ライフスタイル
2016/7/31 15:30

希望ナンバー制で数字が足りない!? ナンバープレートの自己主張はいかがなものか

20160731-a01 (1)

んも〜、マイカードライバーのみなさんがやたらと「8888」を始めとするゾロ目ナンバーとか、「1188」(いいパパ、いい母)とか「1122」(いい夫婦)とか、ナンバープレートで自己主張したがるから、番号が足りなくなっちゃったじゃないですか〜。

 

車ナンバーに英字 17年4月以降、番号足りぬ恐れで

 

というよりもだ、なんで車のナンバープレートで語呂合わせしたがったり、「いい◯◯」アピールをしたがるのか。何かの願掛けか。何に祈りを捧げているというのか。

 

「末広がりの“八”に願いを掛けて、ウチの会社が未来永劫、繁栄しますように♡」

「僕たちがずっと健康で幸せな、いい家族でいられますように♡」

 

ってか。そうですか、皆さんが幸せならそれでいいんですよ私も……。

 

もともと、ナンバープレートに妙なこだわりを見せる人々というのは長らく存在していて、これはおそらく、いや確実に、車が道具というよりもマイホームに次ぐ財産だった昭和の名残である。昭和の一般家庭に車が普及するのと同時に、「いやぁ〜、お父さんもついにマイカー買っちゃったぞ。一生に一度の買い物だし、ナンバープレートもいい数字をつけてやりたいもんだな、なっ」と、日本人らしく縁起ものの「8」や「1」、「おっ、そうだ母さん、英語じゃラッキーセブンって言うから7も縁起がいいんだな」「行け行けゴーゴーってなもんで、“5”もいいかもしれないな」と、初めは縁起のいい数字をゾロ目や一桁で欲しがる傾向があった。やがて「720(ナニワ)」「2525(にこにこ)」や「1188(いいパパ・母)」などの語呂合わせが登場するのも時間の問題だった。

 

ただ、そういう消費者のお遊びに英字も導入して組み合わせを増やし、公費を使ってまで対応する必要があるのかというと、甚だ疑問なのだ。若い世代はクルマ離れしていると言われて久しいけれど、いまだ希望ナンバーのニーズが伸びているとはにわかに信じがたい。

 

■だがアメリカはそんなもんじゃない

だが、日本の語呂合わせなんて可愛いもの。アメリカのナンバープレートはアルファベットと数字を好きなように組み合わせて申請できるので、結構な大喜利状態だ。

 

自己主張が強すぎるアメリカのナンバープレート達

メッセージ性を感じる11枚のナンバープレートたち

 

IDIOT[ばーか]←うわ〜腹立つ。

TOILET[トイレ]←なんでそれ選んだの。

DRUNK[酔ってます]←いかんやろ。

LOL OIL[まだガソリンww]←電気自動車テスラによるガソリン車侮辱……。

BIG LOAN[莫大なローン]←ランボルギーニについてるナンバーなのが泣ける。

 

私だったら、GM車に「TOYOTA」ってつけて走るかな〜。嘘です。でも、クルマのナンバープレートがTシャツ並みに、自分の信条やメッセージを伝える自己主張のためのメディアになっている(そして場合によっては要らぬトラブルを巻き起こすこともある)のは、とてもアメリカらしい気がするのだ。そう、日本のゾロ目や語呂合わせナンバーなんて、ぬるいぬるい。

 

■クルマの外見で先入観を与えて走るのは賢明か?

でもねぇ、私もクルマ運転するんで思うんですけれど、前の車のナンバーって否応なしに目に入るので、「8888」「1111」を見るとまず「あーヤバい人かなーやだなー」って心持ち車間距離空けますし、「1188」「1122」アピールする車がいかにもマイホーム派の安全運転ならともかく、ウィンカー出さないとか名古屋走りしやがるとか前詰めて煽るとか、イケイケな運転してるのを見ると「だーっ、この野郎、どのツラ下げてそんなアピールしてやがんのか、顔見てやる。休日の俺(パパ)カッコいいってかぁ〜? 土日の環八程度でイキがってんじゃねーぞゴルァ」と、わりと意地悪な気持ちになるんですのよオホホ(病んでる)。

 

運転以前に外見でアピってしまって、他のドライバーに先入観をわざわざ与えて走るのって、ドライバーとしてはあんまり賢明でない気がする。クルマって、人によってはアイデンティティ化しているものなので、メルセデスやレクサスの上級車、ハ◯ーとかカ◯エンとかエスカ◯ードとかの幅取る車、あるいはどうにもマイルドヤンキーの香り漂う中古VIP車からは、存在からしてドライバーの“オラオラ”オーラが立ちのぼる。そこにナンバーもこねくり回してあろうものなら、もはやドライバーのアクの強さしか感じられず、「あーハイハイ、素敵ステキ、よかったね〜」と、そっと視線を外して追い越させる、表面上は常識人で安全運転の私です。あ、他のドライバーにそうやって譲らせることで“俺様”ドライバーは気持ち良くなるワケ? うわ〜、それは尚更関わり合いになるのやめとくわ……事故りたくないし。

 

【著者プロフィール】

河崎 環

1973年京都生まれ神奈川育ち。乙女座B型。 部活:演劇部(男役など) 趣味:お笑いとロックと飲酒 特技:歌と飲酒 将来の夢:隠遁して飲酒 悩み:親が奇人。娘が2次元で迷子。ほうれい線。 寝床にある書:『疲れ過ぎて眠れぬ夜のために』内田樹 藤沢の田舎、海外遊学などで若さと人生を無駄遣いしたのち、予備校・学習塾講師を経て物書きの世界へ足を踏み入れ、いよいよ人生を棒に振る。2002年よりAll About「子育て事情」ガイドとして活動するも失踪。ふと気づくと何かの波にさらわれて渡欧、海を越えたのならと開き直りエレガントに理屈をこねた(自称)のち、最近再び日本の土を踏んだ様子が報告されている。