ライフスタイル
2019/12/28 21:00

旅行で得する&空港で楽しめる!プロが教える「エアライン」雑学

旅客機の機体や機内サービスなど、旅慣れた人でも知らないことが多い“エアラインに関する蘊蓄(ウンチク)”は、雑誌でも特集が組まれるほど人気のあるコンテンツです。2019年にはその知識を問う「旅客機・エアライン検定」なるものも登場し、賑わいを見せています。今回は、旅客機・エアライン検定のライティングを務め、さまざまなメディアで飛行機の搭乗レポートなども執筆するライターの村田尚之さんに、知っておくと楽しくなる旅の情報を教えていただきました。

 

どう選ぶのがオススメ? 機体に関するウンチク

飛行機や座席の予約をするとき、普段どのように選んでいるでしょうか? 実は、知っていると飛行機のチョイスも楽しめる方法があるのです。3つのポイントを村田さんに聞きました。

1. 心地よく過ごせる新しい機種を選ぶ

スケジュールや空き状況などから飛行機を選ぶのが一般的ですが、同じ時間帯に何本も飛んでいる場合は、機種で選ぶという方法もあるといいます。

 

「ボーイング社が製造するおすすめの機種は、やはり新しいボーイング787です。従来、飛行中の気圧は高さ2400メートルの山と同等の気圧(0.76気圧程度・富士山でいうと5合目あたり)でしたが、ボーイング787では1800メートルの程度の気圧(0.80気圧・富士山でいうと3合目あたり)です。2100メートル程度にあたる約0.78気圧より下がると、不快と感じることが多くなるそうで、地上にいるときとの気圧差が少ないほど、体に負担なく快適に過ごすことができます。

 

また、機内の湿度は結露や腐食防止のため、従来では数パーセントでしたが、787では10~20%と、ある程度の湿度が保てるようになりました。乾燥から肌を守り、潤いある機内でフライトを楽しめるでしょう」(ライター・村田尚之さん、以下同)

 

2. 景色のよい“勝ち席”を選ぶ

フライトの時間を、睡眠や読書に当てるのもいいのですが、せっかくの空の旅ですから景色も楽しみたいですよね。

 

「羽田空港から西に向かう航空路はいくつかありますが、羽田→伊丹便であれば、進行方向右側の席から富士山が見えます。羽田→小松便は左側から富士山や南アルプスが見えます。反対に、西から羽田に戻る便では左側の窓から富士山が見えます。上空から見る富士山は格別ですから、写真に収めておくのもおすすめです。

 

晴れていれば見える湖や川なども、CAさんに聞けばたいてい教えていただけますから、チェックしておくと地理がわかって楽しくなりますよ」

 

3. ちょっとリッチな気分が味わえる国際線の機種を選ぶ

飛行機は普段、国際線の機種と国内線の機種に分かれていますが、運行スケジュールによっては、国内線に国際線機種を使用することがあります。

 

「ANAは成田→伊丹便(NH2179)や、伊丹→成田便(NH2176)に国際線の機種が使われることが多く、プレミアムクラス料金で国際線のファーストクラス席に座ることができるかもしれません。

 

JALでは、成田→中部国際空港便(JL3087)、中部→成田便(JL3082)、成田→伊丹便(JL3009)と、伊丹→成田便(JL3004)で国際線機種が多く、クラスJの料金で国際線のビジネスクラスが体験できることがあります。いずれも1時間ほどのフライトですが、ファーストクラスやビジネスクラスに一度乗ってみたい! という方にはオススメですよ」

 

 

旅がちょっと楽しくなるプチウンチク

他にも、知っておくと面白い、そして為になる情報を引き続き村田さんに教えてもらいましょう。

CAさんが休憩できる隠し部屋がある!?

国際線では長時間のフライトになることも多いCAさんのために、大型機では機内に専用の隠し小部屋があるそうです。

 

「ちょうどカプセルホテルのような形態の仮眠室で、クルーバンクと呼ばれています。実はパイロット用のクルーバンクもあり、しっかり体や目を休めることで長時間でも安全に操縦できるのです」

 

機内食がアップグレードできる!?

飛行機での旅でのお楽しみのひとつでもある機内食は、料亭や料理人とコラボレーションするなど、時代とともに美味しく進化してきました。

 

「ANA国際線では、プラスで2500円支払うと機内食をアップグレードする裏技があります。便によって違いますが、ピエールエルメ監修のデザートがついてきたり、国産牛のすき焼きがチョイスできたりします。また、JALでは、ベジタリアンミールやアレルゲン対応食、低グルテン食や糖尿病対応食、宗教食など20種類の中から選べるようになっています。好みに合った食事ができると、フライトもより一層楽しくなりますよね」

 

同じアライアンスの方がロストバケージしにくい!?

ロストバゲージとは、主に国際線を利用するときに起こる出来事で、その言葉どおり、預けたはずの荷物がなくなってしまうことをいいます。

 

「フライト数の多い空港では荷物の取り違えがあったり、乗り継ぎ便に荷物が乗っていなかったりと、荷物がなくなってしまうことがあります。あとで見つかることも多いのですが、なくなったまま出てこないと場合もありますから、保険に入っておいたり、貴重品は手荷物の方に入れたりという対策も必要です。

 

また、さまざまな航空会社を使って乗り継ぎをすると荷物の所在が分かりづらくなるので、同じ航空会社で乗り継ぎをする方が紛失しづらいかもしれません」

 

ビザが取りやすくなったロシアが熱い!?

2018年にロシアは法改正をし、ウラジオストクなどの沿岸地域や、水の都と言われるカリーニングラード州への旅行に電子ビザを導入しました。

 

「これまでは大使館でビザの申請をしなくてはならず、手間がかかったのですが、電子ビザであればインターネット上から申請ができます。そのため日本から訪れる観光客が急増しています。日本から2時間半で着くヨーロッパとあって、2〜3泊でも行けることも人気の理由でしょう」

 

 

続いて、飛行機に乗るなら避けては通れない空港での時間。この時間が快適に楽しめるウンチク&お得な情報を紹介しましょう。

 

GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」

羽田空港・成田空港のおすすめスポットは?

続いては、各空港内や付近にあるおすすめのスポットを紹介してもらいましょう。飛行機に乗らずしても遊びに出かけたい場所です。

1. 飛行機が見渡せる展望スペース

羽田空港には、第1ターミナル、第2ターミナル、国際線ターミナルと3つのターミナルがあり、それぞれに展望スペースが設けられています。

 

「海外ではあまり見られない展望スペースですが、日本には羽田と成田いずれにもあり、飛び立つ機体や整備中の様子が見られます。ちなみに第1ターミナルからは富士山が見え、夕日もきれいです。第2ターミナルからは海が望めますよ」(ライター・村田尚之さん、以下同)

 

2. 羽田空港のレストラン「LDH kitchen THE TOKYO HANEDA」

羽田空港には、世界の料理が楽しめるフードコート(第2旅客ターミナル3階)や、パイロットになった気分が味わえるフライトシュミレーターや、プラネタリウムカフェ(いずれも国際線旅客ターミナル5階)などもあり、賑わいを見せています。

 

「2018年にオープンした“THE HANEDA HOUSE”は、飛行機の発着を見ながらお茶を楽しめるお店や、リラクゼーションスポットなどの入った新しい商業施設です。なかでも、レストラン“LDH kitchen THE TOKYO HANEDA”は250坪の敷地で、国内外のアーティストによるライブを見ながら食事ができるとあって、人気が高まっています」

 

3. 無事を祈る羽田航空神社

羽田空港の第一ターミナルビル1階に、航空神社の分祠があることを知っていたでしょうか?「小さくて簡易的な神社ではありますが、旅行する方々やパイロットなどが手を合わせに訪れています。旅の前に時間があったら覗いてみてください。

 

本祠は新橋の航空ビル屋上にある新橋航空神社で、こちらではお札やお守りも売っています。休館日でなければ自由に参拝することができます」

 

4. 成田市の「空の駅 さくら館」

成田空港に程近い場所にある“空の駅”は、飛行機が空港に発着する様子が大迫力で見えるスポットです。「空の駅では、地場野菜が購入できる他、“フライトカフェショップ・チャーリーズ”では、実際にファーストクラスで提供されている機内食のレトルトや、本物の救命胴衣をリサイクル使用したバッグなど、飛行機マニアにはたまらないグッズの販売もしています。

 

また、隣には、さくらの山という桜の名所でもある公園がありますから、春にはぜひお花見がてら行ってみてください」

 

5. 成田空港第3ターミナルの寿司店

LCC専用としてオープンした成田空港の第3ターミナルには、国内空港最大のフードコートがあります。「フードコートの中でもオススメしたいのが、立ち食い寿司“TATSU SUSHI”。職人さんが握ってくれる本格的なお寿司は評判がよく、特に海外へ行き来するときにはおいしいお寿司が欠かせません。

 

ちなみに成田から都内にバスで戻る方は、第3ターミナルから乗ると先に好みの席に座ることができるので、お寿司を食べながらバスを待つといいですよ!」

 

 

スケールが段違い! 楽しい海外の空港をチェック

今度は世界に目を向けて、他国の楽しい空港について。

 

オランダ・アムステルダムのスキポール空港

スキポール空港には、充実したギフトショップやオランダ最大のスーパーマーケットチェーンがあるだけでなく、カジノや美術館など、待ち時間を楽しませるスペースがあるのです。「空港内にはアムステルダム国立美術館所蔵の絵画が展示された美術館がある、ミュージアムショップも入っています。展示品の数はそう多くはありませんが、無料で見学できるので足を運んでみてください。また、空港内にあるKLMのラウンジがリニューアルされ、ミシュランスターシェフが監修しているレストランを新設しました」

 

シンガポール共和国・チャンギ国際空港

世界のハブ空港としても使われているチャンギ空港では、乗り継ぎの時間を楽しく過ごせるようさまざまな工夫がなされています。「まるでテーマパークのような、一日中遊べる空港です。温室になっている広い庭園では数十種類の蝶を観察できたり、公開が終了したばかりの映画を無料で観られる映画館があったり、ひまわり畑やプール、ビル内をスライディングできる滑り台など、とにかく遊び心満載で作られた施設といえます。隣接しているショッピングモールで買い物にも困りませんし、トランジットの時間が一定以上あれば、市内を巡るツアーに無料で参加することもできます」

 

 

ウンチクをもっと知りたい人は「旅客機・エアライン検定」で

2019年に第1回目が実施された“旅客機・エアライン検定”は、飛行機や空港のウンチクをテスト化したものです。村田さんが執筆した『旅客機・エアライン検定』の公式テキストを読むだけでも、知らなかった知識に出会うことができるでしょう。第1回の合格者は、JALスカイミュージアムで工場見学に参加でき、上位合格者の表彰イベントがこれから催されます。下記URLで練習問題にトライすることができますから挑戦してみましょう。

https://www.kentei-uketsuke.com/airline/

 

こうした情報を仕入れておくと、国際線の機種に乗ることを目的とした旅や、空港を楽しむための旅など、旅の計画の仕方も変わってきそうですよね。これまで暇を持て余していた空港での時間も、楽しめるスポットを知れば充実させることができるのではないでしょうか。

 

【プロフィール】

乗り物ライター / 村田尚之

1970年東京生まれ。学生時代から雑誌の編集に携わる。その後、自動車関連の編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライター・カメラマンに転身。旅客機、自動車、鉄道など、身近な“乗り物”に関する記事を手掛けている。

 

GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」