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2018/10/27 18:00

懐かしさが魅力に!―― 次々に登場する「リバイバル塗装車」に注目

おもしろ鉄道の世界 〜なぜ増える?復刻塗装・リバイバル塗装車〜

 

通勤電車の車体カラーといえば、銀色に色の帯という車両が多い。鋼製(こうせい)の車両ならば鉄道会社が決めた標準カラーや路線カラーでの塗装が一般的だ。ところが、そんな常識を覆す現象が起きている。昭和や平成初期に走った車体カラーをリバイバルさせる動きが加速しているのだ。

 

レトロなカラーの電車に乗って実際に通勤・通学をしたことがある世代にとっては懐かしく感じられ、知らない世代は珍しい車体色の電車として注目する。

 

「リバイバル塗装車」「復刻塗装車」と呼ばれるこれらのレトロカラーの電車がなぜ増えているのか。どのような電車が復活し、どこの路線を走っているのか。今回は車体カラーのリバイバル化に注目。その傾向と増える事情を探った。

 

 

【増える理由その1】鋼製車の塗り替え時に旧塗装を復刻させる

全国の通勤用の車両を見ると、特に首都圏ではJRや大手私鉄にステンレス製、アルミ合金製の車両の導入が目立つ。こうした車両が浸透する前までは、鋼製車が一般的だった。鋼製車は錆を防ぐために塗装が必要となる。その多くがそれぞれの鉄道会社が定めた標準色で塗られていた。

 

鋼製車のうち、古いものは製造されてからすでに30年以上がたつ。花形の新型車両が利用者の多い本線を走るのに対して、古くなりつつある鋼製車は、閑散区間を走ることが多くなりつつある。

 

徐々に“職場”を失いつつある鋼製車だが、余生を送る路線でスポットを浴びる車両が出てきた。それがリバイバル塗装車たちだ。

↑東武鉄道の8000系は1963(昭和38)年〜1983(昭和58)年まで712両が作られた。写真はツートンカラー車。1970年代中ごろまで、同カラーが標準色として使われた

 

 

【増える理由その2】誘客効果が大きい希少なリバイバル塗装車

さらに、リバイバル塗装車が、鉄道会社にとって効果的な誘客にもつながることがあり、見逃せなくなってきている。鉄道会社としても鋼製の電車に、あともう少し頑張ってもらわなければいけない、という事情がある。

 

通勤形電車は5〜6年ごとといった大がかりな検査が行われる。その検査時に鋼製車は塗り替えが行われる。リバイバル塗装車は、標準色への塗装を避け、あえて昭和や平成初期に使われていたリバイバルカラーに塗り替えている。さらに、最近の傾向として、あえて一編成のみの “希少車”として再現されている。

 

希少車は、当然のように注目度も高まる。鉄道が好きな人たち、懐かしさを感じた人たちは、見たい、乗りたいとリバイバル塗装車が走る路線にわざわざ足を運ぶ。狙いどおり誘客効果が実を結ぶというわけだ。

 

乗客が少なめの閑散路線に鉄道ファンが訪れることは、鉄道会社にとってもありがたいこと。リバイバル塗装車の復活は、単に塗り替えだけでなく、一石二鳥の効果があるわけだ。

↑8000系のリバイバル塗装化の始まりは2014年の8000系81111編成から(写真)。1974年に登場した当時のセイジクリーム一色に塗り替えられた。*8000系前期型(東武博物館保有動態保存車)のリバイバル塗装は2012年に行われている
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