文房具
2018/11/11 19:00

ニッチだけどあると助かる! 得体の知れない消しゴムの仲間2選

【きだてたく文房具レビュー】ニッチな機能を備えた“消しゴム”

そもそも消しゴムとは、なにか。……そんなこと今さら質問されても、的な話だとは思うが、まぁ普通に答えれば「鉛筆で書いた字や絵を消すための道具」というところだろう。もうちょっと文房具に詳しくて、かつ面倒くさいタイプの人なら「鉛筆芯の主成分である黒鉛が付着している部分を擦ることで、黒鉛を粘着させて剥ぎ取り、包み込んで消しカスとして排出する道具」くらいは答えるかもしれない。

 

……ところが、それだけでは実は、正解とは言えない。消しゴムなんだから、消すためのゴム(合成ゴム・樹脂系含む)なんだけど、そこに「鉛筆で書いたものを消す」という限定的な用途は記されていないじゃないか。何を消そうが「消す」「ゴム」であれば広義に消しゴムなのであって、誰にも文句を言われる筋合いはないのである。

 

ということで前置きが長くなってしまったが、今回は鉛筆の筆記跡以外の物を消すことができる消しゴムを紹介したい。

 

はんこの汚れを消す、ゴム

まずは、消しゴムの国内トップメーカーSEED(シード)の“オフィスおもいの消しゴム”シリーズ「はんこ汚れ取り」「ゴム印汚れ取り」。その名の通り、印鑑やゴム印の印面に付着した朱肉カスやインク汚れを剥ぎ取って消す専用ゴムだ。

↑SEED「はんこ汚れ取り」「ゴム印汚れ取り」各410円

 

いま手元に印鑑があれば、じっくり見て欲しい。どうだ、「うへぇ」って思わなかっただろうか? 印面の隙間に、朱肉カスやらインクの固まったもの、さらにそれらと細かい埃が混じったものが、こってりと残っていたんじゃないだろうか?

 

そういうのを全く気にしてない人も、世の中にはかなりいるのだが、でも、はんこの印面というのは、かなり汚れているのだ。印鑑やゴム印を使うたびに印面をティッシュで拭うぐらいはしているかもしれないが、それでも隙間に入り込んだ汚れは、取りきれるものじゃない。

↑印面の隙間に詰まった朱肉カス。年に一回はクリーニングしてるのでマシなほうだと思うが、それでも汚い

 

そこで使うべきなのが、専用のクリーナーとしての消しゴムなのである。

 

使い方は簡単。この汚れ取りは練り消しタイプなので、まずは軽く手でこねて柔らかくしてから、印面に押しつける。あまりグイグイと押し込むと印面の隙間にゴムが入り込んで残ってしまうこともあるので、ちょっと様子を見ながら、何度もギュッと押しつけていくのがポイント。

↑汚れ取りを何度か練って、柔らかくなったところに印鑑を押し込む

 

あとはそっと印面から汚れ取りを離すと、汚れがベタッとゴム側に移っている、という寸法だ。

 

とはいえ、一回では固まった汚れが取りきれないこともあるので、汚れ取りの汚れが付着した面を内側に練り込んで、もう一度二度と同じように繰り返してみよう。

↑写真右がクリーニング後。スッキリー!

 

するとこの通り。最初から比べるとかなりスッキリ。印面の隙間の奥まできれいに見通せるようになったはず。これだけ詰まっていた汚れが取れると、かなり爽快である。

 

眠気を消す、ゴム

朱肉カスなどの汚れを取るのは、まだ物理的な“消すためのゴム”として理解できる。しかし、目に見える汚れではなく、なんと人間の本能に即した“眠気”を消してしまおうというのが、ビバリー「ねむ消し」なのだ。

↑ビバリー「ねむ消し」348円

 

鉛筆で字を書くシチュエーションの最たるものは、勉強である。そして勉強というのは根本的に、眠気との戦いでもある。

 

ならば、字を消せる消しゴムで眠気まで消せたら最高じゃん? という話ではないか。ねむ消しは、やや硬めながら一般的なプラ消しゴムと同じPVC(ポリ塩化ビニル)製の塊なので、こすれば鉛筆の字だってちゃんと消せる。

 

しかし、それだけではこんな変な形をしている意味はない。このくさび状の形を使って、眠気をスッキリさせるツボ押しができるのだ。

↑消しゴムとして使う場合は、後端(太い方)から使うこと。理由は後ほど説明する

 

勉強中にふわぁ~っと睡魔が襲ってきたら、まずねむ消しの尖った先端を親指と人差し指の付け根部分、骨が交わっている辺りにグッと押しつける。気持ちいいと感じるぐらいの強さで、やや強めに押す。

 

ここは“合谷(ごうこく)”と呼ばれる、ストレスで乱れた自律神経を整えるツボ。刺激することで眠気もすっきりするし、あとはテスト中などに緊張をほぐして平常心に戻す効果も期待できる。

 

もうひとつ、中指の爪の生え際よりやや下、人差し指側には“中衝(ちゅうしょう)”というツボもある。ここもグリグリと押すと眠気を消す即効性があると言われている。

↑赤くマークしたあたりが“合谷”。ぼんやりした気分がスッと軽くなる

 

↑“中衝”は中指の爪の下。痛くないギリギリぐらいの力加減でどうぞ

 

プラや木製のツボ押しだと硬すぎて、手など繊細な部分には刺激が強すぎることもある。やや硬めの消しゴムというのは、なかなかに具合が良いのだ。

 

さらに、ねむ消しの先端にはザラザラとした梨地加工が施されており、押し当てた時に滑らず肌当たりも良い。これまでにもいろんな消しゴムを見てきたが、肌当たりを考慮した消しゴムというのは、初めてである。

↑先端は細かい梨地加工となっている。ここで消すとせっかくの凹凸が無くなってしまうので、文字を消すのには使わない方がいい

 

全体に刻まれたタテのギザギザは、握ったり、両手のひらでこすり合わせることで刺激が得られ、こちらも眠気を解消したり気分をリフレッシュさせる効果がある。これもかなり気持ちが良い。

 

手の血行も良くなるので、冬場に手が冷えて鉛筆が握りにくかったり、緊張して冷や汗をかいている時なんかにも効きそうだ。

↑ギザギザの感触が気持ちいい。個人的にはこれのリフレッシュ効果が高いと思う

 

さらに徹底しているのが、ねむ消し自体にはさわやかなミントの香りが練り込まれていること。会議中など人前で露骨にツボ押しとかやりにくい場合には、こっそり嗅ぐだけでも多少は気分をスッキリさせることができそうだ。

 

鉛筆やシャープペンシルなどを常用していない人でも、いざという時に役立つコンパクトなツボ押し器として、筆箱に放り込んでおいてはどうだろうか。