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2016/3/26 14:48

【祝ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー受賞】改めてマツダ ロードスターのライバルは誰なのかを考察した

マツダ ロードスターは3月25日、ワールド・カー・アワーズが主催する、「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」と「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」をダブルで受賞しました。1車種によるダブル受賞は同賞創設以来初めて。昨年は「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞していますから、賞総なめ状態です。

 

そこで今回は改めて、「ロードスターの魅力」について再考。鹿児島~東京1500kmロングツーリングのインプレッションとともに、自動車評論家の小野泰治さんが「同車の真のライバル」について改めて掘り下げます。

 

普通に考えれば86やBRZ、S660やコペンになるが……

マツダ ロードスターのライバルというと、同車をFR(エンジンを車体の前方に置き後輪を駆動)のスポーツモデルと位置づけるなら、トヨタ 86やスバル BRZあたりとなるでしょう。また、2人乗りのオープンカーという意味では、軽自動車ですがホンダ S660やダイハツ コペンも国内における対抗馬になり得ます。しかし、厳密にいえばどのモデルもロードスターとはキャラクターが異なっていて直接的な比較対象にはならないというのが実際のところです。

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↑トヨタ 86
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↑スバル BRZ
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↑S660

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というのも、ロードスターの立ち位置は、1980年ごろまで存在した英国の軽量スポーツカーを、現代の流儀と技術で復活させた“ハイレベルなオマージュ”というべきもの。作り手のマツダは「人馬一体」と表現していますが、初代から連綿と受け継がれているのは、公道でも使い切れる走りの愉しさ。軽量かつコンパクトな作りと、必要にして十分な走行性能という組み合わせは日常域でもスポーツカーに乗っているという適度な刺激に満ちていて乗り手を決して飽きさせません。

 

ライバルがいないというかオンリーワンである

初代ロードスターは死滅状態だったコンパクト・オープンカーの市場を世界規模で復活させた立役者です。このクルマが登場しなければ、メルセデス・ベンツSLK(初代)やBMW Z3は存在しなかったか、少なくとも数年はデビューが遅れていたはず。その影響力がどれほど大きかったかお分かりいただけるでしょう。とはいえ、メルセデスやBMWのオープンモデルはロードスターより格段に高価。フィアットのバルケッタ、あるいはローバーのMG Fといったかつてのライバルも現在は存在しないことを思うと、事実上ロードスターは直接的なライバルがいない「オンリーワン」ということができるかもしれません。

 

退屈になりがちな高速道路ですら持ち前の俊敏さで楽しい

今回は、鹿児島から東京まで約1500kmをロードスター2台で走行。おおよそこういう取材では試乗ステージが“ほぼ高速道路”になって単調になるという理由から、九州/山陽新幹線が停車する駅に立ち寄る物好きなプランを選択しました。ある意味「苦行」のようなものでしたが、高速道路や幹線道路など淡々と距離を稼いで走るな場面でも、音質まで気を配ったエンジンと、運転操作のひとつひとつに反応する俊敏さが走りの臨場感を高めてくれて、退屈することはありませんでした。ただ正直、ロングドライブの相棒としてはクルマの動き方をもう少し落ち着かせたいところではあります。

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↑鹿児島~東京までは1泊2日の強行日程で走行。初日は強い雨が降り続きましたが、高速道路ではまったく不安な挙動になりませんでした。ただ、エンジンは1.5ℓなので、いわゆる他車の流れをリードする速度域では、エンジン回転数が上がってしまうのは仕方ないこと。現在日本にはない2.0ℓ版があるといいなぁと思える場面もありました(キャプション補足/編集担当山田)
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↑2.0ℓだとより刺激的なドライブが楽しそうと思える反面、車両重量アップが懸念材料になります。重量がアップすると今度は足回りとした各所のセッティングまでしたくなってくるので、「軽さを取るか」と「パワーを取るか」は永久にイタチごっこ。ワインディングをグイグイ攻めるときは、1.5ℓでパワーをギリギリまで使い切る楽しさを味わえました(キャプション補足/編集担当山田)
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↑燃費も一般的なコンパクトハッチバック以上の良い数字をたたき出しました。全区間のうち7~8割が高速道路でしたが、1512km走っての平均燃費は16.6km/ℓなので非常に優秀。なお、JC08モード燃費は17.2km/ℓ(キャプション補足/編集担当山田)

 

今後ライバルとなりえるのはフィアット製の124スパイダーぐらいである

高速道路を走らせる場面でこそ挙動は落ち着かせたいとは思いましたが、マツダ ロードスターはGT(グランドツーリング)カーではなくスポーツカー。乗っていて退屈しないのは、まさに道路からの情報や、クルマ自身からのリアクションが明確だからでしょう。公道でもパワーを使い切れる走りの愉しさという意味でも、走りに関する情報の主張が強いという意味でも、ロードスターは現状でオンリーワンでしょう。

 

唯一、気になる存在を挙げるとすれば、それはロードスターがベースとなるフィアットの新生124スパイダー。すでに公表されている公式写真やモーターショーでの実車を見ると、外装はかなり大胆に変更が加えられています。まずは英国と並ぶ軽量オープンスポーツの宗主、イタリアの手腕に請うご期待というところです。日本には2016年夏に導入されるといわれています。

Fiat 124 Spider
Fiat 124 Spider

 

【URL】

マツダ http://www.mazda.co.jp/

ロードスター http://www.mazda.co.jp/cars/roadster/

 

撮影/篠原晃一