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2016/8/19 13:00

一人勝ち状態のオフィスグリコーー「置き○○」のなかで菓子ばかりが愛されるのはなぜ

ある新聞で、オフィスに菓子を常備する「置き菓子」に関する記事を目にしました。江崎グリコが運営する「オフィスグリコ」の設置件数が13万件に達し一人勝ちを続けているのだそうです。

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私が知る限りでも、以前は参入企業が多く、お菓子メーカーやコンビニ、通販会社などが、お菓子だけでなく様々な商品で「置き○○」ビジネスを展開していました。飲料やアイス専門、またワインセラーを置いて飲みニケーションに使うといったものもあり、最近目にするものでは、とれたて野菜やフルーツ、弁当や惣菜、化粧品といったものがあります。

 

ただ、それぞれ配送体制や商品ラインナップの難しさ、設置先開拓の苦戦などから、撤退もしくは事業縮小する企業が多く、継続している企業でも設置はそれぞれ数千件規模にとどまっているそうで、オフィスグリコの強さが際立っています。

 

■強さが際立つオフィスグリコ、発想の原点とは

このオフィスグリコは、平成11年から開始されていますが、そもそもは小売菓子市場の頭打ち、漸減傾向から、メーカーとして新たな販路を考えるところから始まっています。「お菓子をどういうところで食べているか」という調査結果で、家庭が約7割、オフィスが約2割、次がアウトドアとなっていたことから、家庭に次ぐ位置のオフィスでどう売っていくかを考える中で、今のスタイルが考え出されたのだそうです。

 

私は当初、「富山の置き薬」などと同じ発想だと思っていましたが、実はそうではないらしく、「野菜の無料販売所」が発想の原点だそうです。料金箱がカエルの貯金箱風になっているのも、代金をきちんと入れる雰囲気づくりの意味があるそうです。

 

ちなみに、例えばこれと同じことを自販機でやったとすると、商品入れ替えが頻繁にできないため、すぐに売れ行きが止まってしまうそう。また会社側も自分たちが直接お金を扱うのは嫌がる傾向があり、商品の入れ替えだけなら納品作業と同じという考え方ができるため、非常時の備蓄なども念頭に置いた結果、今のスタイルになっているようです。当初はかなり苦戦したようですが、ニーズを探る地道な取り組みによって、今の地位があるということです。

 

■男性ユーザーが圧倒的に多い理由

私の顧客先の会社でも、これを導入しているところがあり、最近のオフィス環境を考える上でその様子は興味深く見ていますが、そこで面白いと思ったことがいくつかあります。

 

例えば、利用者の男女比では、男性の利用が圧倒的に多いということです。運営会社によると、男性の利用が7割だということですが、どうも男性はわざわざ買いにはいかないが、あれば食べるという人が多く、これに対して女性の方は、食べたいものがはっきりとあって、そのために買いに行くということがあるようで、こんな違いもあって男性の利用が多いようです。

 

また、ある調査で就業中におやつを食べる頻度を尋ねたところ、「毎日」が36%、「週に4回」が13%、「週に3回」が18%と、7割近い人が週3日以上、3人に1人は毎日会社でおやつを食べているのだそうです。私自身はあまりお菓子を食べないので、みんなずいぶんよく食べるのだという印象があります。

 

そのせいもあるのか、「みんなでおやつタイムを決めて当番制で取りに行く」「上司が部下へのねぎらいに買っておごる」「設置場所に人が集まることで会話のきっかけになる」「会議中や残業中のリフレッシュに食べる」など、ちょっとしたコミュニケーションや人間関係づくりのツールとして使われています。

 

■業務の効率アップに一定の役割

こんな様子を見ていると、置き菓子というのは数ある「置き○○」の中でも、その商品の特性と販売方法がオフィスにマッチしたということが、成功した要素としては大きかったように思います。働く環境というのは、成果主義の導入、IT化の進展などで徐々に変化してきました。

 

その途中では、オフィスの禁煙・分煙化の波があり、当初はその流れで喫煙スペースなどが作られましたが、その後は喫煙者かどうかにかかわらず、みんなが利用できるリフレッシュスペースが整備され、そこではコーヒーやお茶を飲んだり、お菓子を食べたりするなど、ストレス軽減のための空間になっています。

 

また、ただ場所を提供するだけでなく、飲料の自販機を初めとした商品が置かれることも多く、その一環で置き菓子を導入する企業は増えているように思います。

 

仕事の効率アップのためにはメリハリが大切で、そのための環境整備は企業にとっても重要な課題です。置き菓子を初めとしたオフィスの「置き○○」が、その中で一定の役割を持っていることは、間違いないのだろうと思います。

 

【著者プロフィール】

ユニティ・サポート小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、新卒中途の採用活動、組織作りのための人事施策、各種研修などで企業を支援しています。自律、自発、自責をキーワードに、モチベーションやコミュニケーションといった切り口で、現場の実情に即したサービスを提供しています。 特にIT関連業界では、SE経験、企業での人事業務実務、人事企画、各種コンサルティングなど、通算で20年以上の経験があります。

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