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2021/1/29 18:45

【意外と知らない温泉うんちく6選】温泉が恋しい今ですが、温泉のことどれだけ知っていますか?

寒い季節です。緊急事態宣言の真っ只中ではありますが、感染防止対策を万全にしながら、日頃の疲れを癒しに温泉に入り、身も心もリフレッシュされたくなる方は少なくないのではないでしょうか。

 

しかし、一口に「温泉」と言っても、実は細かい定義についてはわからないことも多いです。「『源泉かけ流し』と『天然温泉』は何が違うか」「温泉の泉質はいろいろあるけど、どれだけの種類があるのか」「その字の通り、温かくないと温泉と謳ってはいけないのか」など。

 

今回はこれら温泉にまつわる疑問を6つピックアップ。温浴施設の開発・運営を行う温泉道場の役員で、温泉ソムリエの資格を持つ斉藤綾子さんにうんちくとして解説していただきました。

↑温泉道場・斉藤綾子さん。広告代理店勤務中、温泉が好きすぎてダブルワークで、土日に温泉道場運営の温浴施設のアルバイトをしていたことから、そのまま同社に転職。同社が設定する「湯治休暇」(本社がある埼玉県以外へ2泊以上の旅行をすると、宿泊費用の半分を会社が負担してくれる福利厚生制度)を利用して、各地の温泉を巡っています

 

【温泉のうんちく・その①】「源泉かけ流し」と「天然温泉」は何が違うか

ーー今回は温泉にまつわる様々な疑問にお答えいただき、「温泉のうんちく」を紹介してもらいたいです。まず、よく温泉施設に掲げられている「『源泉かけ流し』と『天然温泉』は何が違うか」から教えてください。

 

斉藤綾子さん(以下、斉藤) まず「源泉かけ流し」ですが、文字通り湧出した温泉をそのままかけ流していることを表します。源泉が熱すぎたり、冷たすぎたり、成分が強すぎるなどの理由から、「加水」「加温」「ろ過・循環」などを行う場合があります。こういったことを行っても温泉には違いがありませんが、「源泉かけ流し」はこういった作業を加えず、源泉そのままの状態で提供していることを表しています。各施設の実施状況は、店頭に掲げられている温泉分析書に記載されているので、チェックしてみると良いでしょう。

また、源泉に対し「加水」「加温」「ろ過・循環」を行っていても「天然温泉」と謳う場合もあります。しかし「天然温泉100%」と謳う場合は、これらの運用をしていないことを表します。

 

【温泉のうんちく・その②】温泉の最低温度は何度なの?

ーー「加水」はわかりますが、「加温」ということは、温泉自体が冷たい場合もあるということですよね。必ずしも熱くなくても、温泉と謳って良いのでしょうか。

 

斉藤 「温泉」の定義は、温泉法という法律のもとに成り立っているのですが、次の①②を満たしていれば温泉と名乗ることができます。

①温度が25度以上であること
②含有成分に関する19の特定条件のうち、ひとつ以上規定値に達しているもの

 

上の「25度」ですが、実際触れても寒いし湯船に浸かるのも難しい温度です。ですので、例えば源泉が25度だった場合は、加温してみんなが入りやすくするようにする場合があるということです。

 

【温泉のうんちく・その③】日本で温泉が開拓されたのはいつから?

ーーそもそも日本で温泉が開拓されたのはいつからなのでしょうか。

 

斉藤 諸説あり「わからない」と言われています。ただ、日本書紀(720年)や風土記などの一部に、すでに温泉にまつわる記述があるため、これ以前ということになると思います。また、一般的に「有馬温泉」(兵庫県)、「道後温泉」(愛媛県)、「白浜温泉」(和歌山県)が「日本三古湯」と言われています。

↑「有馬温泉」(兵庫県)。江戸時代の温泉番付では、最高位の西大関に格付けされたこともある名湯

 

↑「道後温泉」(愛媛県)。万葉集や夏目漱石の『坊っちゃん』にも描かれた四国屈指の温泉

 

↑「白浜温泉」(和歌山県)。火山性由来ではなく、高温の地下水が滞留したものが源泉。写真は白浜温泉に属し、海沿いに面した名所「崎の湯」

 

【温泉のうんちく・その④】日本の温泉の種類はどれだけあるの?

ーーまた、各温泉施設を巡ると、様々な泉質があります。日本の温泉ではどれだけの泉質があるのでしょうか?

 

斉藤 大きく分けて以下の10種類の泉質があり、いずれも温泉法の基準に基づいて分類分けされています。また、泉質それぞれに対する適応症も、やはり温泉法に基づいて定義付けられています。

○単純温泉……[適応症]自律神経不安定症、不眠症、うつ状態
○塩化物泉……[適応症]きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
○炭酸水素塩泉……[適応症]きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症
○硫酸塩泉……[適応症]きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
○二酸化炭素泉……[適応症]きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症
○含鉄泉……[適応症]なし
○硫黄泉……[適応症]アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症
○酸性泉……[適応症]アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常、表皮化膿症
○放射能泉……[適応症]高尿酸血症、関節リウマチ、強直性脊椎炎
○含よう素泉……[適応症]なし

 

これらも各施設店頭の「温泉分析書」で確認できます。温泉分析書は温泉のプロフィールのようなもので、その温泉の特徴を表しています。

↑温泉道場運営の「おふろcafe 白寿の湯」(埼玉県)。泉質は塩化物泉によるナトリウム・塩化物強塩泉

 

↑温泉道場運営の「昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉」(埼玉県)。泉質はアルカリ性単純温泉。ph7.5以上のアルカリ成分を含むものが「美人の湯」と謳えますが、こちらはph10.1もの値があります

 

↑温泉道場運営の「おふろcafe bijinyu(美肌湯)」(静岡県)。泉質はアルカリ性単純温泉のほか、硫黄泉のお風呂もある贅沢な施設です

 

【温泉のうんちく・その⑤】名前が怖そうな温泉、どれも本当に安全?

ーー上の温泉分類の中で特に気になったのが、浴用の[適応症]なしの含鉄泉や含よう素泉、それと、放射能泉です。なんか怖い感じもしますが……。

 

斉藤 いずれも怖い温泉ではありません。まず、含鉄泉は、その名の通り鉄分を含むもので、空気に触れ酸化すると不透明な褐色になります。飲用の[適応症]として「鉄欠乏性貧血」があります。一般的な貧血に適応されるものですが、「体が温まりやすい」という解釈で良いと思います。そして、含よう素泉は、非火山性の温泉に多いもので、その名の通り、よう素が含まれています。よう素は、うがい薬にも使われる殺菌効果の高いものですが、温泉自体の匂いや色も、うがい薬に似ています。

また、放射能泉は、天然由来の放射能が含まれるものです。よく「ラドン温泉」といった名前を聞くことがあると思いますが、これが放射能泉です。「放射能」に怖いイメージを持つ人も多いと思いますが、温泉中に含有されるものは、常温で気体となり、湧出されると空気中に飛散されるため心配はありません。

 

【温泉のうんちく・その⑥】「かけ湯」「上がり湯」の正しいやり方とは?

ーーあと、温泉に入る際の「かけ湯」と上がる際の「上がり湯(体を洗うことを含む)」の、正しいやり方をお聞かせください。

 

斉藤 まず「かけ湯」ですが、みんなが使う温泉なので、「ある程度体を綺麗にしてから入る」という目的もありますが、本来は、その「温泉の刺激に慣れる」こととヒートショック的なことを起こさないために行うものです。また、「上がり湯」は、温泉の成分が体から流れてしまうので、できればしないほうが良いです。

 

ーーそうなんですか。お風呂での汚れを取るために、必ず洗って出るようにしていました。

 

斉藤 体の表面に温泉の成分がついていれば、そのまま体に浸透されていくので、流さないほうが効果的です。ただ、酸性泉や硫黄泉など刺激の強い温泉や皮膚がピリピリする場合は、適宜流してくださいね。

 

「おふろから文化を発信する」温泉道場の試み

ーーこういったうんちくや知識のもと、温泉道場では様々な温浴施設の再開発を行っていますよね。

 

斉藤 はい。当社の代表は前職でレジャー施設、温浴施設などのコンサルティングを行っていました。そのうちに玉川温泉(埼玉県)、白寿の湯(埼玉県)の運営そのものを手がけるようになり、これをきっかけに各地の温浴施設を再生・運営する事業を始めることになりました。

 

ーー「大衆演劇の劇場×温泉」「フィンランド式サウナ×おふろ」「グランピング×おふろ」など、斬新なものが多い印象です。

 

斉藤 「おふろから文化を発信する」をテーマに、従来の温浴施設という業態のあり方を変えようと努力しています。これまでのスーパー銭湯は、スパッと入ってご飯を食べて帰るような使われ方が多く、滞在時間が限られていました。しかし、1日ゆったり過ごしていただけるように、「文化」と「温泉」の2つを楽しめるような施設の展開を行っています。各施設でターゲット層は違いますが、うんちくでもお話しさせていただいたような、温泉やおふろの入り方の正しい認識を持ちながら、新しい温浴施設のあり方を幅広く提案していきたいと思っています。

↑温泉道場のグループが運営する「四日市温泉 おふろcafe 湯守座」(三重県)。大衆演劇の劇場を併設した施設です

 

↑温泉道場運営の「おふろcafe utatane」(埼玉県)。フィンランド式のサウナ文化を伝える施設。露天風呂は同社運営の「白寿の湯」(埼玉県)からの運び湯とのこと

 

↑温泉道場運営の「おふろcafe bivouac」(埼玉県)。グランピングをコンセプトにした遊べる温浴施設(温泉はありません)。施設内にボルダリングウォールやキッズスペースがあります

 

↑温泉道場運営の「O Park OGOSE」(埼玉県)。宿泊、BBQ、温浴施設の複合リゾート(温泉はありません)。東京からヘリで直行できる宿泊プランや一棟貸しのサウナスイートキャビンが話題という事

 

週に4~5日は温泉に入る筆者ですが、今回の6つのうんちくはいずれも知らないものばかりで目から鱗が落ちました。また、温泉道場が展開する斬新な温泉の写真を見て、ぜひ利用してみたいとも思いました。まだまだ寒さが続くこの季節、感染防止対策を万全に、そして、今回のうんちくをしっかり頭に入れて、温泉でゆっくりリフレッシュされてみてはいかがでしょうか。

 

 

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