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2021/2/27 18:30

「確定申告」すべきサラリーマンとは? 税理士が解説する手続きの手順と税制改正ポイント

2020年度分の確定申告の変更点は?

税制改正により、2020年から確定申告にいくつかの変更点がありました。

 

「まず、2019年分は10万円、65万円の2段階だった青色申告特別控除額が2020年分から10万円・55万円・65万円の3段階に変更されます。しかし、65万円の特別控除を受けるには、e-Taxによる電子申告もしくは電子帳簿保存のいずれかを行うことが条件となっていますので、注意が必要です。

また、基礎控除が10万円引き上げとなりました。これまでは所得に関わらず一律38万円だったのに対し、所得制限が加わり、最大48万円に。合計所得が2400万円超の方は控除額が減りますが、それ以外の方は、基礎控除の金額が増えることになります。

基礎控除の引き上げに伴い、すべてのサラリーマンが受けられる給与所得控除も改正されました。給与所得控除は、2020年分から一律10万円分引き下げになりましたが、基礎控除が引き上げられるため、多くの場合、納める所得税の金額は同じになります。

さらに配偶者控除の所得要件が緩和されました。配偶者控除を受けるには、以前は配偶者の年間合計所得が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)でしたが、2020年分以降は48万円以下になります」

 

扶養内、つまり配偶者控除内で働くことにより、手取り収入を増やすことができる「103万の壁」についても変更になるということでしょうか?

 

「下の式をご覧になるとわかりやすいですが、基礎控除が38万円から48万円にプラスになった分、給与所得控除が10万円引き下げられているため、±0となり、配偶者本人に所得税がかからないボーダーラインが年103万円以下ということに変わりはありません」

 

改正前:「給与所得控除65万」+「基礎控除38万」=103万
新:「給与所得控除55万」+「基礎控除48万」=103万

 

確定申告をスムーズに行うには?

毎年2月・3月は確定申告に追われ、憂鬱な時期だと感じている個人事業主は少なくないようです。そこで、多くの個人事業主をクライアントに持つ吉村さんに、慌てずラクに確定申告を進めるためのアドバイスをお聞きしました。

 

「そもそも何から手をつければいいか、わからないと混乱してしまうお気持ちはわかります。でも、毎年決まった手続きではあるので、一度しっかりと流れをおさえて、そのとおりやっていけば、意外とすんなり終わることも多いです。以下の手順で進めていただくのがスムーズです。あわせて、確定申告のポイントもチェックしてくださいね」

 

確定申告の手順

1. 確定申告書類を用意する(税務署からの手引きなど)

2.【決算書作成】

3. 経費になる領収書やレシートを集める

4. 請求書や明細書を用意して、帳簿を作成(会計ソフト入力→決算書確定)

5 .【確定申告書作成】

6. 給与がある方は、源泉徴収票を用意

7. 控除証明書等を集める(生命保険/住宅ローン 寄附金 医療費の領収書)

8. 決算書をもとに、確定申告書を作成

9. 申告内容に間違いがないか確認

10. 確定申告を期限までに提出

11. 所得税を納税(または還付)

 

確定申告をスムーズに行うポイント

①『マネーフォーワード クラウド会計』などのクラウド会計ソフトを使う。

②経費の支払いにははなるべく現金をつかわず、事業用の通帳かクレジットカードから支払う。「①でご説明した『マネーフォワードクラウド会計』は、通帳もクレジットカードに連携するとデータを自動的に会計ソフトに取り込んでくれるので、経理の時短にもなり非常におすすめです」

 

サラリーマンで年末調整していても、確定申告をする必要がある人や、確定申告した方が良い人がいることがわかりました。自分には無関係だと思っていた方でも、還付を受けられるケースがあるので、今一度チェックしてみましょう。

 

【プロフィール】

税理士 / 吉村知子

ビジネス拡大のため、開業してから法人化を目指す個人事業主や法人のための税理士として、ともにビジネスの飛躍を目指す経営のサポートを行う。また、法人や個人事業主の顧問契約だけでなく、個人事業主向けの講座を開講。確定申告をゴールとしながら、経営者として必要となるお金の知識を学ぶオンラインプログラムが大好評。
https://zei777.com/blog/

 

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