乗り物
2017/1/28 19:00

複雑すぎる首都圏高速道路の料金設定ーー結局どこを走れば得なのか!?

首都圏の高速道路網のひとつである通称「外環」、つまり東京外環自動車道の料金が、2月26日に対距離制料金へ移行することになった。これまでは一律510円だったが、今後は料金水準を関越・東北自動車道など他の高速道路の大都市近郊区間と統一することで、ETC装着車では距離に応じて270〜750円の範囲内になるという。

 

このニュースを聞いて筆者が感じたのは「いまさら?」だった。大都市近郊区間の対距離制料金は昨年4月1日に導入されていたからだ。このときは東名高速道路、中央自動車道、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)などの首都圏の高速道路と首都高速道路の料金水準を統一化していた。

 

それまで首都高速は、独自の距離別料金を制定していた。510~930円の幅で5段階に分かれていた。東京地区、神奈川地区、埼玉地区で独自に制定していた料金を一元化したもので、遠距離になるほど割安に感じるものだった。ところが圏央道の開通区間が増えると、これが問題になった。東京をまたぐ移動や輸送を迂回させることで、都心の交通集中を防ぎ、環境悪化を食い止めることが目的の圏央道なのに、料金は首都高速より高かったのだ。これでは迂回するクルマが少なくなってしまう。そこで統一の距離別料金に移行したうえに、同じ区間を走るなら常に圏央道のほうがお得という内容にしたのだった。

この結果、神奈川県の厚木IC(インターチェンジ)から埼玉県の岩槻ICに行くときは、昨年3月までは首都高速経由が2670円、圏央道経由が4160円と大差が付いていたのに、現在はどちらのルートでも首都高速経由で計算した3040円になる。一方東京都の八王子ICから埼玉県の久喜ICまでは、それまで首都高速経由2420円、圏央道経由3090円だったのが、現在は距離の短い圏央道経由が2640円と、首都高速の3240円より逆に安くなっている。

 

■「首都高+外環+関越道」の料金合算は変わらない

筆者は最初に書いた外環も、この改定に含まれていると思い込んでいた。ところがそうではなかった。その事実を今回のニュースで知って驚いたのだ。外環や圏央道を管轄するNEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)のウェブサイトにくわしい解説があるので見てみると、他にも第三京浜道路、横浜新道、横浜横須賀道路、京葉道路、千葉東金道路など、昨年導入された首都圏統一料金とは異なる体系となっているところがある。

 

たとえば横浜新道は昨年3月以前は全区間均一で普通自動車210円と、他の高速道路と比べると割安だった。これが現在は水準に合わせる形で320円になったものの、均一料金のままだ。やはり従来は割安感が強かった第三京浜は距離制が導入されたものの、そのまま計算すると大幅値上げになってしまうので、「激変緩和措置」として390円を最高としている。

 

今回の外環にも、この激変緩和措置は採用されている。単純に距離制料金を導入すると最短区間が260円、最長区間が1230円になるところを、270〜750円の範囲内に収めているのだ。しかも他の高速道路と連絡する4か所のJCT(ジャンクション)のうち、隣のJCTまでなら距離を問わずに現在と同じ510円になるという。しかしこの料金体系は、他の高速道路と連携はしていない。だから首都高速5号線から外環を経由して関越道に向かう場合は、首都高速+外環+関越道の合算になってしまう。前に挙げた圏央道とは違う体系になっているのだ。

 

なぜ昨年4月に圏央道に導入したような首都圏統一料金が、外環や横浜新道など他の高速道路に導入されないのか、理解に苦しむ。激変緩和措置という言葉は耳障りは良いけれど、結局は昔と同じ複雑なままだからだ。ルールを変えれば、誰かが得をし、誰かが損をする。これはどんな場面にも起こることだ。目先の損得を気にせず、長い目で見て真に分かりやすい料金を設定してほしいと願う。

 

【著者プロフィール】

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

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