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2018/11/3 19:00

電車が四角顔から丸顔へ変貌中!?—東西の新車に見る最新の「鉄道車両デザイン考」

【2000系の秘密2】座席幅を広く冷房能力も向上、そして…

新車2000系では、天井をより高くして圧迫感を減らす工夫とともに、立って乗車する人への配慮がより強く感じられた。

 

まず空調装置・冷房装置の能力を向上させている。

 

座席前に立つ人向けの吊り革とともに、スタンションポールと呼ばれる仕切り棒を多く配した。さらに左右の座席前に立つ人と立つ人のちょうど間のような狭い空間に立たざるをえない人向けに、多くの吊り革が設けられ、高さも一部下げて、より使いやすくした。

 

丸ノ内線では四谷駅〜赤坂見附駅間、新大塚駅〜茗荷谷駅間といった特定の駅間でとくに混みがちになる。朝は少し混み合っていても早く会社や学校へ着きたいという人も多い。車両の奥まで入って、ひと時を我慢している人も多いことだろう。こうしたスペースでは吊り革などつかまるところが無いと、辛く、心細く感じられることがある。新型2000系のように、通路用の吊り革が多いと、非常にありがたいだろうな、と思った。

 

興味を引いたのは、携帯電話など小電力機器の充電が可能なコンセントを各車両に設けていること。東京メトロとしては始めての試みだ。

 

特急列車などと比べると、地下鉄の場合には大半が短距離区間を利用する人たち。さらに、このコンセントを利用したい希望者が何人も現れたら……。東京メトロでは利用方法を検討中とのことだったが、当初はトラブルの時のみの利用に限ることになりそうだ。

↑サードレール方式の丸ノ内線の台車。写真左のへらのような形のコレクターシューで電気が流れる線路(サードレール)を擦って電気を取り込む

 

↑右のカバーの下に電気を流すサードレールがある。こちらはコレクトシューがサードレールに接触した状態。台車は片軸操舵方式を採用。曲線走行時の安全性向上や、レールと車輪の摩擦によるキシリ音などの騒音の低減、乗り心地の向上が図られている

 

↑床下に付いたボックスはTIS(車両情報管理装置)。地上装置との情報伝送により、車両の状態の監視や予防保全に威力を発揮する。ほか遅延回復に効果があるCBTC(無線式列車制御システム)など最新機器が取り付けられている

 

車両設備の中で大きなポイントは、省エネルギー性や安全性の向上を図る機器の設置とともに、非常時走行用バッテリーを搭載したところだろう。もしもの停電時でも非常時用のバッテリーを使うことにより、最寄り駅までの走行が可能になる。

 

2000系は2019年2月から運行開始の予定。2022年度中には53編成318両を導入されることとなる。

 

丸ノ内線の電車すべてが、鮮やかなレッドカラーになる日も近い。

 

 

□取材協力:東京地下鉄株式会社

 

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