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2019/1/19 17:30

閑散路線「南海加太線」が人気路線に様変わりーー鯛で人を釣った「めでたいでんしゃ」

【めでたい加太線に乗る3】磯ノ浦駅付近から海も見えてくる

東松江駅からしばらくは住宅地が続く。二里ケ浜駅(にりがはまえき)を過ぎると線路の左手にヨットが係留されるマリーナが見え始め、海景色が車内からも見えるようになる。次の磯ノ浦駅は加太線で最も紀伊水道が面した海岸が近い駅だ。駅のすぐ前に磯の浦公園があり、夏は磯の浦海水浴場がオープンする。

↑磯ノ浦駅あたりから沿線の風景が大きく変る。左手に海岸線が、線路の先には高山、鉢巻山などがそびえる。線路はこの先で、右に大きくカーブして終点の加太駅を目指す

 

磯ノ浦駅を過ぎれば、終点まであと一駅だ。電車は山の中に分け入り、右に左にカーブを描き、加太の町へ入っていく。

↑磯ノ浦駅付近からは紀伊水道が良く見える。めでたいでんしゃの乗降ドアに貼られたシンボルマークと海景色を重ねてみた

 

↑「めでたいでんしゃ かい」の窓に付くロールカーテンには魚群が泳ぐ様子がプリントされている。ロールカーテンの魚群と、ガラス窓に貼られたクラゲシールが一枚の楽しい絵を作り出してくれた

 

終点の加太駅ではレトロな駅舎がお出迎え。この駅舎は加太線が誕生した1年前の1911(明治44)年に建てられたものだ。華やかな「加太さかな線」のフラッグなどの飾り付けが行われ、明治と現代のデザインが上手く組み合わさっているように感じた。

↑加太駅の1番線ホームに停車する「めでたいでんしゃ かい」。写真の左側に見えるホームが2番線。線路はこのホームをはさんだ山側にもう1線あり、列車の本数が増える早朝と晩に使われている

 

↑加太駅には明治期に建てられた洋風の駅舎が残る。「加太さかな線」の華やかな飾り付けが駅を彩る。この加太駅は和歌山最西端にある駅で、さらに近畿地方を走る大手私鉄の最西端の駅にもあたる

 

最後に加太駅周辺の観光スポットをあげておこう。

 

□加太港(加太駅から徒歩10分)

鯛の一本釣りで知られる加太港。漁港を囲む堤防は魚釣りのメッカとして人気が高い。港からは友ヶ島(沖ノ島など四島の総称)観光の遊覧船も出航している(乗船30分)。友ヶ島は太平洋戦争までは旧日本軍の軍用地で、その遺構も残されている。

 

□淡島神社・あわしまじんじゃ(加太駅から徒歩20分)

2万体ともいわれるひな人形が供養のために奉納されている神社。縁結びを始め、安産祈願など「女性のための神様」として信仰を集める。不思議なことに神社に納められた人形の中には、奉納後に髪の毛が伸びたものがあるとされる。

 

□加太春日神社(加太駅から徒歩8分)

春日三神が祀られる神社。春日三神は武の神様とされ、プロアスリートが必勝祈願に訪れることが多い。社殿は桃山建築の特徴を残す。おみくじは鯛の形をしていて参拝の記念に最適だ。

 

こうしたスポット以外に、地元にあがった魚介類を扱う料理店が加太の街中にある。ちなみに加太の代表的な四季の味をあげると。春は「ウマズラハギ」、夏は「おにおこぜ」、秋は鯛、冬は「クエ」がお勧めだ。

 

「めでたいでんしゃ」に乗車するとともに、こうした海のまち加太を満喫してはいかがだろう。

 

【ギャラリーその2】

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