ライフスタイル
2016/12/10 19:00

誰得なの? “写真を投稿するだけ”のSNSキャンペーンが盛り上がるワケ

InstagramやTwitterを中心とした“写真を投稿するだけ”のSNSキャンペーンに参加したことはありますか?これまでSNSはキャンペーン利用にあまり向かないというのが定説でしたが、写真の撮影・加工・共有できるInstagramの普及により、その関係性がじわじわと変化しているようです。

画像出典:「みんなのポッキーフェス!2016」より
画像出典:「みんなのポッキーフェス!2016」より

 

■10万枚以上の写真が集まった事例も

11月末まで行われていた特定非営利活動法人「TABLE FOR TWO International(以下TFT)」の「おにぎりアクション2016」。これは10月16日の世界食糧デーから1ヶ月半にわたり、TFTが毎年実施している「100万人のいただきます!」キャンペーンの一環として、アフリカやアジアの子どもたちに温かい給食をプレゼントしようという“ソーシャルアクション”です。

 

参加方法は至って簡単。協賛企業の対象商品を購入する方法もあるのですが、さらに手軽なのは、おにぎり(手作りでもOK)が写った写真をInstagram・Facebook・Twitterで「#OnigiriAction」のハッシュタグを付けて投稿するだけというもの。1件の投稿につき、アジアやアフリカの子どもたちの給食5食分に相当する100円が協賛企業や支援者から寄付されるしくみとなっています。また、「お~いお茶」と一緒なら、伊藤園からさらに5食分が追加で寄付されるため、おにぎりと「お~いお茶」を一緒に撮影した写真がたくさん投稿されていることがわかります。

 

こうして投稿された写真は、トータル108,815枚! これにより、およそ4,000人の子どもたちに1年間分の給食を届けることができるそうです。

 

■グリコは「ポッキーの日」にフォトキャンペーンを実施

「TFTのようなNPO法人がやってるから参加しやすいんでしょう?」と思う方もいるかもしれませんが、それだけの理由ではありません。 現に、多くの企業が写真を使ったSNSキャンペーンを実施し、盛り上がりを見せています。

 

例えば、江崎グリコが11月11日の「ポッキー&プリッツの日」を盛り上げるべく行った「ポッキーフォトキャンペーン」。Twitterで公式アカウントをフォローした上で「#ポッキーフォト」のハッシュタグを付けて写真を投稿すると、1名にポッキー1111箱、111名にポッキー1箱が当たるというものです。写真にポッキーやプリッツが写っていなくても応募が可能ということでしたが、キャンペーンサイトを見てみると、ほとんどの写真にポッキーやプリッツが写っており、たくさんの人が楽しんでいる様子が伝わってきます。

 

他にも、デロンギ・ジャパンでは「ポップアップトースター」「欲しいアイコナシリーズ名」「カラー」のハッシュタグを付けて、おいしそうなトーストの写真をInstagramに投稿した人の中から、ポップアップトースターと電気ケトルのセットが10名に当たるキャンペーンを実施。必要なハッシュタグが3つという、少しのハードルの高さがありながらも、11月14日から2週間あまりの間で、すでに2081件もの投稿が寄せられています。

 

■なぜ盛り上がる? スマートフォンとInstagramの最強タッグ

“写真を投稿するだけ”のSNSキャンペーンがなぜこれほど盛り上がる理由について、考えてみました。

 

【企業側のメリット】

1. SNSにはたくさんの人がいて、人から人へと伝播する

SNSが普及する以前は、企業が独自で作ったキャンペーンサイトに来てもらうしか方法がありませんでしたので、キャンペーンを実施するたびに参加者を募るために多くのコストがかかっていました。しかし、SNSにはたくさんの人がいます。すでに多数のフォロワーを抱えている人気ブランドであればなおのこと、人から人への伝播が期待できるでしょう。

 

2. フォロワーを増やし、長期的な関係を生み出せる

通常、キャンペーンの応募要件には企業の公式アカウントのフォローが求められます。それは当選した場合にダイレクトメッセージで連絡先を聞くためでもありますが、キャンペーンをきっかけにフォローしてもらうことで、キャンペーンが終わってからも消費者にメッセージを届けられるというメリットもあります。

 

3. 宣伝色を薄めて商品をPRできる

キャンペーンサイトをよく見てみると、たいてい「投稿データはキャンペーンサイトで紹介させていただく場合があります」といった注意書きがあるはず。これにより、企業は消費者が撮影した写真を使って、キャンペーンの盛り上がりを演出できるようになるのです。企業が自らアピールばかりしていると、広告のように見られて敬遠されがちですが、消費者が投稿してくれることで説得力が増し、宣伝色を薄めて商品をPRすることができます。

 

【消費者側のメリット】

1.申し込みが楽で、心理的なハードルが低い

かつて企業のキャンペーンに参加しようとすると、ハガキを送ったり、Webサイトの応募フォームに名前や住所など多くの個人情報を入力したりしなければならず、「こんなに面倒なら、やめよう」と参加を諦めた人も多いのではないでしょうか。その点、SNSならフォローするだけでOK。キャンペーンに参加する心理的なハードルが格段に低くなっています。

 

2.フォロワーが増えるきっかけになるかも、という期待

キャンペーン用のハッシュタグにより、投稿した人は1タップするだけで同じキャンペーンに参加している人の写真を見ることができます。そこから同じ趣味の人とつながりを見つけたり、逆にハッシュタグを通じて見つけてくれた誰かが、「いいね」やコメントを残してフォローしてくれるかもしれません。さらに、多くのフォロワーを持つ企業の公式アカウントにリポストされれば、いつもより多くの露出が期待でき、承認欲求が満たされることでしょう。

 

3.日々の生活に小さなイベントが生まれる

先に紹介したTFTやデロンギのように、写真投稿キャンペーンは、主催者によってお題が出されていることが通例です。そのため、写真を撮るのが好きな人にとっては、「お題に合わせてどんな写真を撮ろうか」とシチュエーションや演出方法を考えること自体が楽しくもあり、思い通りの写真が撮れると小さな達成感を覚えることができるため、何気ない日常生活に彩りが生まれるのです。

 

このように、企業にとっても消費者にとっても嬉しいことがあるからこそ、盛り上がりを見せている“写真を投稿するだけ”のキャンペーン。その背景には、スマートフォンとInstagramの最強タッグによって、「いつでも写真を撮影すること」と、「写真をインターネット上に公開すること」の2つが当たり前になるという変化が大きかったのではないでしょうか。

 

【著者プロフィール】

野本 纏花

All About「インターネットサービス」ガイド。IT企業にてマーケティング業務に従事しながら、2010年8月よりライター業を開始。2011年1月にMarketing & Writing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。 マーケターとして培った顧客目線やバランス感覚を武器として、オンラインメディアを中心に多数の記事を執筆する。