ライフスタイル
2020/10/6 19:00

実は子育てに最適!? “せんべろ”の街「赤羽」が“住みやすい街”に選ばれる理由

毎年恒例の「住みたい街ランキング」(SUUMO)や、「本当に住みやすい街大賞」(ARUHI)などで、常に上位にランクインし続ける東京都北区・赤羽。一般的に“せんべろ居酒屋”と呼ばれるリーズナブルな居酒屋が立ち並ぶ、繁華街のイメージが強い赤羽ですが、なぜ“住みたい街”、そして実際“住みやすい街”と評価されるようになったのでしょうか? その理由を探るべく、地元・北区をこよなく愛し、地域の最新情報を発信する「赤羽マガジン」管理人の鈴木たかしさんに話を伺いました。

 

北区生まれ、北区育ちが発信する赤羽情報

赤羽をはじめとする北区のグルメ情報やイベント情報を、日々発信し続ける情報サイト「赤羽マガジン」。誕生したのは2019年の8月と意外にも最近のことですが、メニューや価格情報だけでなく、開店・閉店や、コロナ禍における営業時間の変更、テイクアウト提供の有無などの細かい情報も、素早くキャッチし情報提供していることから、月間40万PVを誇る地域最大級の情報サイトに。管理人の鈴木さん自身も北区出身であり、その土地勘がサイト運営に役立っているといいます。

 

「きっかけはいろいろとありますが、僕自身が尾久(おく)出身で、生まれも育ちも北区であることと、10年ほど前から赤羽に仕事場があり、人生の大半を北区の端から端まで生活圏内として過ごしてきたので、赤羽という街に地元感覚があること、そして自分でブログやサイト作りをしてみたかったということもあり、『赤羽マガジン』をスタートさせることになりました」(北区在住ブロガー / 鈴木たかしさん、以下同)

 

魅せられる人多数! “せんべろ”繁華街

「住みたい街ランキング2020 関東版」で第3位、「本当に住みやすい街大賞2020」では第2位にランクインした赤羽。赤羽にこういった住みよい街のイメージが定着しつつある理由について、鈴木さんは根本的に、知名度の向上にあるのでは、と分析します。

↑赤羽駅

 

「テレビ番組などで“せんべろの街”として取り上げられることが多くなった一方で、昔懐かしい下町感も残っており、街としての人気が高くなっていること。そして、京浜東北線・高崎線・埼京線などの計6線が通っており、圧倒的に交通の便がよいことなどが、ランクインするようになった理由ではないでしょうか」

↑赤羽一番街

 

“せんべろ居酒屋”とは、「1000円でべろべろに酔える」ほどリーズナブルな価格帯の飲食店のこと。赤羽にはこのせんべろ居酒屋が多く、繁華街で楽しむ“ハシゴ酒”が、近年メディアでも多く取り上げられています。

 

“せんべろの聖地”とも呼ばれる「赤羽一番街」には、16時頃から早くも賑やかな声が聴こえ始めます。お酒好きにはたまらないスポットですが、一方で、駅前に繁華街があることで懸念事項となるのが治安でしょう。仕事場が赤羽にあり、赤羽駅を毎日利用するという鈴木さんは、どう感じているのでしょうか?

 

「仕事が忙しく終電で帰ることも多いのですが、とくに治安が悪いと感じることはあまりないですね。ただ、一部の地域の客引きの多さは、ちょっと気になる方もいらっしゃるかもしれませんが……」

 

実は「子育てするなら北区が一番!」って本当?

前述の繁華街をはじめ、“夜の街”としてのイメージが強い赤羽ですが、実は北区では「子育てするなら北区が一番!」というスローガンが掲げられており、近年では待機児童の大幅な解消などが実現されています。

 

「赤羽は、子育て世代にはとてもいい地域だと思います。子どもの医療費が中学3年生まで無料(※15歳到達後最初の3月31日まで)なのですが、なんと歯医者の利用なども無料になるので、子どものいる家庭ではとても助かるのではないでしょうか」

東京都北区子育て応援サイト「きたハピ」
http://www.city.kita.tokyo.jp/kitahapi/index.html

↑赤羽公園

 

また、公園が多いことも子どもたちが喜ぶポイントだと、鈴木さんは話します。東口から徒歩4分のところにある「赤羽公園」や、西口から徒歩15分のところにある「赤羽自然観察公園」は、子どもたちが思い切り駆け回れると人気のスポット。赤羽自然観察公園には古民家を再現した体験学習施設があり、子どもたちの学びの場所としても親しまれています。

 

「くり返しになりますが、電車やバスにしろ車にしろ、北区は交通の便がとてもいいんですよ。スーパーも充実していますし、買い物がしやすいのもうれしいポイントだと思います」

 

離れても、やがて帰りたくなる。地元愛があふれる街

 

2011年には駅構内に「ecute赤羽」がオープンするなど、埼玉県と東京都を繋ぐ“ポータル”として栄えていった赤羽。一方で、令和を迎えた現在でも、昭和の下町情緒を残すノスタルジックな街でもあります。いまだに変わらない部分が残り続けているのは、長く赤羽という街を愛する人々がいるからなのでしょう。

 

「赤羽にしかない魅力といえば“住んでいる人のあたたかさ”じゃないかな、と僕は思います。地元の人は赤羽が大好きなんですよ。赤羽に生まれ、赤羽に長年住む人も『赤羽で育った人は一度外に出て、また、赤羽に戻ってくる人が多いんだよね』と言っていましたね」

 

赤羽のおすすめスポットは?

1.十条のソウルフードも食べられる中華料理店!「支那そば 大陸」

「実力派の中華料理店です。ランチはいつも賑わっていて“十条のソウルフード”といわれる『からし焼き(豚肉を大量のにんにくとしょうがで炒めたもの)』などもメニューにあります。人気メニューは『支那そば』ですが、なにを頼んでもおいしいですよ! 僕のイチオシは、カレーライスとかた焼きそばですね」

 

2.個性派メニューがたまらない「海里」

「赤羽一番街の賑やかな通りを抜けた、奥のほうにあるお店。創作料理の居酒屋さんで、名物の豚ひつまぶしは香ばしくてとてもおいしいです。また『おでんのから揚げ』『ビーフシチューの天ぷら』などの個性派メニューもありますが、どれも本当においしいですよ。個人的にはレモンサワーがおすすめです!」
https://seafood-restaurant-1787.business.site/

 

3.地元の人々で賑わう「醸し屋 素郎slow」

「赤羽の一番街から一本、裏通りに入ったところにある居酒屋で、いつも地元の人で賑わっています。ありきたりな言葉になってしまいますが、豊富なお酒に、とにかく料理が丁寧でとてもおいしいんです。僕のおすすめは『手羽先のチューリップ揚げ』!」

詳細は次のページへ

 

4.どこか懐かしく、癒やされる味「赤羽百万石」

「駅前にある立ち食いそば屋さんなのですが、こちらのラーメンやカレーラーメンはおすすめですね。シンプルな醤油ラーメンですが、どこか懐かしさを感じる味わいなんです。心がほっと和むようなおいしさですよ」

 

今回は、鈴木さんにおすすめいただいたなかで、「醸し屋 素郎slow」を訪ねてみました。次のページでは、そのにぎやかさとあたたかさに満ちたお店の、個性豊かなメニューを紹介します。

 

【プロフィール】

ライター・ブロガー/鈴木たかし

東京都北区尾久生まれ。2019年8月より地域情報サイト「赤羽マガジン」をスタート。オープン予定の飲食店を紹介した記事がツイッター上で注目を集め、瞬く間に人気を集める。ネットでの調査や読者からの情報提供のほかに、自ら街歩きをして収集した情報の正確さは、地域の人々を中心に、厚い信頼を得ている。
https://akabane-shinbun.com/

ついつい足を運んでしまう。地元の人々に愛されるお店

赤羽駅東口から徒歩4分。「赤羽一番街」を進んで少し外れたところに、「醸し屋素郎 slow」はあります。ズラリと並べられた一升瓶のディスプレイが、取り扱うお酒の種類の豊富さを物語っており、お酒好きの人々を店内へと誘います。

 

お店がオープンしたのは、2006年10月のこと。もうすぐ14周年を迎える店内には、著名人のサインがズラリと飾られています。

とくに多く見られたのが、プロ野球『ヤクルトスワローズ』の選手の方々のサイン。実はこちらのお店、“赤羽一、ヤクルトスワローズを愛するお店”を自称していて、スワローズの応援グッズやユニフォームも飾られているなど、選手も公認のスワローズ愛たっぷりのお店でもあるんです。

 

思わず目移りしてしまう、豊富なドリンクメニュー

外観のイメージ通り、ドリンクメニューはバリエーション豊か。季節によってグランドメニューに変更はあるものの、日本酒だけでも10種類以上のラインナップが用意されており、日本全国のおいしい地酒を楽しむことができます。

 

カクテルやサワー類が多い点は、女性にもうれしいポイントでしょう。今回は、スローベリーを浸けたジンをソーダで割った「素郎ソーダ」と、ぶどう酢とびわエキスを加えたビタミンたっぷりのサワー「びわみんサワー」をいただきました。

素郎ソーダは、ジンの華やかな香りとスローベリーのほのかな甘み、そして絞ったレモンの酸味が絶妙。びわみんサワーは、びわの優しい甘さとぶどう酢の爽やかな酸味が相まって、お酒があまり得意でない人でもスイスイ飲んでしまえそうな一杯です。どちらも後味がスッキリしているので、食事との相性も抜群!

 

思わずお酒が進む、個性的なメニューの数々

定番の居酒屋メニューから、ここでしか食べられないユニークなメニューまで、フードメニューのラインナップも豊か。まずはグランドメニューから人気のおつまみを注文してみましょう。

 

こちらは“slowの絶対エース”との呼び声高き『マカロニたまごのポテトサラダ』。その名の通り、固ゆでのたまごとマカロニが加えられたポテトサラダなのですが、オリジナルのドレッシングで仕上げられているんです。このしょうゆ・マヨネーズ・ごまベースのドレッシングが、まろやかなポテトサラダとの相性抜群! 箸もお酒も止まらなくなります。

 

続いて、お店の名物とも呼ばれる『揚げたて 厚揚豆腐』。やわらかいおぼろ豆腐を揚げたもので、外はカリカリ、中はプルプルの新食感が楽しめる一品です。今回は自家製のだし醤油とともにいただきましたが、マヨネーズとソースでお好み焼き風に食べるのもおすすめなのだとか。

 

お次は、鈴木さんおすすめの『手羽先のチューリップ揚げ』! 「どうして“チューリップ”なんだろう?」と不思議に思っていましたが、運ばれてきた姿を見て納得。まるでチューリップの花のような形をしていますよね。手羽先揚げといえば、細かい骨があって食べづらいというイメージがありますが、こちらのチューリップ揚げは片手でペロリと食べられるのが魅力的。一口食べれば、口の中にあふれ出すジューシーな肉汁がたまりません。

 

「こんなに手羽先がおいしいならば!」と、鶏レバーも注文してみることに。こちらは『しろレバーのオイル漬け』。レバー特有のくさみが驚くほど少なく、なめらかな食感とほのかな甘みが絶妙です。気をつけないと、どんどんお酒が進んでしまいそう……。

 

最後のシメは、やっぱりお茶漬け。明太子・梅・鮭から選べますが、今回は明太子を注文しました。玄米茶のお出汁をたっぷりかけていただきます。これまで注文したメニューは、思わずお酒が進むようなしっかりとした味付けだったのに対し、お茶漬けは玄米茶の香ばしさが際立つシンプルで素朴な味。身体の内側からじんわりと温まり、「ああ、きょうも一日がんばった!」と癒やされるおいしさです。

 

おいしいお酒と肴が、不安な毎日の励みになる

コロナ禍で一時は営業自粛を余儀なくされ、その後感染症対策を実施しながらも、少しずつ以前の営業形態を取り戻していった「醸し屋 素郎slow」。自粛期間中にスタートしたテイクアウトメニューも好評を博し、赤羽の人々の“おうち飲み”も支えています。

 

この日は開店直後に取材へ伺いましたが、しばらくすると、仕事帰りと思われるグループ客で席が少しずつ埋まり始めました。こんなご時世だからこそ、「きょうは何を頼もうかな」と選ぶことさえ楽しみながら、大切な人と楽しむお酒のおいしさは格別ではないでしょうか。

 

【店舗情報】

醸し屋 素郎slow(かもしや すろう)

所在地=東京都北区赤羽1-39-8 サアムビル1階
電話番号=03-3598-5465
営業時間=【火~金】17:00~24:00【土、日、祝】15:30~24:00 ※今後の時勢に伴い変更可能性有り
定休日=月曜日
http://slow.japan-web.jp/



提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」