文房具
2020/10/27 19:00

指サックに求めるのは実用性か“癒し”か!? 安定の「メクリッコ」と話題の「はにさっく」をレビュー

文房具には、かわいさも重要である。もちろん、仕事や勉強のための道具なのだから実用性が第一というのは当然なのだが、でもそれだけというのも違うだろう。聖書にも「人はパンのみにて生くるにあらず」とある。パンだけじゃなくて、たまには“カワイイ”とか“カッコイイ”を食べることで、心の栄養バランスもとれるというものだ。

 

とはいえ、大人が摂取できるかわいさとは、意外と難しい。ファンシージャンルはどうしたって、子ども向けにフォーカスして作られることが多いので、大人が堂々と「うーむ、かわいい!」と胸を張って言えるアイテムは、限られてしまうのである。いや、個人的にはどんなものでも、堂々と思うがまま「かわいい」と言っちゃっていいと思うのだが。

 

ということで今回は、老若男女を問わず「かわいい!」と言っちゃっていいポテンシャルを持った、かわいさ一点突破の最新文房具を紹介したい。

 

誰もが“かわいい”を感じられる「はにさっく」

万人がかわいいと思えるモノといえば、はにわ(埴輪)である。

 

はにわは古墳時代の祭祀品だと言う研究者もいるだろうが、筆者は「古代の萌えキャラフィギュア」なのではないかと思っている。祭祀品なら、あんなに愛らしい表情だったり、多彩な(=コレクティブな)形状だったりする必要はないだろう。絶対に、はにわ制作者の中にもかわいさを極めて「神職人!」なんて崇められてる奴がいたはずだ。

↑はにわが溢れる宮崎「はにわ園」にて。日本人のDNAに訴えかけるかわいさだ

 

つまり、古代より日本人の体内には“はにわ萌えDNA”が刻まれているはずなのだ。だから、“生真面目な事務用品メーカー”と思われていたライオン事務器が、唐突にはにわ型指サック「はにさっく」なんてものを作ってしまうのも、無理のない話なのかもしれない。

ライオン事務器
はにさっく
各450円(税別・大小2個セット)

 

大小のはにわが各1個セットされた3種類で、計6タイプがラインナップ。どれも埼玉県野原古墳で発掘された、有名な「埴輪 踊る人々」(東京国立博物館所蔵)がベースになっているようだ。東京国立博物館所蔵の“本物”、「埴輪 踊る人々」にはない、おどけた表情やポーズのはにわもいて、それぞれなにか名前をつけたくなるぐらいにキュート。

 

これは萌える。机上に置いてマスコットにするもよし、指人形として遊ぶもよし、という感じである。

↑裏面の滑り止めに一つだけ紛れ込んだ前方後円墳。こういうのもかわいい

 

裏面には滑り止めの細かな凹凸の加工が施されているが、これもよーく見ると……ひとつだけ前方後円墳になっているのがお分かりだろうか? こういうちょっとした“お遊び”が入っているのも、はにわファンには嬉しいポイントだろう。

 

【関連記事】
はにわの形の指サック「はにさっく」が砂漠のような指と心を包み込む!
https://getnavi.jp/stationery/515141/

 

……と、ここまではいいのだが。冒頭で「かわいさ一点突破」と言った通り、指サック(紙めくり)としての実用性は、正直かなり低い。

↑滑り止めは充分に効くので、紙めくりとしての機能は問題ないのだが、大サイズははにわの手が少々邪魔かもしれない……

 

まず、サイズの問題。紙めくりをする際には、親指・人差し指にサックを装着するのが基本だが、「はにさっく」は大の方が成人男性の一般的な人差し指にちょうどサイズ。小だと小指ジャストぐらいなので、これは仕事には役立たない。大と小は、それぞれ内径が17mm/15mmとあるので、女性でもよほど指が細くないと、親指に大はキツいのではないだろうか。

↑大を親指に、小を人差し指に装着してみたところ。男性の指だと確実にパツパツで血が止まる。また、指を曲げるとこのように干渉してしまうのだ

 

もうひとつ、指の第一関節までカバーする形状で、かつシリコンの厚みが全体的に均一なので、指の曲げ伸ばしがすごくやりづらい……。従来の指サックは、先端だけ滑り止めを厚くして関節部分は動かしやすく、といった工夫があるのだが、こちらははにわのデザインを優先しているため、そういう設計は無理だったようだ。かわいさのために犠牲にされている部分(=実用性)は、やはり確実に感じられた。

 

“癒し”面での実用性はバツグン!

とはいえ、イラッとして指からはずしてしまえば、その“のほほん”とした表情に癒されてしまう。つまりは、いらだちと癒しのマッチポンプ装置なので、できれば癒し部門でだけ、職能を発揮してもらうのがベストだろう。

 

パッケージには「はにわたちがお仕事をお手伝い」とあるが、こちらとしては「いやいや、君たちは働かなくていいから。そこでじっとしているのがお仕事だよ」と言ってあげたいところ。かわいいだけで充分なのだ。

 

そもそもこの「はにさっく」、ライオン事務器の若手社員が中心となって立ち上げた、夢のある商品作りのための「夢工房」プロジェクトで企画された製品とのこと。(プロジェクト名のそこはかとないダサさに、やはり生真面目さを感じてしまう。)このプロジェクト、以前はスイーツモチーフのクリップやマグネットといったベタなものを作っていたが、今回は一転してはにわ。なにかふっきれたのか、夢工房。次回も期待したい。

最強指サック「メクリッコ」がリング型に進化し使い勝手アップ!

さて、じゃあ見る用の指サックははにわでいいけど、仕事用はどうしようかな、って話だろう。そこでオススメなのが、昨年12月に発売されたプラス「リング型 メクリッコキャッチ」である。

プラス
リング型 メクリッコ キャッチSML
各180円(税別・5個入り

 

立ち位置としては、以前にこの連載でも優秀な指サックとして激推しした「メクリッコキャッチ」のシリーズアイテムということになる。従来品が3Dカーブで指先までカバーする形状だったのに対し、こちらは開放感のあるリング型……なのだが、ただのリング型とは違う、ちょっと変わった形状をしているのだ。

 

【関連記事】
“指先舐め”は嫌われる! 使えば病みつきの書類めくりがサクサク進む指サック
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↑指の腹を全体的にカバーする前モデルと異なり、開放的なリング型に。装着するときは「PLUS」のマークが爪側に来る

 

装着すると、指の腹側上部が大きくえぐれたようになっているのがお分かりだろうか? これ、装着したままキーボードを打ったり、スマホを操作したりがやりやすいのである。

 

もちろん通常のリング型(指の腹を巻くタイプ)でもそれは可能だが、爪に近いちょっとしたスペースが解放されているだけなので、爪が伸びているとスマホの操作がけっこうやりづらい。対してこちらは、普段画面に触れている指の腹の先側が使えるので、かなり自然なタッチになるのだ。

↑装着したまま、特に気を遣うことなくスマホも操作できる。これはシンプルにラクだ

 

もちろん、がっつりと紙をめくるには指の腹まで使いたいので、そういう点では従来の「メクリッコキャッチ」の方が優秀と言える。

 

でも、「ちょっと書類めくりたいんだけど」程度の状況なら、外さずにすぐスマホが操作できるほうが、圧倒的に便利。そもそも摩擦力に優れた製品だけに、これぐらいの形状でも充分に実用的なのである。

↑摩擦力の高いエラストマーは、相変わらず強力。ちょいと指を引っかけるだけで紙が簡単に持ち上がるので、リング型でも充分に使えるだろう

 

開放感が高いので指も蒸れづらくて快適。「メクリッコキャッチ」、リング型になってもやっぱり、激推しできる指サックだ。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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