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2016/9/25 12:00

その認識間違ってない? 医師が教える「かかりつけ医」の見つけ方

突然ですが、あなたは「かかりつけ医」を持っていますか? 注意しなくてはいけないのは、「病気になったら○○病院に行こうと思っている」というのは、「かかりつけ医を持っている」とは言えないということです。最近では、「病気になったら、その病名をインターネットで検索して、名医とよばれる先生を探す」という方もいらっしゃるかも知れませんが、それも当然「かかりつけ医」とは言えません。まずは、「かかりつけ医」とはどういうものか、ちょっと考えてみましょう。

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■多くの人が誤解している「かかりつけ医」の意味

「かかりつけ」というのはどういう意味でしょうか。いくつかの辞書を引くと「かかる」というのは「懸かる」とか「掛かる」といった漢字を当てることが多いようです。「懸」という字は、「懸案事項」という言葉がありますが、自分と何かのつながりがある、といった意味あいを持つそうです。また、「掛」という字は「医者に掛かる」という言葉でも使われるようですが、まさに医師に相談する、診察を受けるという意味があります。

 

一方、「つけ」という言葉は「行きつけの店」という言葉ありますが、「いつも~する」ということですから、「かかりつけ医」というのは、「いつも相談できる医師」、「いつも診てもらっている医師」ということになります。ですので、頭に浮かぶのが医療機関であったり、インターネットで検索した病院や医師であったりというのは「かかりつけ医」ではないのです。

 

私は、「病気になったり、健康に不安がでてきた場合に、まず真っ先に「○○先生に相談しなくちゃ! と思い当たる医師がかかりつけ医なのだ」と考えています。そして、その思い当たるレベルは、顔や名前はもとより、声や雰囲気、さらには具体的にその医師に相談している光景も思い浮かべられるようなものであることが、理想的だと思います。というのは、「かかりつけ医」を持つことが、私たちの病気の治療をしたり、健康を維持する上では極めて重要だと医師としても実感しているからです。

 

■かかりつけ医を持つべき3つの理由

1つめは、ふとした不安を放置せずに、早期に解決しやすいことです。がんも含めて、多くの病気は「早期発見、早期治療」が鉄則です。長引く咳や痰、繰り返す下痢や便秘、なかなか良くならない胃のむかつきやもたれ、慢性的に貧血気味……といった、どこにでも有る症状が、時と場合によっては、肺がんや大腸がん、胃がんや子宮がんといった重大な病気の初期症状であることが無いわけではありません。

 

ふとした症状が気になると、今、ほとんどの方はインターネットで調べます。それらの情報が有益な場合ももちろんありますが、基本的には一般的な情報を書いてあるだけで、自分自身の症状や経過をご存じの方が書いたわけではありません。このような情報に一喜一憂するよりは、ちょっと不安があれば、「今日、勤め帰りに寄ってみよう」、「今度の週末に診察を受けに行こう」と思える医師を持っておけば、悶々とせずにまずは一歩進めることができます。

 

2つめは、万が一大きな病気が見つかった場合にでも、その後の治療がスムーズに進みやすいことです。医師は診療所・病院を問わず、自分が診ることができる範囲を超えた、もしくは超えそうな患者さんがいらっしゃれば、きちんと検査・治療ができる病院へ紹介します。もちろん、医師はプロとして、どんな患者さんでも必要な情報をきちんとまとめてご紹介しますが、いつもよく存じ上げている患者さんであれば、より詳しく的確な情報を提供することが可能になります。

 

専門的な検査や治療が終了したあとは、また、地元の通いやすい病院や診療所に戻っていただくのが通例です。その際に「かかりつけ医」のところにいつでも戻ることができるという体制があると安心です。

 

3つめは、医師があなたのわずかな変化に気がつきやすいことです。とくに、糖尿病や高血圧などの生活習慣病で定期的に通われている場合などは、血液検査のデータやレントゲン写真などの検査結果が経時的に保存されています。いつもより、ちょっと肝機能が高い、とか、少しずつだが貧血が進んでいるといった変化を早めに見つけることが可能になります。また、「あれ、痩せました?」、「今日は、ちょっとしんどそう?」といった検査ではわからないような外見上の変化や雰囲気の違いなどを関知することがきっかけで、詳しい検査をしたら思わぬ病気があったということもあります。「黙って座ればぴたりとあたる」というのは、簡単なことではありませんが「かかりつけ医」であればあり得ることだと思います。

 

では、どう見つければ良いのか。それは、自分の生活圏にあって、自分がなんとなく相談しやすい先生が一番です。まずは、内科を標榜されている先生で良いと思います。どんなに良い先生でも遠くにあっては行きづらいですし、どんなに近くにあっても先生とウマが合う感じがなければ、ちょっとしたことも相談できません。でも、ほとんどの場合には、今診察を受けている先生、今まで何度か診てもらったことがある先生が一番です。医師の反応は患者さんの表情や言葉によっても変わります。是非、「この先生!」と思った先生がいらっしゃれば信頼し、何でも隠さずに相談してみてください。きっとあなたの「かかりつけ医」になってくださると思いますよ!

 

【著者プロフィール】

狭間研至

昭和44年大阪生まれ。ファルメディコ株式会社 代表取締役社長・一般社団法人 日本在宅薬学会理事長・医療法人嘉健会 思温病院院長・熊本大学薬学部・熊本大学大学院薬学教育部 臨床教授。平成7年大阪大学医学部卒業後、国公立病院で外科・呼吸器外科診療に従事。その後、大阪大学大学院医学系研究科臓器制御外科にて異種移植をテーマとした研究および臨床業務に携わったのち実家の薬局運営を行う。現在は、病院の院長として地域医療の現場で医師として診療も行うとともに、薬剤師生涯教育や薬学教育にも携わっている。著書『薬局マネジメント3.0』(評言社)、『薬局が変われば地域医療が変わる』(じほう)、『がんにならないのはどっち?』(リンダパブリッシャーズ)。

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