文房具
2019/8/20 19:30

一早くチェック!文房具の見本市「文紙メッセ 2019」でアツかった新商品

毎年8月にマイドームおおさか(大阪・中央区)で開催される文房具の展示会「文紙メッセ」が、いま非常にアツい。近年、大きな文房具展示会が全体的にシュリンク傾向なのに対して、やたらと元気なのだ。

 

なにせ主催が大阪と中部の文具工業連盟、紙製品工業会というメーカーの集まりということもあって、関西の文房具メーカー各社(意外と多いぞ、関西本社の文房具メーカー)がとにかく文紙メッセに向けて力を入れてきている。この文紙メッセをもって情報解禁! となる新製品も数多くあるため、東京在住の筆者としても、とにかく見逃したくないイベントなのである。

【関連記事】大阪の文具ファンが熱狂!「文紙メッセ」がこんなに濃密なイベントだなんて
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ということで今回は、在阪文房具メーカーのブースで見つけた注目の新製品をがっつり紹介していこう。

 

1.ハイクオリティボールペンシリーズの最新版

最初にチェックしたいのは、サクラクレパス。文紙メッセ前日にプレスリリースが出たばかりの、ホヤホヤな新製品として初お披露目されていたのが「SAKURA craft_lab 004」だ。

↑サクラ「SAKURA craft_lab 004」各8000+税(9月下旬発売予定)
↑サクラ「SAKURA craft_lab 004」各8000+税(9月下旬発売予定)

 

SAKURA craft_labといえば、この連載でも過去に紹介した、大人向けのハイクオリティなボールペンシリーズ。その最新版の004は、初代001の雰囲気を活かしつつ、黒赤2色ボールペンとシャープペンシルの2+1多機能化を果たしている。

 

特にクリップや天冠のローレット加工はかなり001っぽく、あの雰囲気で多機能ペンが欲しい、という需要にズバッとハマる感じだ。

↑新製品004(左)と001(右)。並べてみるとやはり、全体的な雰囲気は近い
↑新製品004(左)と001(右)。並べてみるとやはり、全体的な雰囲気は近い

 

↑見た目からリアヘビーさを懸念していたが、バランスは良好
↑見た目からリアヘビーさを懸念していたが、バランスは良好

 

さらに、インクは通常の赤・黒に加え、オプションで「ブルーブラック」「クリムゾンレッド」の渋色が用意されているのも嬉しい。

 

craft_lab 001は「グリーンブラック」や「ボルドーブラック」といった渋いカラーブラックのインクが特徴でもあったので、そういった部分も001を踏襲している印象だ。できればさらに追加オプションで001のカラーブラックリフィルを揃えてくれると、001好きにはたまらないんだけれど。

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↑もうひとつ注目の多色ペン「LADEAR」各1500円+税(来年1月発売予定)
↑もうひとつ注目の多色ペン「LADEAR」各1500円+税(来年1月発売予定)

 

サクラからはもうひとつ、来年1月発売とかなり先になるが、女性向け多色ペンの「LADEAR」(レディア)も登場。こちらも気になった。

 

シンメトリカル&おしゃれカラーなボディに3色のインクリフィルを搭載しているのだが、この3色のチョイスが絶妙なのだ。

↑普通の3色インクを想定して書き出すと、あれっ? と思うセレクト
↑普通の3色インクを想定して書き出すと、あれっ? と思うセレクト

 

従来の3色ペンと言えば黒・赤・青が基本なのだが、「LADEAR」はそこをひねって「セピアブラック」「コーラルレッド」「サニーブルー」という、かなりレアな配色。

 

しかもその3色が全部やたらといい色で、見た瞬間に「うわー、これで書いてみたい」という気分にさせられるのである。特にサニーブルーの爽やかさは、手帳などによく使われているクリーム紙にも非常にマッチして、気持ちいい。

↑白ベース・手帳に多いクリームベースに、それぞれ色を乗せた比較。特にセピアブラックとサニーブルーは手帳映えする雰囲気
↑白ベース・手帳に多いクリームベースに、それぞれ色を乗せた比較。特にセピアブラックとサニーブルーは手帳映えする雰囲気

 

人とはちょっと違う色で、かつベーシックな3色というこのチョイスは本当にお見事。craft_lab 001以降、サクラのインク色のセンスの良さはちょっと目が離せない感じなので、来年一発目の注目文房具として、今からチェックしておいたほうがいいと思う。

 

2.超クリアで良く消える透明消しゴム

消しゴムメーカーSEEDの注目アイテムは、透明消しゴムの「クリアレーダー」。青いスリーブでお馴染み、レーダー消しゴムの透明バージョンである。半透明ブルーのスリーブに透明の消しゴムは、一瞬「レーダー消しゴムの幽霊?」と思うほど、はかなげで美しい。

↑SEED「クリアレーダー」小サイズ100円+税/大サイズ150円+税(9月発売予定)
↑SEED「クリアレーダー」小サイズ100円+税/大サイズ150円+税(9月発売予定)

 

↑消しゴム越しに、後ろの文字が透けて見えるほどの透明感!
↑消しゴム越しに、後ろの文字が透けて見えるほどの透明感!

 

透明消しゴム自体は、かなり古くからファンシー系でよくあるジャンルなのだが、基本的に“消えない”。見た目は消しゴムだが、鉛筆の筆跡をこすると黒い汚れを紙の上にうにーっと広げるだけ、という低品質なものばかりだった。

 

ところが「クリアレーダー」は普通に消える。というか、いつものレーダー消しゴムとさほど使用感が変わらない。ということは、消しゴムとしてトップクラスに良く消えるということだ。

↑消してみると、何の違和感もなくサラッと消える。昔の「透明消しゴム」とは比較にならない高消字性だ
↑消してみると、何の違和感もなくサラッと消える。昔の「透明消しゴム」とは比較にならない高消字性だ

 

この透明感と消字力を両立させるために、なんと5年近くもかかったというから驚きだ。

ただ、時間がかかりすぎてしまったため、発売時期が9月になってしまったのは非常に惜しい。涼しげなビジュアルだけに、夏にこそ使いたかった。

 

3.ストアテープがズドンと切れるテープカッター

SONICのブースで多くの人が「おおー」と声を上げていたのが、プロ用テープカッター「GRINE」(グライン)だ。

 

そもそも“テープカッターのプロ用”って何だ? と思ったら、店舗のレジで袋を閉じる用のストアテープを切るのに特化した、というものらしい。なるほど、レジの人はテープを使うプロと言えるだろう。

↑「ズドン切り」をアピールするSONIC「GRINE」1200円+税(9月発売予定)
↑「ズドン切り」をアピールするSONIC「GRINE」1200円+税(9月発売予定)

 

ストアテープというのは通常のセロハンテープと違って、切るときにカッター刃で少しテープをひねらないと上手く切れず、これまたうにーっと伸びてしまうことがある。ストアテープを使うとき、実はほとんどの人が無意識にやっているこの「テープを切るひねり動作」は不要で、真っ直ぐ刃に押し当てるだけで切れるのが、GRINE独自の「ズドン切り」というわけ。

 

↑GRINE(左)と従来カッター(右)。ひねらずに切った際の切れ味は完全に別物だ
↑GRINE(左)と従来カッター(右)。ひねらずに切った際の切れ味は完全に別物だ

 

あらためて普通のテープカッターと比べてみると、切れ味がまったく違う。真っ直ぐな切り口のフラットカットができる細かいギザ刃を、きちんと研いで仕上げてあるそうで、確かにテープをカッター刃に当てるだけで、抵抗感も少なくスッと切れてしまう。

 

ちなみにSONICによると、カット時の抵抗は同社従来比50%減とのこと。なるほど、それぐらいの差はあるだろう。

↑研磨仕上げのGRINE刃は、指を切るぐらいにはシャープなので要注意
↑研磨仕上げのGRINE刃は、指を切るぐらいにはシャープなので要注意

 

実際、刃の部分を不用意に触ると指が切れてしまうぐらいで、これはもうれっきとした刃物である。ここまで刃にこだわって作られたテープカッターは、やはりプロ用と言うにふさわしいと思う。

4.今夏~秋の新製品戦線はLIHIT LAB.がスゴい

文紙メッセではこのように多くの新製品が展示されていたが、個人的に「優勝!」と感じたのはLIHIT LAB.(リヒトラブ)だった。なにしろ新製品の数がやたらと多い上に、どれもが同社らしいアイデアと小技の効いた優れモノ揃いだったのである。

↑LIHIT LAB.「TWIST NOTE with PEN」350円+税(発売中)
↑LIHIT LAB.「TWIST NOTE with PEN」350円+税(発売中)

 

全部紹介していると本当にキリがないので、特に目に付いたものに絞って紹介すると、まずは発売されたばかりの「TWIST NOTE with PEN」。もはやお馴染みとなった“開閉自在のツイストリング機構でリーフを入れ替えできるハンドメモ”に、ペンを装着したものだ。

↑ペンは、メモ右側のストッカーに差し込んで固定する専用の構造
↑ペンは、メモ右側のストッカーに差し込んで固定する専用の構造

 

↑カチッと固定できるので、スッポ抜けて紛失するといった心配はまずなさそう
↑カチッと固定できるので、スッポ抜けて紛失するといった心配はまずなさそう

 

ポイントはもちろん、この“with PEN”の部分。これまでのペン付きメモといえば「側面にスリムなペン用のペンリングを付けました」ぐらいのものだったのに対して、TWIST NOTE with PENは、わざわざ専用ペンを開発。この専用ペン後端のスリットを、メモ側面のストッカーにカチッと差し込むようにして固定するようになっているのだ。

 

ペンリング方式だと、例えばカバンの中に入れている間にペンがスルリと抜け落ちてしまう可能性があるが、これならまず大丈夫だろう。いざというときに「ペンがない!」と慌てずに済むのはありがたい。

 

もうひとつ、地味だけどこれはイイ! と感じたのが「SMART FIT ALTNA スタンドホルダー」。

↑LIHIT LAB.「SMART FIT ALTNA スタンドホルダー」800円+税(9月発売予定)
↑LIHIT LAB.「SMART FIT ALTNA スタンドホルダー」800円+税(9月発売予定)

 

書類入りのクリアホルダーをまとめ、収納して持ち歩ける「ホルダー収納ホルダー」なのだが、表紙部分を折り返すと机の上で自立してホルダースタンドとして使えるようになっている。

↑表紙を後ろに折り返して山型に置くだけで、ピタッと自立。場所を取らない書類立てとして使える
↑表紙を後ろに折り返して山型に置くだけで、ピタッと自立。場所を取らない書類立てとして使える

 

カバンに入れて持ち歩く時は薄くコンパクトに、机で作業するときは立てて書類を取り出しやすく、と使用範囲が広いのが大きなポイントだ。

 

立てるときも特に何かする必要がなく、ただ表紙を折り返して置くだけ。表紙側面についているシリコン部がストッパーになっており、簡単に自立するのである。

↑表紙の端にあるゴムストッパー。この摩擦によって、置くだけで自立する
↑表紙の端にあるゴムストッパー。この摩擦によって、置くだけで自立する

 

これは、手帳の表紙を折り返して置くだけで自立する、同社の「卓上カレンダーにもなるダイアリー」で使われているギミックだ。すでに定評のある機構(というほどややこしいものではないが)だけに、使いやすさは折り紙付きといったところだろう。

 

↑おなじみの可愛いプニラボシリーズ。ふっくら卵形のポーチが会場で人気だった
↑おなじみの可愛いプニラボシリーズ。ふっくら卵形のポーチが会場で人気だった

 

これら以外にも、カワイイ路線の「プニラボ」シリーズや便利機能搭載文房具がかなりの量で展開されていたので、秋以降はLIHIT LAB.に注目しておいたほうが良さそうだ。