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2017/5/6 18:00

“プチプチ”では防げない! 1位岡山、2位香川…ウインカーを出さないドライバーに知ってほしい危険性

岡山県の自動車販売会社「岡山トヨペット」が製作した動画が話題になっている。あるドライバーが引っ越しのために見知らぬ街を訪れたところ、人やベット、クルマ、家などがすべて、プチプチの呼び名でおなじみの緩衝材に包まれていた。街を走るクルマはウインカーを出さないので衝突事故が起きるのだが、プチプチのおかげでケガをしない。

 

出典:「岡山トヨペット公式サイト Bubblepack Town」動画より
出典:「岡山トヨペット公式サイト Bubblepack Town」動画より

しかしこれは架空の世界。最後にプチプチが消え、多くの人々が道路上に倒れている映像に切り替える。そして「街中をプチプチで包みましょう」という文字に線が引かれ、代わりに「ウインカーを出しましょう」というメッセージが現れる。

 

この動画、日本自動車連盟(JAF)が2016年にインターネットで行った「交通マナーに関するアンケート調査」に基づいて作られたものだ。JAFのアンケート結果を見ると、たしかに岡山県は「ウインカーを出さずに車線変更や右左折するクルマが多い」の項目で「とても思う」が全国ワーストの53.2%だった。

 

ただし岡山県だけが飛び抜けて多いわけではない。2位の香川県も「とても思う」が51%に上っており、「やや思う」では徳島県が47.9%、福井県が54%と、岡山県の37.8%を上回っている。

 

ウインカーを出さずに右左折やUターン、車線変更を行うのはもちろん交通違反だ。道路交通法第53条には、「車両の運転者は、左折し、右折し、転回(Uターン)し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるとき(進路変更)は、手、方向指示器(ウインカー)又は灯火(ストップライトなど)により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない」とある。

 

また道路交通法施行令第21条には、左折、右折、Uターンでは行為をしようとする地点から30m手前、車線変更の場合は行為をしようとする3秒前からウインカーを付けると定められている。現実にはどこが30m手前で、いつが3秒前か分からないので、その前からウインカーを出すということになるだろう。

 

それでもウインカーを出さないのは、ヘッドライトと違って自分が行く先を明るく照らすための灯火類ではなく、他人に自分の行く先を示すためのアイテムであることが大きいのではないかと思っている。以前のコラムで、日本はヘッドライトの点灯タイミングが欧米に比べて遅いことを書いた。そのマインドがウインカーを点けないという状況にもつながっているのではないだろうか。

 

そしてもうひとつ、JAFのアンケート結果を見て思い出したのは、昨年の交通事故死者数で都道府県別人口10万人あたりの死者数で上位に入った都道府県のランキングだ。ちなみにその順位は、福井県と徳島県が6.28人でワーストワンの座を分け合い、香川県が6.25人で続いている。

 

この3県、都道府県別人口で見ると香川県が39位、福井県が43位、徳島県が44位で少ないほうに属する。ところが交通事故死者数で見ると、この3県は少ないほうから数えた10位以内には入っていない。

 

クルマの数が少ないから他車のことを気にする場面が少なく、ウインカーを出すのを忘れてしまうという単純な理由ではなく、その土地固有の事情がありそうだ。でもウインカーは前に書いたように義務。2輪車ライダーの立場から言わせてもらえれば、ウインカーを出さずに曲がってくるクルマとの衝突で命を落とすこともあるわけで、恐怖以外の何物でもない。

 

道路は公共空間であり、不特定多数の人が利用している場所である。自分から見て安全かどうかという観点だけでなく、他のクルマや歩行者、自転車利用者などから見ても安全かどうかという意識で運転してほしいものだ。

 

【著者プロフィール】

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

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