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2019/11/5 19:30

想定外の変則ギミック!地味に凄いキングジムとレイメイ藤井の高機能ペンケース

【きだてたく文房具レビュー】見た目に分かりづらい変則ギミックのペンケース

文房具に限らないが、ユーザーに新製品を手に取ってもらうために、まず必要なのは“意外性”である。

 

筆記具の書き味とか消しゴムの消字性能といったものは、使い続けてみないと良さを理解しにくい。対して、ペンケースなのに自立してペン立てになる、というのは分かりやすく意外だし、目に見えて従来の製品と違うわけだから手に取ってみたくなる。さらに、その意外性の部分が便利さに直結していたら最高だ。そうなるともう、周囲に自慢して「へぇー」と言わせたくなる、というのも道理だろう。

 

結局のところ、昨今の機能性ペンケースブームというのは、そういう形で発展してきたのではないだろうか。

 

そこで今回は、見た目はすごく普通で地味、だけど予想外の開き方や変形をして、さらに便利、という最新の機能性ペンケースを紹介しようと思う。この意外性は、思わず人に見せびらかしたくなるはずだ。

 

箱なのにロールペンケース! という意外性=「クルマーレペンケース・スクエア」

レイメイ藤井の「クルマーレペンケース・スクエア」は、見た目はまったく普通の箱型。こんなペンケース今までにいくらでもあったよなー、という地味さである。正直、ペンケース売り場に置いてあっても、新製品だとは気づかないレベル。

↑レイメイ藤井「クルマーレペンケース・スクエア」1500円(税別)
↑レイメイ藤井「クルマーレペンケース・スクエア」1500円(税別)

 

ところが、マグネットホックをプチッとはずしてフラップを開けると……あれ? どこまで開くの? と思っているうちに一枚の平らな布状になるまでフルオープンしてしまう。実はこれ、まったく新しいタイプの“箱形ロールペンケース”なのである。

 

これまでのロールペンケースといえば、複数のペンポケットがついた布をクルクル巻いて、持ち運ぶ時は筒状になるというもの。ところがこの「クルマーレペンケース・スクエア」は、布の内側に板が入っており、パタンパタンと畳んでいくと四角い箱に変形する。

↑マグネットホックを外してフラップを開いていくと……
↑マグネットホックを外してフラップを開いていくと……

 

↑展開図のようにフルオープン
↑展開図のようにフルオープン

 

果たしてこれを“ロール”と呼んでいいのか。でも振る舞いと機能は、確かに従来のロールペンケースと同じなのだ。

 

では、筒になる普通のロールペンケースと比べて、箱の「クルマーレペンケース・スクエア」は何がどう良いかというと、収納時の厚みがポイントになる。

↑上下で互い違いに配置されたペンポケットのおかげで、薄い空間に収まっている
↑上下で互い違いに配置されたペンポケットのおかげで、薄い空間に収まっている

 

そもそもロールペンケースは収納時に余分な空間をギュッと絞めて圧縮できるので、コンパクトになるのが大きなメリットのひとつ。ただ、くるくる巻いていく関係上、複数本のペンの直径が重なり合って厚みをつくってしまう。

 

対して「クルマーレペンケース・スクエア」は箱形になることで、最大でペン2本分の厚みにしかならないような構造なのである。

 

さらにペンのクリップ同士が干渉しないよう、箱になったときに上のペント下のペンがずれて配置される仕組み。結果、幅は広くなる代わりに厚みがかなり少なくできるのだ。これなら荷物でギツギツのカバンや高さのない引き出しにもスッと入れやすいのではないか。

↑収納時に中身が飛び出さないよう、上フラップでカバー
↑収納時に中身が飛び出さないよう、上フラップでカバー

 

↑従来のロールペンケースでは収納が難しかった消しゴムは、専用ポケットに
↑従来のロールペンケースでは収納が難しかった消しゴムは、専用ポケットに

 

・ペンなどが一本ずつポケットにきちんと収まることで、高価な万年筆などが輸送中に傷つく心配が少ない。
・中の見晴らしが良いので、使いたいペンも素早く見つけて取り出すことができる。

……といったロールペンケースの機能的な良さはそのままに、薄い箱形で取り扱いもしやすい。これはかなり新機軸のペンケースと言えそうだ。

 

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開け方がパカリ! という意外性=「パカリ」

もうひとつ意外性ペンケースとして面白いのが、キングジムの「パカリ」。「タテオキ」タイプ・「ヨコオキ」タイプの2種類あるが、これまたどちらも見た目は従来と変わらない地味さで、新製品っぽさはかなり薄い。

↑キングジム「パカリ」左:タテオキ(スタンダードタイプ)1750円(税別)/右:ヨコオキ(ワイドタイプ)1600円(税別)
↑キングジム「パカリ」左:タテオキ(スタンダードタイプ)1750円(税別)/右:ヨコオキ(ワイドタイプ)1600円(税別)

 

ではどこに意外性が潜んでいるのかというと、開ける瞬間にあった。

 

まずヨコオキタイプは、本体の上面を真っ二つに割ると、中心から折れるように開くのだ。磁力で固定されていたフラップから割れて開く感触は、まさに「パカリ」という感じで、ついつい用もなく何度も開閉してしまう気持ちよさだ。

↑ヨコオキタイプを開けるときは、上面中央から……
↑ヨコオキタイプを開けるときは、上面中央から……

 

↑真っ二つにパカリ。この感触はとても気持ちいい
↑真っ二つにパカリ。この感触はとても気持ちいい

 

折れた状態では左右の収納部が磁石でくっつき、安定して置けるスリムなトレーに早変わり。本体自体が薄いためトレーとしてはかなり狭い印象だが、最後に使ったもの(=前回最後にケースに戻したもの)が一番上に出てくるため、いつものレギュラーなペンをすぐに取り出す、といった使い方には最適だ。

 

また、二つに分割されたトレーということで、筆記具とその他、という使い分けにも対応する。

↑スリムすぎるトレーは使い方にややクセがあるが、慣れればわりと快適かも
↑スリムすぎるトレーは使い方にややクセがあるが、慣れればわりと快適かも

 

タテオキタイプも開ける瞬間が面白い。ジッパーを引いていくと、裏面側のフラップがパカリと自動で開くのである。これは中央にゴムベルトが仕込まれており、その張力が動力となっている。

 

この自動で開いた裏面フラップには先端に滑り止めがついており、ここを支点にして安定して自立する。

↑タテオキタイプはジッパーを開いていくと……
↑タテオキタイプはジッパーを開いていくと……

 

↑ゴムの張力でパカリと自動オープン
↑ゴムの張力でパカリと自動オープン

 

一方、表側のフラップは手動で開く必要があるが、こちらは折り返したところで本体に磁力でピタリとくっつく。この状態で使えば、ペンスタンドとして狭いスペースでも使いやすいというわけだ。

 

どうせなら表裏面ともに自動で開いてくれたら面白いのだが(張力にジッパーが負けるんだろうな)、これだけでも充分に意外性があって面白い。

↑ペンスタンド時は、先端の黒い滑り止めパーツの摩擦によって自立
↑ペンスタンド時は、先端の黒い滑り止めパーツの摩擦によって自立

 

ただ、実際に使ってみると、収納内部の仕切り板がやや高く、ペンを取り出すのにちょっと邪魔だなー、というのが気になった。特に必要なければ、仕切り板はなしで使う方が軽快かもしれない。ただし、ペンなどを入れない状態で仕切り板を外すと、ゴムの力でペンケース自体が折れ曲がってしまうので、この点は要注意だ。

 

 

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