ライフスタイル
2016/7/30 12:00

イエデン(固定電話)持ちじゃないお宅は信用できない!?

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■この現代になっても“イエデン”、必要ですかね〜?

とあるワーママからのご相談である。

「いま我が家の固定電話が崩壊寸前の状況でして、買い替えようかとも思ったのですが、今の世の中にもまだイエデンって必要かしら……と悩んでいます」。

 

ほほう……それって以前は単身世帯でのトピックだったものですが、いよいよイエデン価値観の崩壊が子育て層にもやってきた感がありますな!

 

「私はフルタイムで働いているのですが、最近は同じように共働きの家庭が多いため、保育園や小学校の連絡網にケータイを登録する保護者も多いようです。我が家の場合は、固定電話にかかってくる電話といったら何かの勧誘の類ですし、日中不在にする共働き家庭にとっての固定電話とは、不在時に知らないだれかが鳴らすためだけに存在している感じなのです……」。

 

“不在時に知らない誰かが鳴らすためだけに存在する固定電話”とは、何やら夏の怪談めいてゾッとしますが、ううむ、これぞまさに“共働きあるある”。そう、ワーママは「意味(というか現実的な関係性)のある連絡先」には全て自分の携帯番号を伝えてあるものですから、今どきワーママ家庭の固定電話にかけてくる人なんてのは、限られてくるのですよね。

 

「そんな経緯もあり、固定電話の商品ラインアップを眺めていたところ、なんというか必要とされてない感が漂う貧相な品揃えだったもので、もしや必要ないのでは?と思ったのです。でも職場の上司は『いや、固定電話持ちの方が絶対信頼感はあるだろう』、『仮にも親なら、ちゃんとした家庭を構えているという証明のためにも、固定電話は持っておくべきじゃないの』と。身内ですらケータイに連絡してくるこのご時世、この固定電話になんとなく感じる信頼感というのは、いまだ世間でも一般的なのでしょうか、それともただの思い込みでしょうか?」。

 

■固定電話番号は「逃げも隠れもしない」証明?

上司の言う「固定電話持ちの信頼感」、これはどうにも根強いものです。例えばこちらが何かのサービスや業者を検索して、出てきた番号が携帯だったら、「おい」と思いませんか。「事業所を構えてないのか? 大丈夫かこの業者」と。住所は知らないけれど携帯番号だけ(最近はきっとLINEアカウントとかね)を知らされているカレシやカノジョにも、「いつでも関係を切れるように携帯だけかぁ〜(しかもその携帯もいくつあるんだかな〜)」と思いませんか。

 

つまり、関係性を継続する意思の希薄な順に「LINE<メール<<携帯<<<<自宅の固定電話」なんです。なぜなら、いまだ固定電話番号には住所と密接にリンクした市外局番なるものがあり、その後に続く番号もはじめの2〜3桁が住まいのある町名とリンクしてきたからです。電話事業サービスが多様化した現代では、電話番号需要の飽和から新しい番号は必ずしも町名と明確なリンクはしなくなりましたが、それでも市外局番は生きています。

 

かくして、日本の電話事業者が日本電電公社一択だった時代由来の、住所の情報が少なからず含まれる固定電話番号は、その人やその家庭が「逃げも隠れもせずそこに住んでいる」ことを示唆する、一定の信頼感を与えるものとして機能してきました。ですからいまだに、固定電話番号は携帯電話番号よりも「ちゃんとした」番号として認識される傾向を帯びているのです。実際にどれほどの頻度でそれを使っているかは別として。

 

■持っておいて損はないのがイエデン“番号”

となれば、子どもの学校関連に伝える電話番号としては、近年は固定電話と親の携帯番号を併記する層が最大勢力となります(学校PTA経験での私的統計より)。たとえほとんど使っていなくても、かかってくるのがしょーもない勧誘電話ばかりであったとしても、こちらがその回線を通じて発する言葉が「もしもし〜?」と「結構ですぅ(ガチャ)」のコンビネーションほぼ一択であったとしても、固定電話“番号”は持っていたほうがいいものです。「なぜだっ! そんな意味のないものに電話加入権数万円と月々の維持費をなぜ払わねばならぬのだっ!」と憤る向きには、「いまや固定電話にそれほどお金はかからないのですよ〜」と、いまお使いのネット接続サービスにでも付帯するIP電話をオプション契約することをお勧めいたします。

 

ちなみに筆者の家庭も、海外生活から日本へ帰国した時に同じく「イエデン要らないよな〜」と思いましたが、学校関係のためにIP電話番号を取得し、おもちゃみたいにチープな電話機を設置しました。それが鳴るときはたいてい息子の学校の先生からの「今日、息子が学校で起こしたトラブルのご報告」で、親が電話口で平謝りする哀しみのホットラインだった時代が続いたもので、今も電話が鳴ると家の中がピリッとし、わりとスパイシーな存在です。

 

【著者プロフィール】

河崎 環

1973年京都生まれ神奈川育ち。乙女座B型。 部活:演劇部(男役など) 趣味:お笑いとロックと飲酒 特技:歌と飲酒 将来の夢:隠遁して飲酒 悩み:親が奇人。娘が2次元で迷子。ほうれい線。 寝床にある書:『疲れ過ぎて眠れぬ夜のために』内田樹 藤沢の田舎、海外遊学などで若さと人生を無駄遣いしたのち、予備校・学習塾講師を経て物書きの世界へ足を踏み入れ、いよいよ人生を棒に振る。2002年よりAll About「子育て事情」ガイドとして活動するも失踪。ふと気づくと何かの波にさらわれて渡欧、海を越えたのならと開き直りエレガントに理屈をこねた(自称)のち、最近再び日本の土を踏んだ様子が報告されている。