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鉄道
2018/6/14 21:00

古き良き時代にタイムスリップできる「英国式保存鉄道」の魅力

保存鉄道の楽しみ方

上記のように保存鉄道は大小様々だが、ここでは基本的に1番メジャーな標準軌の蒸気機関車を主に扱う保存鉄道を基準に紹介していく。

 

まず訪問することを決めたら運行日を確かめておく必要がある。5月~8月の繁忙期では毎日運行しているところもあるが、基本的に土日と祝日の運転となる。12月~2月頃は冬季メンテナンスを行い、その間は運休となるので要注意だ。

↑蒸気機関車は人気の的だが、ほかにも地味だが歴史的に重要な車両も動態保存されている。写真は国鉄時代に製造されたレールバスで安価な製造コストと運行費用で採算の悪い地方路線を救った

 

保存鉄道の楽しみ方といっても様々な方法がある。昔ながらのコンパートメントでゆっくり揺られながら汽車旅そのものを楽しむのもよし。鉄道を移動手段として使い沿線の街を観光したり、海辺や田舎でハイキングを堪能したりするのもよい。保存鉄道側も来客を呼び込むのに力を入れており、様々なイベントを年中企画している。以下ではその魅力的なイベントを簡単に紹介する。

↑ゆったりとしたレトロな内装でふかふかの座席で汽車旅が楽しめる

 

多種多様の保存車両が活躍する「ガーラ」

鉄道ファンにとってやはり保存鉄道の1番魅力は動態保存されている車両だろう。かつて本線で現役だった蒸気機関車などが動き、生きている姿を目の当たりするのは非常に喜ばしいことだ。そのようなファンのために多くの保存鉄道では年に数回「Gala(ガーラ)」と呼ばれる祭典が行われる。その保存鉄道に在籍する機関車や車両のみならず、ほかの鉄道からもゲストとして機関車などが招集され、数日間高頻度で運転が行われる。

↑セバーン・バレー鉄道の2018年春のSLガーラでゲストとして登場した60163号機「Tornado」。この機関車は2008年に新しく製造されたことで一目置かれている

 

↑ガーラでは旅客列車だけでなく貨物列車などの展示走行も見られる

 

例えばイングランド中部に位置するセバーン・バレー鉄道の2018年春のSLガーラでは3月中旬の3日間にわたって開催され、ゲスト機関車4機を含めた総勢8機体制で毎日45分置きに列車を走らせていた。列車を撮影する目的の「撮り鉄」や乗るためやってきた「乗り鉄」、SLが好きな子どもと一緒の家族連れなどで大いに賑わった。ガーラは一度に多くの車両と触れ合える機会なので、鉄道ファンにはぜひおすすめしたいイベントだ。

↑保存鉄道はボランティアの方の協力が必要不可鉄だ。車掌の制服に身を包み、乗客の乗降を見守る

 

大人も子どもも楽しめる様々なイベント

鉄道ファンももちろん大事な保存鉄道の顧客だが、一般のマニアでない人が訪問するのも大切な収入源だ。子どもに保存鉄道に興味を持ってもらい、新しいことを学んでほしいという意味で特に家族連れを意識したイベントが多くみられる。既存のSLをかの有名なキャラクター「機関車トーマス」として仮装させて列車を走らせるトーマスイベントや、クリスマスのときにサンタさんからプレゼントがもらえるクリスマスイベントなどが開催される。

↑イングランド中部に位置するグレート・セントラル鉄道の列車。ここはイギリスで唯一複線区間を保有している保存鉄道で注目を浴びている

 

もちろん大人だけで楽しめるものもあり、なかでも人気なのが「Murder Mystery(マーダー・ミステリー)」、つまり殺人事件の犯人当てゲームだ。主な概要としては役者たちがストーリーの登場人物たちを演じ、乗客に演劇のように話を展開する。しかしあるとき悲鳴が響きわたり、そのうちの1人が死体で発見されてしまう。その後の登場人物たちの証言などから本当の犯人を当てる参加型のゲームなのだ。これがかなり好評で、いつも満員御礼の保存鉄道も少なくない。

 

ほかにも1940年代の戦時中を再現したものもあり、当時の軍服を着た方や戦線へ派遣される兵士のコスプレをした方なども参加する。さらに大規模な保存鉄道だとクラシックカーの展示会や第二次世界大戦で活躍した戦闘機によるデモ飛行も行われ、当時にタイムスリップしたような気分になる。

↑セバーン・バレー鉄道の1940年代テーマの運行日では当時の英首相、ウィンストン・チャーチルの仮装をする方も現れた
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