来店する場合は家族などが事前にスナック側と打ち合わせをして、送り迎えも行ってくれます。店で働くスタッフは全員福祉施設の職員なので、何か起きてもすぐ対応できるというわけですよ。

 

小林 それなら安心ですね。「要介護だけど、本当はスナックに行きたい」というニーズはたくさんありそうです。高齢者にとっても、楽しみが増えるのはいいことですね。

 

谷口 ビジネス面での引き合いも多いですよ。とある自治体が興味を示しているとか、大企業が資本参入しているといった話もあります。介護市場はこれからより巨大なマーケットになるでしょうから、その点でも明るいニュースといえるでしょう。

 

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