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「遺品整理サービス」に活路! 遺品整理品のリユースビジネスを開拓する「リリーフ」インタビュー

2022/6/17

 

環境的な負荷とコストを下げるために遺品を輸出

――遺品の海外輸出を始められたきっかけを教えてください。

 

赤澤 ご遺族はすでに別の所帯を持たれているので、遺品は大部分を処分することになります。しかし、家のものを丸ごと処分するには物が多く、環境的な負荷もかかりますし、処分するためのコストもかかるのが課題でした。

 

どうすれば再利用できるのかを考えていたときに、知人から海外でのリユース事業について教えてもらったんです。実際に海外視察をして2011年に事業を明文化し、2014年には本格的に海外輸出をスタートしました。

 

――海外輸出事業の内容を具体的にお聞かせください。

 

赤澤 現在はフィリピン、タイ、カンボジアといった東南アジアをメインに輸出しています。仏教徒だからか、価値観が近いので受け入れられているのだと思います。また、日本から近いので輸送コストを押さえられるのも強みです。弊社は輸出までを自社で請け負っており、現地のリサイクルショップなどの雑貨店に卸させていただいています。10トン弱積めるコンテナを月に10〜15本送るので、年間にすると1200〜1500トンを輸出している計算です。

 

衣類や紙は国内でリサイクルに回すのですが、それ以外の家具や食器、文房具などあらゆるものを輸出しています。日本のものはクオリティが高いので、いずれの国でもよろこばれているようです。とくにキッチン用品やおもちゃ、工具などは需要が高いですね。

 

現地での販売の様子(提供:リリーフ)

 

数多くの食器類を輸出している(提供:リリーフ)

 

人形などのおもちゃもニーズが高い(提供:リリーフ)

 

――ほかにもこうした海外輸出事業を展開されている企業はあるのでしょうか?

 

赤澤 あるにはあるのですが、貿易会社と組んでやっているところが多いようです。弊社が自社だけでやっているのは、この事業を伸ばすことが「社会貢献」になるという意識があるからです。自社でやるとコントロールはしやすいぶん、リスクも大きくなるのですが、そこにあえて挑戦しています。

 

海外輸出事業を始めたことで、ゴミを処分するだけの会社ではないというイメージがついたのは良かったと思っていますね。思い出のあるものをリユースしてもらえるならと手放す方が思いのほか多いんです。家族が大切にしていたものが「捨てられるのではない」というのがわかるとよろこんでいただけます。
(次ページへ続く)

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