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2016/8/11 15:00

なぜ人は嘘をつくのか? 部下や子どもを嘘つきにさせない2つの方法

世の中は、嘘をつく人であふれています。ごまかすような軽い嘘から、犯罪になるような嘘まで、色々な嘘があります。自分にとって害がないなら、その嘘は見逃すことができますが、自分に被害が及ぶ嘘はなんとかしたいものです。今回は、そんな人にどう対処するかを考えてみたいと思います。

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嘘をつく心理というのは、嘘をつくことに何らかのメリットがある状態だといえます。例えば、「体調が悪いと嘘をついて仕事を休む」という場合を考えてみましょう。この時、嘘をつく本人は無意識のうちに、「正直に話すメリット」と「嘘をつくメリット」を天秤にかけているのです。その結果、「嘘をつくメリット」が大きいと判断したとき、嘘をつく行動に出ると考えます。例えば、「正直に話すと怒られる」「嘘をつくと何も言われない」「嘘をついたことがバレると余計に怒られる」といったことを無意識に考え、最後に「嘘をつくと怒られない」というメリットを選んでいるのです。この例からも分かるように、嘘は何らかの嫌な状況を回避するという大きなメリットがあります。この何を避けたいのかというのは、嘘をつく人への対応でとても重要になってきます。

 

嘘に対応するには、まずはこのメリットをなくすという方法があります。例えば、子供が宿題をやったと嘘をつく場合を考えてみましょう。多くの人は、「宿題やった?」ときいて、「宿題をやっていない」と答えられると、「ちゃんと宿題をしなさい」と怒ってしまいます。子供にとってみれば、「怒られる」という状況は回避したいですね。そこで、「宿題をやった」と嘘をつくと、「怒られる」ことが回避できるのです。これが、この場合の嘘をつくメリットになります。

 

そこで、このメリットをなくしていくことになります。一つの方法は、「宿題をやっていない」と子供が答えたら、「正直に、自分のことを言って偉いね」と褒める方法があります。自分のことを正直に話しても、嫌な状況が生じないと分かると、子供は嘘をつかなくてもいいと思えるようになります。

 

続いて大人の場合を考えてみましょう。例えば、部下が前の日に遅くまで飲んでいて二日酔いであったにも関わらず、単に体調が悪いと嘘をついている場合。この例も前と同じように、「怒られる」という状況を回避しています。そこで、同じように、「怒られる」という嫌な状況を減らしていくことを考えます。そして、今回は更に「嘘をつかない」とは全く逆の「正直に言う」という行動に対して、「褒められる」というメリットを与えることも考えてみましょう。

 

例えば、「自分が前日に遅くまで飲んでいたことや、失敗したことを隠したくなるのが人間だけど、君はそれを正直に言うとても好感が持てる人間だ」と言ってみると良いでしょう。これをみんなの前で言えば、他の人がその様子を必ずみているので、他の社員にもその効果が波及していきます。もし、このような言動のせいで、飲み会が増えたとしたら、次は上手に飲み会を切り上げて帰ったことを褒めていきましょう。

 

まとめると、嘘を減らすために大切なことは、「嘘をつくメリットは何か?」、その人の行動を分析してみることが大切です。特に、「嘘をつくことで、回避したい状況は何か?」と分析してみるのです。そうすると、多くの場合は「怒られる」という状況が見えてきます。その上で、「嘘をつくことで回避したいであろう状況が起きないことを約束する」、「正直に話したことを褒める」という2つの方法を同時に行うことがポイントになります。

 

【著者プロフィール】

矢野宏之

臨床心理士 ■専門とする病気・問題 ・強迫症 ・強迫症関連疾患(ためこみ症、醜形恐怖症、抜毛症、皮膚むしり症) ・PTSD ・解離症(解離性同一症) ・自閉スペクトラム症 ・ADHD ・うつ病 ■専門とする治療法 ・認知行動療法 ・応用行動分析 ・EMDR

心理療法あれこれ:http://behavior.wpblog.jp/