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2018/11/2 19:00

デジタル時代の今なぜ!? 「アナログ親子交換日記」がクラウドで大人気

ここ数年、日本やイギリスでアナログ回帰が起きています。特にデジタルネイティブと呼ばれる10〜20代の若い人たちの間で、レコードやカセットテープ、フィルムカメラ、手書きの手紙など、電子機器でないものを好む傾向があると様々なメディアで報じられてきましたが、このトレンドはクラウドファンディングでも見られます。

 

現在、Kickstarterで人気を集めているアイテムの一つが、親子でできる交換日記「Loom Journals」。7000ドルの目標額のところ、終了日30日前ですでに4万2000ドル(470万円以上)を突破。子どもと親が日記のやりとりをするシンプルすぎるシステムなのに、不思議なことに多くの共感を呼んでいるのです。

 

親子交換日記の使い方

この交換日記プロジェクトはアメリカの3人の母親が立ち上げたもので、子どもともっと心を開いたコミュニケーションを取りたいと考えている親に向けて開発されました。日記帳のなかには、日々の出来事を書き込むページ、相手や自分を肯定するときに書き込むページ、文字や絵などを自由に書くページなど、様々なコンテンツがあります。感じたことや思いなどを親子で一緒に書いてもいいし、別々に書いてもOK。対象とする子どもの年齢は5~18歳と幅広く、親子以外にも祖父母と孫が使うこともできます。さらに、交換日記というと女の子向けのものが主流でしたが、男の子や父親も使いやすいようにユニセックスでシンプルなデザインが採用されています。

 

アナログだからできる親子のコミュニケーション

この交換日記が多くの支援を集めている最大の理由は、デジタルなやり方ではないという点でしょう。親世代はもちろん、子どももスマホを持ち、学校の授業でもPCやタブレットを駆使する現代では、手書きでメモをとったり日記を書いたりする習慣が薄れてきています。また、インターネットの世界ではプライバシーも心配の種。自分のデータが知らないうちに悪用されるリスクもあります。だからこそ、そのような危険性がない安全な紙の価値や手書きの大切さが見直されていると考えられます。

 

スマホやPCで書く文章とは違って、文字には人の気持ちや愛情が表れるもの。子どもにとっては、絵や文章で自分の思いを記録するということは、表現力を育てることにもつながるでしょう。思春期を迎えた子どもなら、直接親に話しにくいことがあっても、日記を使えば伝えることができるかもしれません。このような点も本製品の大きな特徴です。

 

家族の絆が強くなることも見逃せないポイント。この交換日記を手にしたユーザーからは「親子が深い絆で結ばれるし、お互いを励ましあえる」、「子どもが日記に絵や文章を書くことを気に入って、いままで以上に親子関係が深まった」などと、ポジティブな感想が寄せられています。

忙しい毎日のなかでも、日記をきかっけに親子が互いに向き合うことができることも大きな共感を生んでいる要因でしょう。そして、親子で思いをつづった日記は何物にもかえられない宝物になることは間違いありません。デジタル全盛期のいまだからこそ欲しくなるタイムレスな日記です。