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2018/1/20 19:00

ガソリンには税金がかかるのに電気にはかからない…これって不公平?

2040年までにエンジンで走る自動車の販売を禁止するというフランスやイギリスの発表がきっかけとなった電動化の流れは、今年も進みそうだ。日本でも新型車の発売やインフラ整備についてのニュースが飛び込んでいる。

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ちなみにこの電動化という言葉には、電気自動車(EV)だけでなくハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も含まれる。つまり今後もガソリンやディーゼル自動車が使う軽油の消費は続くのだが、モーターとの併用で給油の頻度が減ることは容易に想像できる。この状況に不満を寄せているのが石油業界だ。ガソリンや軽油が売れなくなるという危機感もあるだろうが、不公平に感じる部分もあるという。

 

現在ガソリンには揮発油税とその暫定税率、地方税扱いになる地方揮発油税を含めると、合計1リッターあたり53.8円が税金となっている。この原稿を書いている時点でのレギュラーガソリン価格の約4割に相当する。実燃費リッター10キロの乗用車で年間1万キロ走行した場合には、5万円以上もの税金を支払っている勘定になる。

 

これに対し、EVやPHVを走らせる電気、燃料電池車(FCV)が使う水素には税金が掛からない。これを不公平だと言っているようだ。また当然ながら、EVやPHVが普及すれば税収減が不可避になるわけで、国家財政にとっても一大事になるだろう。ガソリン税は多くが道路の建設のために使われる。自動車重量税や自動車税も同じであるが、自動車税については環境性能の悪い大排気量車が割高になるので、環境効果にも寄与している。

 

日本の自動車関連の税金は高いとよく言われる。たしかに税金の種類は多いものの、ガソリン代は米国よりは高いが欧州よりは安い。軽油になるとその差がさらに広がる。また自動車税についても、米国や西欧諸国よりは高いものの、シンガポールのようにトヨタ・プリウスが税金その他で約1500万円に達する国もある。

 

それはともかく、ガソリン税収が減るとなれば、当然ながら道路を作るための予算も減少することになる。しかし今の日本は、これからも数多くの道路を新しく作らなければならない状況ではないはずだ。おまけに人口減少と少子高齢化が進んでおり、ドライバーの数は減ることが予想される。こうした中で、従来と同じ勢いで道路整備を続けていく必要があるのかという疑問が残る。

 

もちろん高度経済成長期に建設された橋やトンネルをはじめ、補修が必要になる道路は多くなるだろう。しかし補修には用地買収などの費用は掛からないはずで、新設道路並みの予算はいらないと考えるのが自然だろう。だから道路整備のための税金は減らして良いと考えるが、地球環境を考えると安易なガソリン価格引き下げには賛同しかねる。欧州などで実践しているように公共交通や自然エネルギー発電所の整備に税金を転用すべきだろう。

 

そしてもうひとつ、燃料に課税するというのは前時代的という感じもしている。現在の多くの自動車は電子制御化が進んでおり、当然ながら走行距離や燃料消費量もカウントすることが可能だからだ。携帯電話は充電時の電気に課金されるわけではなく、通話時間やパケット使用量などを機械が自動的にカウントし、それに応じて課金している。現在の自動車であればこうしたシステムができるはずだ。

 

いずれにしても、道路が税金によって建設されている以上、それをドライバーが税金によって支払うのは当然のこと。なんらかの形でEVやPHV、FCVなどにもエネルギー供給や消費に応じた課税はあってしかるべきだろう。

 

【著者プロフィール】

モビリティジャーナリスト 森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

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