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2019/2/9 19:00

富士山の美景&迫力ある姿を満喫! ―― さらに調べると御殿場線の奥深い魅力が浮かび上がってきた!!

おもしろローカル線の旅30 〜〜御殿場線(神奈川県・静岡県)〜〜

 

神奈川県の国府津駅(こうづえき)と静岡県の沼津駅を結ぶ御殿場線。列車に乗ると各所で富士山の美景が堪能できる。しかもいろいろな場所で眺める富士山の姿は、近くならではの迫力が感じられる。

 

まずは富士山が魅力となる御殿場線だが、調べると路線の歴史を含め、非常に奥深いストーリーが潜んでいた。さらに旅をすると、路線の魅力が無限大に湧きあがってくるようだった。

↑御殿場線の名スポットとして知られる狩屋踏切。走るのは上り特急「ふじさん」。小田急電鉄のロマンスカー60000形MSEが御殿場駅まで乗り入れている。御殿場線は沿線の開発が進みつつあり、このように開けた土地が減りつつあるのがちょっと残念だ

 

 

【御殿場線の歩み①】東海道線として開業した輝かしい歴史

今でこそ御殿場線はローカル線と言っていいだろう。しかし、開業した当時は明治政府が最も力を入れ完成を急いだ東海道線の一区間だった。まずは路線の概要を触れておこう。

路線開業 1889(明治22)年2月1日に国府津駅〜沼津駅が開業
現在の路線と距離国府津駅〜沼津駅間60.2km
駅数19駅(起終点を含める)
軌間と電化1067mm、全線電化

御殿場線は開業してから、今年の2月1日でちょうど130周年を迎えた。路線は東京と名古屋、京都、大阪、神戸を結ぶ東海道線(のちに東海道本線を改称)として開業した。1891(明治24)年には早くも複線化もされている(現在は全線単線)。

 

ご存知のように現在の東海道本線は国府津駅から小田原駅、熱海駅、三島駅を経て沼津駅へ抜けるルートと通っている。なぜ最初に東海道本線は、御殿場を経由するルートで敷かれたのだろう。

 

現在、東海道本線の熱海駅と函南駅(かんなみえき)の間には丹那トンネルがある。7.8kmとそれほど長いトンネルではない。ところが明治、大正期のトンネルの掘削技術では、長いトンネルを掘ることは容易ではなかった。しかも、このトンネルの予定ルートが火山帯を通るため、難工事が予想された。そのため、このルートを避けて比較的、路線敷設が容易な御殿場ルートとなった。

 

しかしこの御殿場ルート、25‰(1000m走り25m登る)という最大勾配があり、非力な蒸気機関車を使っての運行が困難な路線でもあったのだ。

 

ちなみに丹那トンネルは1918(大正7)年に建設が開始された。予想どおり大変な難工事となり、大量湧水、大規模な崩落事故が起こり工事中に67人という多くの殉職者を出している。突貫工事が当たり前だった時代に、なんと17年の歳月がかかり、1934(昭和9)年に開通した。トンネルが開通するまでの45年間、御殿場線は東海道本線として利用されたのだった。

 

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