ライフスタイル
2019/8/18 19:15

最高の夏の休日が一転──早朝、激痛で救急搬送された男性の悪夢【Dr.山村の診察余録】

「30代男性、背部痛の救急要請です!」

当直室の時計を見ると午前4時50分。夏なので外はだいぶ明るいですが、PHSの着信で目覚めるのは気分の良いものではありません。眠い体を奮い起こし、救急車の到着を待ちます。

 

運ばれてきたのは宮下さん(仮名)33歳、男性。背中の激痛で目覚め、身動きも取れず救急車を呼んだとのこと。大動脈解離、急性心筋梗塞、大動脈瘤破裂……命に関わるコワイ病気を思い浮かべつつ、心電図モニタを装着し、血液検査、CT検査へ送ります。

 

見つかったのは、CTで背中側に光る白い点。左の尿管結石です。大きさは約4ミリ。体重80キロはあろう大の大人が、たった4ミリの石で身動き取れなくなるとは、尿管結石も別の意味でコワイ病気です。

 

坐薬の鎮痛剤が効きはじめ、なんとか歩けるほどになった宮下さんにあらためて話を聞くと、昨日は友人たちと海水浴に出かけていたとのこと。昼からビールで水分補給し、夜もBBQで夏を満喫していた様子。そんな最高の夏の休日から一変、尿管結石の激痛で目覚める朝を迎えたのでした。

 

尿管結石の元となるシュウ酸やリン酸は、通常は石にならず尿と一緒に排出されます。しかし大量の汗をかく夏場は、尿の量が減り、尿中に滞りがちとなったシュウ酸やリン酸がカルシウムと反応して結石を作ります。結石が出来たとしても、尿と一緒に流れ出てくれればいいのですが、途中で引っかかると激痛を引き起こします。

 

建築現場で働く宮下さんも連日の猛暑の中、水分摂取はしていたものの、知らず知らずのうちに尿量が減っており結石が出来やすくなっていたようです。宮下さんの尿管結石は自然排石が期待できるサイズでしたので、鎮痛薬を処方し、十分な水分摂取を促して帰宅となりました。

 

熱中症対策として大切な水分補給ですが、その摂取量の目安として尿量を気にすることも有用です。トイレの回数、量が夏前と変わりないように水分摂取することで、熱中症対策にくわえて尿管結石対策もできると安心ですね。

 

【Dr.山村・診療情報】

「上大崎クリニック」

非常勤外来(不定期につき診察日はクリニックへお問い合わせください)

「押上駅前松浦内科クリニック」

火曜・金曜非常勤外来(詳細はクリニックHPをご覧ください)

 

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【著者プロフィール】

糖尿病内科医 山村聡

九州大学医学部卒。やさしい糖尿病内科医。現役医師として、糖尿病をはじめとする生活習慣病の診療をおこなっております。みずから24時間血糖値を測定しInstagramTwitterで発信中。ブログ「糖尿病(仮)」、Youtube「やさしい内科医の血糖チャンネル」で血糖値のおもしろさと大切さを伝える新世代発信系ドクターです。趣味は食事とお酒。フランクな話題を切り口に、個々人のライフスタイルに合わせた継続可能なヘルスケアを提案しています。

 

糖尿病(仮):https://sou3.jp/

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