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2016/7/2 15:00

「恐鳥人類」が誕生していた!? 恐竜と鳥類を結ぶ「恐鳥」の謎

スーパーミステリーマガジン、「月刊ムー」が寄稿するコーナー。今回は、恐竜が絶滅したあとに猛威を振るったといわれる「恐鳥」にまつわるお話です。

恐竜絶滅後の地上の覇者「恐鳥」

恐竜は絶滅したのではなく、鳥類に進化して生き延びていた――。すでに定説になりつつある恐竜と鳥類の関係を探るうえで、非常にユニークな存在が恐鳥類だ。

 

恐鳥類はジャイアント・モアやマダガスカルのエピオルニス、ダチョウやエミュー、ヒクイドリなど近現代の飛べない鳥と比べてはるかに獰猛な肉食獣で、英語ではテラーバードと呼ばれるほど。主な食料は哺乳類で、馬などの大型の哺乳類も捕食していたようだ。

↑恐鳥類ディアトリマの頭部骨格
↑恐鳥類ディアトリマの頭部骨格

 

恐鳥類の特徴は、その名の通り、恐ろしく巨大な頭部と恐竜並みの体格である。恐鳥類の一種、ディアトリマの体高は2メートル以上、体重は最大で500キロほどあったとされる。ティラノサウルス並みの巨大な顎で、無力な哺乳類は粉々に噛み砕かれ、一瞬にして捕食されていたに違いない。

 

中生代に一部の恐竜(獣脚類)は鳥へ進化していった。原始的な鳥類が歯や翼にかぎ爪を持っていたのと比べ、恐鳥類では、これらが完全に退化している。恐鳥類は現生の鳥類に近い真正の鳥類から、再び地上に戻り、絶滅した肉食恐竜の「生態的地位=ニッチ」を占めた。恐竜絶滅後に哺乳類も大繁殖を始めていたが、捕食者の頂点にいち早く到達したのは鳥だったのだ。もともと獣脚類から進化した鳥は、元の生態に戻るのも早かったのかもしれない。

 

恐鳥類がこのまま覇権を保っていれば、哺乳類は多様に進化することはできず、地上を逃げ惑う夜行性の小さな動物にとどまっただろう。

 

その場合、長い年月の進化の末、恐鳥類の大きさはキリン並みに達していたかもしれない。また、哺乳類の台頭が抑えられたとすれば、巨大な草食性の鳥類も進化していたはずだ。捕食者が巨大であれば、被捕食者はさらに巨大になる。恐らく、草食性の地上の鳥は、その体重を支えるため再び4足歩行に戻っていることだろう。象のような巨体を持つ草食性4足鳥が、地上をのし歩いていたかもしれない。

 

だが、現実はそうはならなかった。恐鳥は多くの大陸では3000万年以上前に絶滅に近い状態にあり、最後の恐鳥類が絶滅したのは、約40万年ほど前だといわれている。

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もし恐鳥人類が誕生していたら?

もしもの話だが――、恐鳥類が食物連鎖の頂点に立つものとして、そのまま知的に進化したらどうなっていただろうか?

 

カナダの古生物学者デイル・ラッセルはトロオドンが進化したディノサウロイドというモデルを提唱した。それはまるで両生類のような肌に巨大な目を備えたヒト型の生物で、恐竜人間というより、河童かグレイ・エイリアンに近い感じの姿である。

 

だが今となっては、この復元が間違っていることは明らかである。この復元のもとになったトロオドンは鳥そっくりの羽毛恐竜のため、知的に進化したとしても全身を羽毛で覆われているはずだ。あるいは、ヒトのように進化の過程で体の羽毛が失われたとしても、肌は羽をむしったニワトリのようなテクスチャーで、頭部には立派な冠羽が付いていたことだろう。

 

さらにディノサウロイドの復元図に、腰のくびれがあるように見えるのもおかしい。恐竜類は哺乳類と異なり腹部まで肋骨で覆われており、いわゆる鳥のようなずんぐりむっくりの体形である。直立二足歩行したとしても、決して腰のくびれはできないはずだ。

 

恐竜の子孫である恐鳥類が知的に進化したとしても、同じようにくびれはないだろう。また、恐鳥類が知的に進化したとしても、ヒトのようにテクノロジーを発達させることは難しいだろう。なぜなら恐鳥類の前肢は完全に退化していたからである。

 

――それでも、退化した前肢を再び進化させ、知的恐鳥類が現れたと考えてみよう。

 

まず道具を使うことにより、巨大なくちばしはその役目を終え、小さくなることだろう。またテクノロジーが発達すれば、ヒトと同じように、体の作りは相対的に華奢になるだろう。

 

逆に、脳をおさめる頭蓋は、ヒトより大きく進化する可能性がある。ヒトは胎生で産道を通って生まれてくるため、頭蓋の大きさは進化的に限界に近いからだ。一方、卵から産まれる知的恐鳥類においては、誕生時に脳の拡大を抑制するものはない。したがって、脳は発達し、大きな頭部を持つにいたるかもしれない。

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↑恐鳥人類の想像図(イラストレーション=山本聖士)

 

となると、セサミストリートに出てくるビッグバードや、ディズニーのドナルドダックは、恐鳥類の進化系としていい線をついているといえるだろう。

 

もしも、恐鳥が生き延びていたら――その巨大な脳を発達させて、コンピューターに頼らなくとも、膨大な記憶と演算能力を備えた超鳥人類“テラーバードノイド”が誕生していたかもしれない。(文=権藤正勝)

(ムー2016年7月号より抜粋)

 

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